古いモデルの推理は小説より面白い
見ていただくと判るように、明らかに昔、クマタが造ったブラス・モデルで、CC軸配置のディーゼル機です【って、ヤフーオークションの画像が消えてしまいましたので、写真はArt of Brass Vol.からの引用なので、クマタで当たり前ですが……】。
スタイルの方は、フードエンドのナンバーボードや、小さな正方形グリルの並びから、アルコ(American Locomotive Company)だと見当が付きます。
アルコのBBタイプでRS11という型式が昔、アトラス/カトーからプラスチックで発売されましたけれど、まさにこれをCCに延ばした形態です。
私自身は、1970~95年に存在したバーリントン・ノーザン鉄道BNに興味を集中していることもあって、BNが所有しなかった機関車は皆目わかりません。ただし、こういうときに役に立つカーンバック社の"The Second Diesel Spotter's Guide"を持っています。
これを開いて、実機メーカーがAlcoで、型式がRSD7かRSD15というところまでは判明しました。
ここから先が混沌としているので、思い余って、両型式併せて104両を説明文を元に、次のように整理してみました。
このうち、*印の63両は低ショートフードとのことで、また+印の6両は写真があってキャブベースの長さなどが異なり、該当しないことが判ります。
こういう古い形式には、MR誌のディーゼル機図面集や、5月14日号Vol.2で紹介したThe Contemporary Diesel Spotter's Guide「現用ディーゼル機探求者案内」ではちょっと無理です。このThe Second Diesel Spotter's Guideが唯一と言ってもいいくらいなのではあるものの、残念ながら現在は絶版となっていています。
次に模型の方を調べる方法は、まず、5月16日号で紹介したブラウン・ブックThe Brown Book of Brass Locomotivesを開くのが定石でしょう。
これを見ると、KMT製は68、73年にアルコ・モデルズ向けでRSD15ハイフードがあることが判ります。RSD7のモデルは韓国製を含めても出ていません。
ところで、古いクマタの輸出向け製品ではThe Art of Brass in Model Rail-roading, Volume 1という正にバイブルが存在します。
これ、トレイン誌が1982年に発行したハードカバー全230頁9,500円という贅沢極まりない道楽本で、発行時までのクマタ全製品がモノクロ写真で網羅されています。インポーター(輸入業者、日本からみれば“イクスポーター”)の名前や製造年、輸出数量などのデータも付いていますから、英文で記されていることと相俟って、彼の地では稀少本扱いをされている様です。
クマタが得意としていたディーゼル機や客車、電車などのハコモノを好まれるファンにとっては、またと無い資料です。【2010-01-17版元絶版を確認】
というわけで、この本を開くと、目指すモデルは品番E-213-A、D600Bという型式名で掲載されていました。ただ、写真はショートフード(小機械室)のグラブ・アイアン(取手)位置が僅かに異なっているRSD15のうちのDM&IR機に該当するモデルの様です。【冒頭の写真は、これを示しておきます】
結局、ここまでで判ったことは、型式はRSD15で、保有鉄道はPRRかC&Oというところまででした。まあ、これだけでもミステリー小説で犯人を推理する様に、なかなか楽しめるゲームであることをお解りいただけたと存じます。
どうです。皆さんも同じヤフオクに正体不明で出品されている、次のキャメルバック【リンク切れ】で遊んでみませんか。
■RSD15のB&LE機を購入してしまった顛末は、TransPacific 2010-02-11です。また、機関車一覧表の一部をBrass_solderさんからのご教示で訂正しました。2010-02-20
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