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2004/10/04

ハイライナーズ社のFユニット・キット

back issue vol.94 Feb. 17, 2002, re-edited on Nov. 27, 2010

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 とうとう、Highliners社のEMD、Fシリーズの運転台付きAユニットを入手しました。数年前に運転台無しBユニットを買っていましたので、それなりに優秀さは認識していたのですが、今回のAユニットは添付パーツ数も多く、待った甲斐のある素晴らしい製品です。

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 このキットは、MR誌の1998年10月号に拠れば、ハイライナーズ社が設計で、アサーン社が製造を担当し、販売はアンデコ車体キットがハイライナーズ・ブランド、塗装済がアサーンのジェネシス・ラインとなっているとのことです。Bユニットの方は、シェルの裏に「1988」とか「1989」と刻印されていますので、その年の頃に発売され始めた製品だと思います。

 FシリーズはF2からF9まで、ドッグノーズと車体長、それに台車が同じで、屋根上のファンやサイド・グリルなどにバリエーションを持つというスタイルですから、正に実物を踏襲するキットです。
 広告はRMC誌2002年2月号から転載しました。

 Fシリーズの変遷については本誌Vol.25で紹介の「カトーニュース92年春号の説明図、またはMR誌1998年7月号の「Prototype Info」のページなどをご覧ください。
 なおシリーズ最初のFTは、車体長が短いので、このキットに含めることが出来ません。

 では、キットを見ていきましょう。
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 まず驚くのは圧倒的に増えたパーツの数です。Bユニットとは、こうも違うのかと改めて驚きますが、定価がBの36ドル弱に対して、Aが48ドル弱というのは、これだけ凄まじいと“お買い得”と言えるかも知れません。選択別付けのパーツ数を数えると、サイドの窓回りが5種類、スカートが2種類、正面ドアが3種類、ドア・ハンドルも2種類、窓ガラスは正面と側面共に2種類ずつ等々、枚挙にイトマがありません。

 うれしいのはエッチング・パーツで、ブラックとシルバーに作り分けられ、2種類の前部コーナーステップ、サイド・ステップの蹴込み板、ワイパーや吊環など、盛りだくさんです。殊に運転台側窓にはサッシが用意されています。
  車体のモールドの方は、金型の合わせ目=パーテーション・ラインがほとんど判りません。僅かに前部の左右に出ているものの、サンドペーパーで正に削除しやすい位置にあります。ヒケは全く無いと申し上げて良いでしょう。一番心配だった正面窓と鼻の形状は、実物の雰囲気通りだと思います。正面窓開口部下辺の抜き勾配がガラス面に直角ではありませんが、ガラスパーツの方にも角度が付けてありますから、ピッタリと填るようです。

 説明書は、懇切丁寧の一語に尽きます。スリー・クオーターのイラストと、各バージョンの違いが一発で判るサイド・ビューなど、エッチング・パーツの折り曲げ方を含めて、ステップ・バイ・ステップで、微に入り細に入りなものとなっています。

 コーナーステップの取り付けに至っては、「2時間硬化型エポキシを薄く塗って、20-30分後に差し込め」等とあります。
 ガラス類の取付では「模型飛行機の透明キャノーピー用を使え」とか、ヘッドライトの鏡面には「Baremetal Foilの“クローム”をマイクロスケール社のメタルホイル用接着剤で」などと、私には初耳の知見もイッパイで、ビックリさせられます。
 “Baremetal Foil”というのは、何かの商品名なんでしょうか(ベアメタルについては鉄道模型大辞典を参照)。
 キャノーピー用接着剤もご存じの方がおられましたら、御教示ください。窓ガラスは透明感が抜群であるものの極めて薄いので、車体への取り付け方法がポイントになります。

 また、エアー・ホーン用のスプルー=ランナーをスカートの内側で空気管の保持に使うなどと書かれていますから、説明書には全て目を通す必要があります。

 何はともあれ、切ったり貼ったりが好きな方々には堪らないキットでしょうが、実物の資料を揃えることに始まって、弄る者への要求も相当にハイレベルであることを覚悟しなければなりません。

 ところで、この製品に含まれていないパーツはカプラーと動力ユニットを除けば、手すり用などの線材とサイド・グリルぐらいのものです。サイド・グリルは、BユニットではF3用が付属していましたが、Aでは完全に別売となっていて、F3のチキン・ワイヤー(金網)型の外にF7のホリゾンタル(水平)型、F9のバーチカル(垂直)型があります。もちろんBのF7用とF9用も別売されています。
 なお、エアーホーンはプラスチック・モールド品が含まれているものの、強度的に不安ですから金属製に置き換えた方がいいと思います。鉄道会社固有のアンテナとかビーコンなんかも当然、別です。

 また動力ユニットをどうするかという問題ですが、上回りとの固定方法に未知の部分があるものの、ステュワートとインターマウンテンから発売されていますし、安価に上げるのならライフライク・プロト1000のF3を丸ごと買って足回りだけ使うという様な方法が考えられます。

 というわけで、このキットを使ってサンタフェやペンシィなど、各誌ではこれから作例が続々と発表されることでしょう。私だったらプロト2000のE8でキャブだけ切り接ぐなどという荒技を是非、やってみたいところですが……

【追記】同社から発売されたF7用グリルの紹介もご覧ください。またF'Trackさんがブログで「私の宝物」と題して本製品への熱い思いが語られておられます。2010-03-13

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コメント

キャノーピー用接着剤について
パワーズジャパンで輸入している
ZAP FORMULA 560 CANOPY GLUE
¥450
URLぱ不明 パワーズジャパンで検索しZAPをクリックすればいろいろな接着材がのっています。
ご使用しましたらご報告願います
当方もハイライナーズのFユニットを購入し組立中です。
下フレームは真鍮削り出しする予定で燃料タンクやバッテリーケースを輸入し入荷待ちです。
3CADで図面を作成しているところです

>>そりゃあ凄いですね。御発表を心待ちにしています。ZAP(サイトはここ)の使用感も是非、伺いたいものです。当方は‥‥キット・コレクターに成り下がっています(涙)【ワークスK】

投稿: 表  実 | 2012/02/17 22:28

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