ブラスの新製品も、ますます絶好調
back issue Vol.46 Aug. 29, 2001, re-edited on Nov. 27, 2010
モデルはPSC製DM&IR 0-10-0 S-6
先日のJAMコンベンションでの楽しみの一つは、それぞれの分野の達人によるクリニックを拝聴することでしたが、その中で、漫画家の水野良太郎氏と、メディカルアートの山添明氏が登場された「あなたにも模型店が開ける」という講演は、本音が入り交じって中々楽しい掛け合いでした。
それに釣られて日頃、心配で仕方が無かったことを質問してみました。
近年、模型店ではエバーグリーンを代表とする中古品を扱うところが増えてきて、またヤフー・オークションなどの個人取り引きが活発になって、私は最近、専らここで買い物をしていて、新品は全く買わなくなってしまった。というよりも、買う必要が無くなってしまった。
なぜなら、昔は「手に入れておかなければ、一生困る」という憂いがあったので、新発売となるたびにセッセと購入していたが、今では「必要になった時点で探せば何とかなるはず」という意識になり、私自身は新製品を買わなくなった。もし、これが一般的な傾向ならば、業界として縮小の方向に進んでしまうのではないか。
などという愚問です。
これに対する答えは、「そんな心配は全く要らない。最新グレードのモデルを持ちたい人、他人の手垢が付いていない製品を好む人はたくさんいるから、新商品は続々と捌ける」というものでした。
私自身は、モデルの存在を自己表現の一手段としか解釈していなかったのですけれど、そういう人間だけではないということにハタと気付いた次第です。正に目からウロコでした。当たり前ですが、模型を所有することを純粋に楽しむという視点があったのですね。
考えてみれば、中古市場やネット・オークションが日本以上に進んでいるアメリカにおいて、プラスチックでもブラスでも新製品がドンドン出ているのですから、私の心配が杞憂であることは自明でした。
過日、デンバーにある世界最大級の模型店、カブース・ホビーズから月刊のブラスモデル・リストが送られてきた中に、“アップカミング”、すなわち新製品の予告がビッシリと全部で9ページも続いていたのを見て、この調子なら我が国でも大丈夫だと心を強くした次第です。
さて、その一覧を拡大鏡片手にツブサに読んでいくと、私には価値があまり判りませんが、何から何まで売り出される様な気になってきます。
まずチャレンジャー・インポーツ社(CIL)では、EMDのE7、E8、E9という旅客用ディーゼル機の各鉄道バージョンと客車編成、C&OのミカドK2、K3、K3a、グリーンブライヤーJ3、J3aとバリエーションを揃えて予告されています。これらの蒸機はアメリカ的な巨人機ではないものの、どれも端正なスタイルで私は好きなエンジンです。
一方、オリエンタル・リミテッド社(OL)はCB&QのO-5、O-5a、O-5bのシリーズです。
客車の得意なコーチ・ヤード社(CY)はサンタフェで、1938年チーフの10両編成、1950年代サンディガン、1939年バーレィ・フライヤーは牽引機の流線型パシを含めて等々、SPは1937年デイライト10+2両編成等、UPはシティ・オブ・ロサンゼルスの1955年ドームライナー11+3両編成と、シティ・オブ・ポートランドの1955年10+3両編成、シティ・オブ・セントルイスの10+3両編成という凄まじさです。
また、SPの1937年デイライトは、ホールマーク社からも“スーパー・クラウン”と銘打ってアナウンスがあります。
オーバーランド・モデルズ社(OMI)ではダブル・エンジン機のDD35が、キャブ付きのAと無しのB、GP35を加えたデモンストレーション・セットなどという多彩なバリエーションで並んでいます。また、DDA40Xは6936号機のウィング付きというのですから、保存機の最新スキームでしょうか。先に予告されているSD90MACや、GEのC60AC、U50Dなど、巨大機は新旧共に需要が尽きないようです。
ところで私が“ゲッ”と声を上げたのは、どちらかといえば小物であるBNのGP35、フリスコ鉄道引継機です。これはエアータンク2本を屋根上に背負った特異なスタイルをしていて、トルペード・ボート=魚雷艇というあだ名のある、その筋のファンには名の知られた機関車でして、このために私はカトーのフェーズIbを仕込んでいたのですが、このアナウンスには大いに悩むところです。
また以前にもお知らせしたとおり、OMIではカブースの各鉄道フルラインナップが出荷間近となっていますから、揃えようと考えておられる方にはチャンスです。Overland Models
という具合で、紹介しても紹介し切れない分量が、後から後からアナウンスされるのですから、今のところ、この世界は不景気に縁遠いと見て間違いが無いでしょう。私も、購入した全てのモデルに自分なりの手を加えるなどという大それた考えはキレイサッパリ捨てて、メーカーが心血を注いで仕上げた製品や、インポーターがコダワりを持って企画したブラスモデルを愛でる心を持ちたいと思います。しかし、フトコロの余裕が……。
■インポーターのHPを判っている範囲で披露しておきます。
3rd Rail of Sunset
Car & Locomotive Shop
Carworks, The
Challenger Imports
Coach Yard, The(CY)
Division Point
Hallmark Models
Kohs & Company
MTS Imports
Pecos River Brass
Precision Scale PSC
Rail Classics
Overland Models(OMI)
ただし、Key Imports、Oriental Limited(OL)、W&R、Railworksについては見つかりませんでした。
【追記】現時点では、インポーター4社が消えています。Key Model Importsはありました。
その後、ブラス・モデルが急激に凋落したことを思うと、私の不安も全くの的外れではなかったのでしょう。「オーバーランド・モデルズの10年」の文も併せてご覧ください。2010-11-27
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