ヴィンテージ鉄道模型大全
back issue Vol.31 June 22, 2001, re-edited on Nov. 27, 2010, Aug. 10, 2016
The Ultimate Vintage Model Railways Book
偶々今日、梅田の旭屋本店へ出かけて、凄い本を見つけました。田口達也さんという方が自らの鉄道模型コレクションを披露した「ヴィンテージ鉄道模型大全」という写真集です。
すべてがOゲージ以上の大きさで、HOやNは全く出てきません。ザッと眺めると、まず戦前の35mmゲージ1/30や32mmゲージ1/40の製品、それに戦後のOゲージ3線式全盛時代ではカツミを中心とする日本国内向け、さらにバセットロークやメルクリンの外国製品に分けられるでしょうか。
特に関電機とカツミについては、今まで断片的にしか伝えられていなかったものが、この本で完璧に近い形でまとめられていて、初めて現出した“定本”と申し上げていいかと存じます。今までのこの時期の情報は、例えば鉄道模型趣味誌(TMS)では1988年3月号から8月号に掛けて連載された上田龍史氏の「日本鉄道模型小史」など、どうしても工作ファンの立場からのものに限定される傾向にありました。
千代田計器の電関、それにカツミの“こだま”型の美しさには、多くの方が惚れ惚れとされることでしょう。中で“明治12年製”という蒸機模型は、国宝級です。
ところで、本誌が対象とする“アメリカ型”のモデルでは、カツミが生産したスケール物でドックサイド、アトランティック、ビッグボーイの3種、それにティンプレートでライオネルとSAKAIぐらいです。これでも一部を除いて一般出版物では初めて出てきたものばかりでしょう。
なお、ティンプレート・メーカーの“SAKAI”の漢字表記が「阪井」とあるのは「酒井製作所」の間違いです(はぐるまや模型店のHP)。同じ“SAKAI”でもスケール物を売り出した関西のメーカー名は「阪井模型店」で合っています。
発行は誠分堂新光社で初版2001年6月21日とあって、出たばっかりです。本の体裁はA4版横綴じのハードカバー、全カラーの191頁です。誠文堂新光社のHPには化粧箱の外観が出ていますが、これは本の内容を全く反映していません。各頁には大判の写真が惜しげもなく配されて、著者の独特の語り口と相まち、この世界が憧れの対象だった時代へ確実に誘ってくれることを保証します。
アメリカ型資料室に、掲載メーカー名などを記しておきました。
同氏のカツミ・コレクションの一端はトレイン誌1996年12月号p74-79に現れていますので、まずこちらの御一読をお奨めしておきます。(同号には、Oゲージ自由形ショーティについての西原功氏の記事p80-83も掲載)
■旭屋本店では同時に「クルマはかくして作られる」という本を求めました。溶接ロボットが活躍したりという一般的な自動車工場のイメージではなくて、素材や部品の製造過程を、美しい写真と解りやすい図版で辿るルポルタージュです。畑違いとはいうものの、ここまでくれば鉄道車両も一緒だなあとつくづく感じました。
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