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2004/07/09

アサーン貨車:やはりカプラーは手が掛かる◆檜山和明氏

back number Vol.69, Oct. 23, 2001, re-edited on Nov. 27, 2010

by 檜山和明

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 先日、配信された「Vol.66 製品リポート アサーン貨車には#27が」は、私も常々関心を持っていたことですので興味深く読ませていただきました。以来このことが頭を離れずおりましたが、今日になって手持ちの製品を計測してみまして、具体的な数字がわかり、なんとなく理解出来たような気がするので、報告する次第です。
  私のところでカプラー高さが問題となったのは品番5000台の40フィート・ボックスカーで、やはりドラフトギアにそのまま#5では低過ぎたのです。アメリカ型を始めた頃に製品を素組みしていたときには、何の疑いも無く台車センターピンにケーディー社品番208のワッシャを挟んでいました。

  編集長は「#27が適合」と書いておられますが、やはり#27では1.2mmも上がってしまいますから、高過ぎると思います。私の場合は約0.5mm上がれば良いような気がしたのでワッシャをカマしたわけで、これで品番205のカプラー高さゲージに合致しました。ウォルサーズ・カタログの「#5+Shims」という記載は、多分こういう意味で、「Shim」と「Washer」は言葉のアヤだろうと思います。

 それから解放ピンの曲げの問題ですが、最近のケーディーはアームの曲げ具合が甘いと思います。車体に取り付けてハイトゲージにあてがってみると、ナックルヘッドはちょうど良い高さなのに、ピンはゲージの下部のベロ(レール面上0.8mmに設定されている)に当たってしまう、すなわち低すぎることがほとんどです。ということで、品番237の解放ピン・プライヤーには出番があると思います。

 ところで、私のボックスカーで問題が起こったのはペンシィのリビルド車を作った時でした。実物写真ではサイドシルが低く、車輪上部が隠れているように見えるのですが、模型でいつものようにワッシャをカマすと車輪が丸見えになってしまうのです。これではせっかく加工したのに感じが出ないので悩んでしまいました。

 そして気が付いたことは台車センターピンにワッシャでは台枠そのものが上がってしまうから、それを避けるためにはカプラーだけを上げれば良いのだということです。40フィート・ボックスカーの魚骨フレームをよくよく観察するとドラフトギア上部の厚みが約1.5mmありました。これに対してケーディー#5の同じ部分は0.6mmしかありません。

 つまり製品のポケット部分を切り取って#5のそれに交換するだけで0.9mmも上げられるいうことです。(このままでは、ちょっと上がり過ぎなのですが……)

 さて、交換すれば確かに良いことは良いのですけれど、我らが編集長も書かれている通り鉄板に穴をあけるのは容易なことではありません。ましてプラの床板にゴム系接着剤で鉄板を貼り付けてしまった後となってはなおさらでした。しかし、 ペンシィのリビルド・ボックスカーにコダワリがあったので、無理やり、このように改造しました。ウエイトが剥がれなかった車は潔く新品と交換しています。

 あと、以前に組んだペンシィ物以外は仕方がないのでそのままとし、今後組み立てるものについては、予めボール盤で鉄板に大きめの逃げ穴を開ける事としました。

 ところで最近、40フィート・ボックスカーの魚骨が変わったのを皆さんはご存知でしょうか?  台車を取り付ける部分(日本型ではボルスターと呼ぶ所)の厚みが以前は1.0mm程度だったのに、最近ここが1.5mmになった製品があるのです。先日求めたハイキューブ(背高)タイプで、例のラベル文字がゴシックのものや、いくつかの品番5000台等にこのフレームが入っていました。また、部品で買った魚骨フレーム(品番12026)もこうなっています。

 つまりアサーン自身がカプラー高さの問題を本気で考えて、対策してきたということだと思います。今まではあくまでもホーンフックが製品純正のカプラーだったので、ケーディーに交換するのは客の勝手に過ぎず、問題にならなかったわけですが、E-Zメイトを標準のカプラーにするためにはNMRAに、またはデファクト・スタンダードであるケーディーに準拠しないわけには行かないということなのでしょう。

 この文章を書いているうちに「そういえば50フィート車にはワッシャを入れてないぞ」と気が付きました。そこで魚骨を見たところドラフトギア上部の厚みは1.1mmでした。ほんの少しですが40フィート車よりも高いので、ワッシャを入れなくとも良かったということです。

 日本の雑誌でこのような内容が記事になることは皆無で、またMR誌などを読んでも英語の理解力の問題があるので一人で悩んでいました。こういう微妙な問題を話題とすることが出来るのも、インターネット時代の賜だと思います。読者の皆さんにドンドン参加していただき、もちろん編集長にも頑張っていただいて、私たちの趣味が発展していくことを祈っております。
 Fire Mountain & Western R.R.

■今は無きアルコ、アメリカン・ロコモーティブ社の、今年が創業100年だということで、その記念行事を取材した記事が鉄道ファン誌12月号に出ていました。テキストの方は残念ながら一般的なファンを対象としたもので、本メール・マガジンの読者の方々には食い足りなさが残る内容ですが、写真の方は執筆者がメーカーから直接入手したものばかりですから、この辺りを守備範囲とされている方にはお薦めでしょう。なお「アルコ」は、「ALCO」、「Alco」に加えて「ALCo」とも表記されますが、その理由はお解りですよね。(栗)

【追記1】檜山さんから続報として旧掲示板に投稿いただいた内容です。
[288] アサーンのカプラー補遺 檜山和明 2001/10/30 08:02:52
Floorpa3003
 皆さんこんにちは。先日は私のつたないリポートをお読みいただきありがとうございました。
 10月29日に配信された編集長によるアサーンボックスカーへの加工を読んで、なるほどと感心いたしました。プラ板を貼るのはなかなかのアイディアと思います。

 さて、#5のドラフトギアに交換する件ですが、私は鉄板には取り付けていません。10月29日号を読んで「あっ!!」と気が付いたのですが、10月23日の Vol. 69において私は肝心なことを書き忘れていました。実は床板を裏返して使用しているのです。

 下から「魚骨」+「床板(裏返し)」+鉄板と重ねています。
 つまり床下には木目の筋が見えて、鉄板は車内にあります。私の場合ドアを固定してしまうのでこれでよいわけです。

 文章では判りにくいと思いますので画像をご覧いただければ幸いです。では、失礼します。

【追記2】この14年後、床板を車体に留める方法の良く判る写真がブログの方に掲載されました。NYCの50フィート車です。側板に開けられた小さな四角穴を埋める点といい、この記事では全く触れられていない部分も判明しています。2015-12-06

【追記3】同氏ブログのNYC車の記事で言及された解説本が次の"Freight Car Projects and Ideas"です(1997年刊、アメリカ型資料室)。このp11にJohn Nehrichという人が床板反転法について書かれています。
 ただし、写真のコントラストが不鮮明で理解しにくい上に、カプラー高さを改善する主旨は述べられていないのです。それを読み解いた眼力には舌を巻かざるを得ません。また、ドア下部のガイドを掴む爪2つを切り取って、ドア自体を固定化するなど、「適宜簡略化」の意味がやっと解りました。2015-12-10

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