UPファン日記◆BIGBOYの時代変化とモデル
back number Vol.51, Sept. 9, 2001, re-edited on Nov. 27, 2010
by Bullmoose稲垣
BIGBOYは、1941年の製造から1963年の除籍まで変化の少ない機関車です。それだけにかえって時代考証が怠られがちとも言えます。簡単に形態変化と模型について概観してみたいと思います。
最初の変化は、スチーム・デリバリーパイプのスリップ・ジョイント(後ろのシリンダーと、スチームパイプのジョイント)にスプリングが1946年までに付いたことです。
そして1947~1948年にはテンダーに増炭板が、また発電機が従台車前からボイラー上に移設されました。そして、ヘッドライトにつけられているナンバープレートのガラス部分が鉄板でふさがれています。
BIGBOYは、パイロットからランボードに上がる通路が、パイロットの踏み台とランボードにぶら下がるステップで構成され、最初は両者の間はつながっていないのですが、1949年頃、この間を板で塞いで踏み外し防止対策がなされました。
先頭部の連結器は回転式でしたが、冬の凍結で作動しなくなるので、1950年頃に、回転機構が故障した機関車から半固定式に改造しています。
1951年には、BIGBOYの1次型の特徴であるデッキ上の放熱管がデッキ下に移設されました。同時にモーションプレート上の給油器がロッド駆動から、チェーン駆動に変わりました。また、テンダー上のウッドデッキが撤去されています。
大まかな変化は以上と思われます。他にもリンケージの取り回しの変化もありますが、それぞれ各個体によって違うので省きました。
さて、模型ですが、OMIは各年代ごとの作りわけを行っているので問題ありません。KEYはというと、クラッシック・シリーズの#4000は新造時のスタイルで、1941年から1946年位のスタイルです。天賞堂は、発電機がボイラー上に、放熱管がデッキ上にある点、ステップの踏み外し防止対策済から1949~1951年のスタイルということになります。
やはりOMIはすごいと思いますね。スモーク・リフターつき4019の模型をみても1946年の特徴を押さえています。さらに1992年製造ではテンダーのマースライトのレンズが透明だったのですが、1996年版ではちゃんと赤色に変更されています。細かい改良が行われているところがすごいですね。
マスプロ製品ではどうかといいますと、リバロッシは残念ながら問題外です。
細部にこだわるだけのディテールを備えていませんし、それがこの模型の存在意味ではありません。すばらしい走行性能と、的確なプロポーションで、脱線とか気にせず走らせられることに意義があります。まあ、日本では馬鹿高いので、ブラスを買ったほうがよっぽどいいのですが……。
次はTRIXです。メルクリンのDC版としてまもなく発売されますが、こちらはすごい!
ダイキャスト製で重量感たっぷりの上に、うれしいことに#4013の特定ナンバー機で1959年のスタイルであることを公式にアナウンスしています。さて、どんな出来なんでしょうね。ただ、4013は1959年には営業運転をしていませんけれど……。
4013は、1956年以降はデッキ上のナンバープレートが鉄板を切り抜いた物に、ステンシルでナンバーを書いただけの物をつけています。TRIX製はどうやら鋳造製のちゃんとした物をつけているようなので、ナンバーと縁取りを削り取ってデカールで仕上げたいものです。ちなみに#4019も1950年以降はナンバープレートが800クラス型のシールドの物をつけています。
UPはカブースを、1947年の夏からアーマーイエローに塗り替えはじめました。また1952年以降は、”UNION PACIFIC”のレタリングの上にある1インチのストライプがなくなりますし、1956年以降はスローガンを貼り出します。
BIGBOYに引かせるカブースを、みなさんは年代別にお集めになっていますか?
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