アサーン40'ボックスカー組立法の決定版
Back Issue No.71, Oct. 29, 2001, re-edited Feb. 18, 2010
Correct installation of Kadee couplers to the Athearn's 40' boxcars of Blue Box brand
檜山和明氏による10月23日号(Vol.69)の、製品のポケット部分を切り取って、ポケットごと#5に交換したという報告を読んでいて、アイデアを一つ、思いつきました。【決定版などと不遜な題名に書き換えたことをお許しください。まあ、私の中ではということで‥‥2013-09-06】
CB&Q 61417, Burlington Route R.P.I. Award Winner 1966
モデルはCascade Green Forever!に展示
【アサーン青箱キットは元来、カプラーがNMRAホーンフック・タイプで設計されているので、ケーディーとしたときの高さが低めになります。また、次の写真でお判りいただけるように、カプラーが取り付けられている魚骨モールドが変形しやすく、上下の寸法が不安定です。
それで、ナックルが上付きの#27を使ってきたものの、完全ではありませんでした】
アサーン社の貨車で従来製品は、床板の下にウェイト鉄板(軟鋼板)、その下に魚骨状の台枠という3層となっていて、この魚骨の端部にカプラーポケットが付属しています。
すなわち、このカプラーポケットを取り去ると、新たに設けようとするケーディーのポケットは、鉄板にネジ止めする必要が出てくるわけです。ところが、鉄板は固いので、孔明けやネジ切りに難渋することとなります。
そこで、檜山氏のアイデアは、床板を鉄板ごと引っくり返すというものでした。ところが40フィート・スチール・ボックスカーは、床板の車体への固定が、床板左右の突起が側出入り口下辺に食い込む方法となっています。すなわち、引っくり返すと、この突起を削り取る必要が出てきて、床板の固定がままなりません。
私の思いつきは、この鉄板をプラスチック板に置き換えるというものです。それによって、床板の固定方法は維持されます。また、取付ネジの孔明けはピンバイスでも可能となり、かつ床板、プラスチック板、魚骨台枠相互の接着も容易となります。
そして、鉄板は床板の上面に接着しても車体を被せられますから、引き続きウェイトとして使えます。ただし、松本謙一氏がトレイン誌2001年2月号で披瀝された様に、ドアを少し開けて人形を仕込むなどという楽しみ方には、向きません。
早速手持ちの40フィート・ボックスカーを取り出してきて、加工してみました。
鉄板と同じ厚さ1.5mmのプラスチック板を30.0mm×139.5mmに切り出し、台車センターピンの位置に5mm強の孔を開けます。さらに魚骨台枠のカプラーポケットも切り取ります。
床板と1.5mmプラ板、プラ板と魚骨の順番で、サラサラ・タイプの接着剤を流して固定します。この副次効果として、モールドの歪みを矯正することも出来ます。
左が鉄板を1.5mm厚プラ板に交換する組み合わせで、右は製品オリジナルの構成です。なお、この写真のプラ板は白色ですけれど、今では黒色を売っています。黒色は、塗装する場合には吹き残りが判り難く、横着な無塗装でもバレ難いことになります。
ウエイト鉄板は塗装して、厚手の自動車内装用両面テープで床板に貼り付けます。次の写真で、鉄板はグリーンに塗っています。
カプラーの取付ビスは、M2×6のナベ小ネジがピッタリです。これより長い8mm長だと、ウエイト鉄板に支障します。私はネジ専門店で黒色を求めました。頭だけ油性ペンで塗る手もあります。
次の左が完成後の姿で、カプラーポケットをプラの床板に直付けしています。
右はキットそのままの構造で、中心ピンに3mmビス用の平ワッシャを噛ましています。
そして台車を取り付け、プラスチック板下面のレール面上高さを測ってみますと、両端とも約11.5mmでした。これはケーディー#5の推奨値にピッタリ、すなわち調整の余裕代の無いギリギリの寸法です。檜山氏のニュアンスとの差は、40フィートと50フィートの違いで、後者では魚骨と一体のボルスター部分が0.5mmほど低いからです。【50フィート・モデルでこの方法を採用する場合は、別記事をご参照ください】
カプラーポケットの上下寸法に精度がある品番233、242や262で、特に有効です。
別の1両に、台車中心ピンにワッシャを挟む方法を採用してみました。手元にあった3mmビス用の平ワッシャ0.5mm厚と0.25mm厚を重ねて、ソコソコのカプラー高さが出ています。ただし、これ以上にワッシャを挟むのは、台車側の孔が車体側のボスに引っ掛からなくなりますから、難しいことでしょう。
さて今回、組み立てた製品は、私が“コダワリ”を持っているモデルです。アサーンが“スペシャル・エディション”=SEと銘打って1995年から売り出したシリーズの内、1997年1月分の品番2314、CB&Q鉄道のゴールド塗装ボックスカー3両セットです。
“CB&Q Color Guide to Freight and Passenger Equipment"という写真集に拠れば、1966年の鉄道技術向上学会Railway Progress Institutesで貨車部門金賞を獲得した記念として、同鉄道のHavelock工場から12月のある1日に出場した8両に施された特別塗装なんです。
私は、CB&QがBNに合併した1970年以降にもこの金色塗装のままで存在していたという理屈を付けて購入しました。
なお、アサーン・コレクターの必携本であるStandard Guide to Athearn Model Trains(1998年刊)に、最初の印刷分は「R. P. I. AWAED WINNER 1966」とスペルが間違っていると書いてあります。私のものは残念ながら?正しい「AWARD」となっていました。
アサーン社のスペシャル・エディション(SE)シリーズは、同社のHP http://athearn.com/ にリストアップ【現在はリンク切れ】されています。この62種類の中から、私はラッキーが重なって10セットを保有しています。プラスチックのモールド自体は普通の製品と変わるところがないのですけれど、このコンジキ貨車の様な“お宝”もあります。よって、模型店でブルーの箱を見掛けたら中身の確認が必須である、と断言しておきます
■この土曜日の(2001年10月)27日に“鉄道模型in鞍馬”に行ってきました。京都の叡山電鉄が開催する今年が6回目となるイベントです。昨年からトミーがプラレールのブースを設けたり、鉄道グッズのコーナーが幅を利かせたりと、年々“模型”色の褪せていくところが寂しい限りですが、この方が参加者を増やせますから主催者本来の目的に叶っているということなのでしょう。
私はフリーマーケットに加えてもらって、アメリカ型のプラ貨車4台が計1,100円で売れたところで引き揚げました。叡電は京阪グループの一員ですからその方面のファンには堪えられない催しと言えます。
【追記1】台車中心ピン用のワッシャは先日、大阪は日本橋のネジ専門店で探したところ、0.5mm厚と0.8mm厚を売っていました。前者0.5mm厚の外形は6mmで黒色処理が施されたものがありました。後者の0.8mm厚は外形8mmで金属色のままのものしかありませんから、こちらを使う場合は周囲だけでも油性ペンなどで黒く塗ったほうが良いと思います。どちらも100枚で80円という安さでした。2001-11-03
【追記2】40フィート・ハイキューブ・ボックスカー3両を、この手法で組み立て直しました。それを機会に、この記事に写真を追加して、テキストも補筆しています。モデルは、Cascade Green Forever!をご覧ください。なお、当時は車輪がプラスチック製のままでした。2011-07-02
【追記3】記事を少し手直ししました。床板全体をアキュレール製に交換した記事もご覧ください。2013-09-08
【追記4】アサーンの床下構造のまま、アキュレールのブレーキ・リギングを取り付けてみました。ここです。2015-02-24
【追記5】あちらのMRフォーラムにも同様の主旨の手法紹介が現われました。ただ、すこぶる面倒です。2018-08-06
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