リバロッシのアラゲニィはどうなる?!
back issue Vol.21 June 4, 2001, re-edited Nov. 25, 2010
このほど、トレイン誌6月号に「シャイアンの感動をモデルの世界で再現」という記事を上掲された松尾彦孝氏より、本マガジンの読者が知りたい部分を補足する内容をご投稿いただきました。改造したテンダーの俯瞰写真が含まれていますので、 原記事 の方へ追加していますので、ジャンプしていただければ幸いです。
ところで、氏の文中のリバロッシ社が変だという内容には驚かされました。同社は長年にわたり全世界にプラスチック・モデルを供給してきたイタリアの大メーカーで、アメリカ物ではビッグボーイやチャレンジャーをはじめとする人気蒸機のラインナップを持っていますから、想像もしなかった大事件です。【画像はクリックで拡大します】
ただし、このところ他のメーカーの、アトラスやライフライク、それにバックマンと比較して新製品が全く無く、存在感が薄れていたことも事実です。そんな中、ニュルンブルグ見本市でアラゲニィをアナウンスしたと、トレイン誌とRMM誌が報道したのが3月発売号で、楽しみにされていた方も多いことでしょう。私も、この辺りの期待を3月21日にニフティの外国型会議室へアップさせていただいたところでした。
アラゲニィAlleghenyとは、もちろんチョサピーク・アンド・オハイオ鉄道C&Oの超人気、連接式蒸気機関車のことで、2-6-6-6という珍しい車輪配置にもかかわらず、その性能は“東のビッグボーイ”と称されるほどのパワーを誇っていた巨人機です。
日本では古く、TMS誌1967年11月号に井上豊氏がスクラッチビルドのHOモデルを発表されました。これが、同時に掲載されたMR誌特約の詳細図面と共に、私をはじめとする何も知らなかった連中にアメリカの超大型蒸機の魅力を知らしめた最初の機会だったのではないかと思っています。
すなわち、ビッグボーイやチャレンジャーよりも先に、アラゲニィを知ってしまったモデラーが存在するのです。生まれて最初に垣間見たアメリカ型モデルがアレゲニィという、雛鳥への“刷り込みimprinting”によって、私も「いつかは……」と思うようになっていました。そんなわけで、The Allegheny Lima's Finestという本が出たときには出版社に予約までして入手しています。
もちろん、モデルの方も古いカツミ製2台分を確保しています。“分”と書いたのは、チャンと組み上がった状態には無いという意味でして、なにしろダメージ品を極めて安価に売ってもらったものですから現在はバラバラという状態で、本機の端正な引き締まったスタイルを再現するまでに、相当の年月を覚悟している有り様なのです。
そういう理由から、リバロッシのアナウンスは正に干天に慈雨というアンバイで、直ぐにもその雄姿を拝めて、また走らすことが出来る、と期待していたところでした。
先ほどリバロッシ社のURLへ行ってみたところ、アーノルドやリマのロゴが並んでいますが、リンクが外れていて、その下に“UNDR KUNSTRUKSON”という文字が踊っていました。英語ならさしずめアンダー・コンストラクション、制作中ということなのでしょう。これからの展開は予断を許しませんが、同社製品が目の前に転がっていましたら、しばらくは大事にされた方が良い様ですね。
【追記】その後、リバロッシ社のアメリカでの代理店がウォルサーズ社となり、同社2002年版のHOカタログでは目出度く、アラゲニィが表紙を飾ったのでした。 ただし、それが成功することはありませんでした。顛末についてはウィキペディア日本語版をご覧ください。2010-11-26
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