ホビータウン・オブ・ボストン再生!?
そのp48、ほんの小さな囲み広告です。F3、E6、E7などがホビータウン動力装置付き金属車体としてリストアップされています。早速、 示されたHP【2010年にリンク不可だったものが2018年7月復活】を訪ねてみると、PA、FA、RS3など、このブランド名で昔の雑誌に載っていた型式が並んでいました。
【左の縦長画像は、MR誌1956年12月号の広告です。アサーンのF7は、ゴムベルト駆動で非力だった頃のはずです。ただ不思議なことに、ボディがダイキャストである旨を謳っていません。既にプラスチック射出成形のモールドが人気を獲得していたのでしょうか? 2010-09-25】
老婆心ながら心配するのは、もちろん、これらの製品群が21世紀に通用するかということと、バウザー社との関係ですね。ちなみに、綴りがhobbytown of Bostonと、最初の“h”が小文字となっていて、所在地はニュージャージー州と、ボストンからは遠く離れた地です。
HP自体は、Bear Locomotive Co.という会社のもので、ここでは他にベアーメタルBearmetalという低融点金属を売っています。融点が華氏158度でプラスチック車体にも流し込めると書いてありました。華氏を摂氏に直せば70度ぐらいだと思います。“Bearmetal”は普通名詞なんでしょうか?
この号の小さい広告でもう一つ、目に付いたのは“イージー・へリックス”、すなわち螺旋線路基盤の製品です。このトレインスタイルズ社が開設している ホームページ と併せて解釈すると、曲線半径が28インチ(711mm)と30.75インチ(781mm)の複線が、4.5周して20インチ(508mm)を登り、勾配2.25%、材質はプラスチックということが判りました。ここに出てくる“easement”というのは、曲線の出入り口に設ける緩和曲線のことだと思います。増設オプションもあります。値段は、直販でブラスのディーゼル機関車1台分ぐらい、ただし送料が馬鹿にならないことでしょう。また、線路を基盤へ取り付ける方法が明記されていないのが不安です。
大きな広告では、トリックス/メルクリン社の2線式ビッグボーイが白眉です。車輪フランジ形状がRP25とありますから、全くのNMRAアメリカ仕様です。こちらのURL を覗くと、ボックスカー(B-50-24/B-50-27)、オープン・ホッパー(H-70-1)、それにカブース(CA-3/CA-4)と、UPに拘ったラインナップが揃えられていました。
また、バックマン社からはハリーポッターのホグワーツ急行が広告されていますが、 示されたHP と、ワーナー・ブラザーズ映画の HP(音付き)には製品についての情報が未だありません。【広告はRMJ誌01年10月号裏表紙】
カルンバック社では、インターモーダル関係のビデオRailroad and Intermodalと、書籍The Model Railroader's Guide to Intermodal Equipment and Operationsで、こちらは私も何かの折りに注文してみようと思っています。
ところで、記事の方で面白かったのはパシフィック・エレクトリックの、ポールが付いたディーゼル機VO1000のモデリングぐらいです。
いつも注目している“Ask Paint Shop”は、1900年頃の実物色見本帳が残っていた話です。プルマンの旧ブラウンと新グリーンが判り、PRRファン注視のブランズウィック・グリーンは、残念ながらキャブ室内用としてだけ掲載されている等々とありました。
■本メールマガジンが4ヶ月弱で早くも第50号を数え、また購読部数も92まで増えたことは、私にとっては正に望外の喜びです。これも偏に読者諸氏のご声援の賜と感謝申し上げます。
■トレイン・デポの牛島裕康店主とお会いしたら、ホビータウン・オブ・ボストンの話題となり、写真を送っていただきました。
ホビィタウン・オブ・ボストンというブランドには以前にもお話しが及んでいましたが、これは現在バウザーでキャリーというブランドで販売されている製品と思われます. あまり知られていないモデルですが熱烈なファンも少数ですがおられます。所有したくて購入した私の“コレクション”は現在機関車10両ほどですが、その中にF3のA+B+B+Aのセットでキープしてあり、いつの日か完成しようと思っています。もっともこのようなモデルを完成させるウデはないのですが……。
次は同じ頃に出ていたメンチーズの古いボックスカーです。これも現在バウザーで扱っており、同じように販売量はわずかですが安定して売れている立派な現行製品です。
2年ほど前にホビータウンを見たのは、トレインスタッフ社【リンク切れ】というレジンキット・メーカーのサイトでした。それが今度、ベアー・ロコモーティブ社 に替わったということの様です。
この2社にバウザー社がどう絡むのか定かではありませんが、同社キャリー・ブランドのURL には「ホビータウンは現在、ベアー・ロコモーティブ社が保有」というコメントがあります。詰まるところ、ホビータウンが引き継ぐに値する魅力ある製品群ということなのでしょうね。
【追記】BRASS SOLDERさんのブログ「……的 鉄道趣味生活」に、何とホビータウン・オブ・ボストンのアルコ製6軸スイッチャーが登場しました。何から何までダイキャストという何とも厳めしい構造です。9年前にこの記事を起こしたことを思い出して、画像追加など再編集を行いました。
なお、記事では「バウザーがホビータウン・オブ・ボストンを扱うようになっていた」という趣旨の記述をしていたものの、手元にあるカタログ、第14版(93年頃)と第15版(97年頃)には出ていません。現在の同社のサイトでも全く触れられていないし、その事実に自信が無くなってきています。またキャリーCaryとの関係が不明です。
復活した"hobbytown of Boston"の広告をMR誌に拾っていくと、2001年10月号から大きさはずっと同じで、内容が少しずつ変わり、03年4月号(右)まで断続的に続いていました。2010-09-25
【追記2】BRASS SOLDERさんのブログには引き続いて、アサーン社SD45の下回りだけを置き換える動力装置が登場しました。このダイキャスト製3軸HT-C台車は間違いなくアサーンです。
アサーンのSD45は1966年の発売で、そのときReady-to-runが14.95ドルだと、同年のMR誌1月号広告に出ています。そこから(オリジナルの方の)ホビータウン・オブ・ボストンを拾っていくと、70年4月号(左)に初めてクダンの動力装置が登場して、なんと25.95ドルでした。
アサーンの方も値上がりしていたにしてもベラボウです。その後、現物の写真は一度も現れないし、雑誌編集部の商品紹介も見付けられませんから、これだけで購入せよというのは、どだい無理な話です。
まあ日本の模型店で現物を目にして求めたとして、為替レートは1ドル360円ですから、9,300円余。送料と関税、それに手数料を加えて、ざっと2万円。誰だって同じくらいのカツミのシュパーブC62を選びますよね。2010-09-26
【追記3】BRASS SOLDERさんのブログに、またまた前世紀の遺物が登場で、何と今度は、ダイキャスト一体ボディのCary Locomotive Worksです。いくらバウザー社が今でも扱っているからといって、開いた口が塞がりません。
バウザー社の歴史を紹介するページには「1988年5月に加わった」とあったので、それ以前のMR誌を探すと、87年12月号が最後で、GP9のフェーズ1/2とフェーズ3が写真付きで広告されていました。(MR誌の過去号DVDで検索してみると、キャリー名の広告が1993年9月号にもありました。バウザーでの登場は1995年5月号です。この差はなんなのでしょうか? 2012-09-24)
ここにはもう少し面白いものをということで、75年12月号をアップしておきます。下回りに2種類の選択肢があって、必ずホビータウン・オブ・ボストンが入っているところを見ると、動力装置として結構、認識されていたとも解釈できます。
所在地がイリノイ州キャリーですから、社名はこれに拠っていたのですね。
私の持っているCary製品は、Bowser社の品番LV-424(プライスリストの半分辺り)、EMD Louversだけです。2009年1月9日の号で一度言及しましたが、ノリ付アルミ箔を単にエンボス加工したシロモノです。2010-09-28
【追記4】銀紙のアイデアをTMS誌に2つ、見つけました。9mmゲージのオハ31を利用してリベットを表現する技法が、東京都鈴木芳三さんで1966年12月号p813「私の鉄道から」にありました。中村汪介氏の考案でトキ25000のプレス製アオリ戸を作る編集部の作例が1968年11月号p726-730です。2017-07-04
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