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2004/06/02

日本型の連結器高さは何mm?

back number Vol.52, Sept. 12, 2001, re-edited on Nov. 27, 2010

Tt9logo またJAMコンベンションのときの思い出です。
  TT9といえば、9mmゲージの線路に1/120の車両を走らす、いのうえこーいち氏が提唱された全く新しいゲージ・スケールということは、皆さんもよくご存知のとおりです。御本人が説明役を務める当日のブースで、C62の組立見本がデモンストレーション走行するのを、松尾彦孝氏と小一時間も眺めていました。

 縮尺の数字だけを取り上げれば、単にNとHOの中間ということなのでしょうが、それだけでは想像できない、実際に出現したモデルの新鮮な感覚には驚きました。特に傍らに展示してあったホィールセット、組み立てられた車輪車軸には媚薬の匂いが漂っていましたから、それが醸し出すファイン・スケール感の虜となる人間が、とくにNゲージャーで続出するという予感が確かにあります。

 発売予定新製品などについて熱っぽく語られていた中で、連結器の話には特に感銘を受けました。
 標準装備をマイクロトレインズ社のN用ケーディー・タイプとするけれど、カプラー高さが縮尺どおりだとNゲージより1mmほど高くなるので、開放ピンの長い特製品を供給してもらいたいとメーカーに持ち掛けたら、最小注文ロットに大きな数量を要求されて諦めたというような裏話です。

 「そこまで徹底的に考えるか」と、氏の意気込みをヒシヒシと感じました。そんなわけでTT9は、必ずや我が国で一つのジャンルを築くことは疑いの無いところです。

 さて、それで思い出したのは16.5mm、1/80の世界のことです。
 実車の自動連結器高さは、アメリカの1,435mmでも、日本の1,067mmでも、標準は約880mmです。
 それをアメリカでは1/87の10mm(説明書の表記は25/64インチ)としているのに対して、日本の1/80では11mmとなるのに、一般的にケーディ・カプラーの規格のままの10mmとしてしまっていることです。

【追記】米国の規格を調べていたら、数字を発見しました。レール面上中心高さは標準33"(838ミリ)、空車時最大は34½±1"(876 ± 25ミリ)、最大荷重時最小は31½±1"(800 ± 25ミリ)です。880ミリという記憶は、空車時ですね。模型用の図面が、これで描かれていたのでしょう。蒸機やディーゼル機は燃料の満空で変わります。じゃあ、何も載せない電機はどうなんでしょうか。2024-12-20

 TT9を見た直後に、この話を日本型の貨車に造詣の深い木下章氏にしたところ、「正にそれが悩み」との言葉が返ってきたのは、過去にたくさんの友人たちに喋ってきて、初めて話しの合った瞬間でした。

 私自身は25年ほど前、地方小私鉄の電車を作ったとき、実物の連結器が端梁の中央から出ているのに、モデルでは下になってしまうことで気が付きましたけれど、ちょうど日本でケーディーが普及し始めた時分で、この矛盾に言及した雑誌記事にはお目にかかれなかったものですから、私自身も10mmのままとしてしまいました。

 今なら当然、これを11mmとして、開放ピンの曲げを直したことだろうと思います。ただ、近年は日本型に関心を失いましたので、現在の趨勢がどうなっているのかを全く知らないのですが、先日からまたこの地方電車を弄っていますので、13mmゲージを含めて、どなたかご存知でしたら、御教えいただきたいと存じます。

 話が本誌の主題のアメリカ型からはちょっと外れてしまいましたね。ケーディータイプ・カプラーの最大の弱点は、上下方向の食い違いで起こり易い自然解放ですから、我々も関心を持つ必要のある事項だと思い、書かせていただきました。

昨夜は残念ながら、とんでも無い事件が発生してしまいました。我らが憧れる彼の国の安寧を心より祈りたいと思います。

Img_typ3jidtl02【追記】2012年2月に発売されたHOゲージ、造形村のDD54が上シャンク・カプラーだったことは、正にこの問題の故でしょう。
 ただ、メーカーのサイト(写真を引用)や、“とれいん”誌の製品紹介では言及されていません。JM(13㎜)ゲージャーには気付いている方がおられます。
 なお、シャンクshankは柄・軸部のことですから、この写真は正に「上」です。2012-04-01

 

 

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