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2004/10/06

デカールの奥義

back issue Vol.96 Feb. 2, 2002

BN1876front   手掛けていたキットバッシュが壁にぶつかったので、先週辺りから、長い間放置していた貨車のデカール貼りを再開しました。しかし、こちらも上手くいきません。一部に混ぜた自作デカールの方はいいのですが、マイクロスケール社のBNロゴがチャンと貼れないのです。

  裏紙から滑らせて所定の位置に止め、一晩置くと白く浮いた部分が出てきたので、同社のデカール柔軟剤であるマイクロ・セットを使うと、さらにリベットなどの周囲が浮いてしまいました。仕方が無いので、強力なウォルサーズ社のソルバセットを掛けると密着はするものの、案の定、空気の泡が無数のブツブツとなって出てきてしまいます。こうなったら、カミさんから待ち針を借りて、一つ一つを潰すしかありません。そしてまたソルバセット、残った泡に待ち針、さらにソルバセットと数回繰り返して、何とか目立たなくはなりました。
  まあ、今までも偶にはこういうことがありましたけれど、今度は手掛けた4両とも同じで、もうガッカリです。自分の知らないノウハウでもあるのだろうかと、アメリカ型ファンの必携本であるトレイン誌増刊の「グリーンリバー・リポート」や、カームバック社の「ペインティング&ウェザリング・レールロード・モデルズ」、さらにプラスチック・モデルの入門書であるホビージャパン社の「パーフェクトモデリングマニュアル1」を取っ替え引っ返え読み返すのですけれど、解かりません。
  どうして皆さんは悩まないのでしょうか。飛行機や自動車にも大きなマークがたくさん貼ってあるのに、なんであんなにキレイに貼られているのでしょうか。あるいは私と同じ様に針で突ついているんでしょうか。
  淀川水系を使う水道水が悪いのか、水を煮沸して溶解酸素を除去しなければいけないのか、突くのに使っている爪楊枝の材質が悪いのか、とまで疑いたくなります。

 そこで昼休みに会社近くの大きな本屋へ行き、プラモデルの手引き書を探したわけです。そして「カー・モデリング・マニュアル第9巻」というラリーカーの特集本を手に取ると、「デカール別の傾向と対策」などというお誂え向きの記事に行き当たりました。【表示画像の出典】

 恥も外聞も無く立ち読みしていくと、「コタツが駄目!」という旨のフレーズが見えます。えっ、これはどういうことなんでしょうか。
  まさしく私は炬燵モデラーでして、家族の迷惑も顧みず茶の間に陣取り手の届く周囲に何もかも置いて、休日などは朝から晩まで一日中座っています。
  全100頁余の中の必要な、たった2頁のために、税込み1,800円という値段なのですけれど、ワラにもスガる思いで、購入したのは言うまでもありません。で、2度、3度と読み返して、ようやく理解できてきました。

 要は、デカール・フィルムは温度に対する感受性が高く、高温では柔軟性があるものの、低温では硬くなってしまう。殊に15度C以下では作業できないという様なことが書いてあります。冬にコタツのある部屋は、ストーブなどで空気自体を暖めないので不向きだということです。ううむ、確かに私はコタツだけの状態で濡れたフィルムをセットした後、そのまま寒い部屋に一晩置きました。そして弱めの柔軟剤を垂らして、また一晩放置しました。
  なるほどそれなら、膜が柔軟性を失って、形状記憶合金の様に平面に戻り、剥がれてしまうのは当たり前です。

 ということは、最初に台紙からフィルムを剥がすところから、最後に柔軟剤を垂らして密着させるステップまでを一連の作業として、15度Cを超える暖かい環境を途切れること無く維持し、完了させてしまわなければいけないということですか!
  そう言えば前述の手引きには皆、“温水”に浸けて台紙から剥がせと書いてあります。でも、やはりその理由を書いてもらわないと、こういう理解不足になってしまいます。アメリカでは、家庭にコタツのあるわけが無いし、普通の人間がいるところの気温は15度Cを下回るなんてことは無いのだと思います。それに私も今まで、塗装といえば専ら温かい季節でしたから、デカールもその直後で問題のない気温だったため、上手くいくことが多かったのでしょう。

 それから、もう一つ、記事で披露されている衝撃的なノウハウは、パターンの切り出しにカッターナイフではなく、ハサミを使えということです。ナイフでは切り口がメクレ上がった状態になるから、貼られた膜の縁が目立ってしまうという理由です。
  私は余白を残すのが嫌だったり、ビシっとした直線を出したくて、よく定規を当ててカッターを走らせますが、これがアウトだというのです。そういえば、カッターで切り出しても、小さいパターンの周囲を押し切りした場合には縁が目立たなく仕上がっている様です。
  早速、上等のハサミを買うことにしましょう。ここで思い出すのは、ペーパー電車の技法を教えていただいた西尾博保氏が、窓のシルとヘッダーの切り出しに洋裁バサミを使われていた事実で、確か、同じようにメクレを押さえるためと申されていました。(TMS誌1970年1月号)また、カッターナイフよりもデザインナイフの方が、刃と紙の角度が小さくなるので、押し切りの形に近くなるようにも思います。

 またコタツとハサミ以外では、貼り付ける面の塗装状態はツヤ有りがベスト、最低でも半ツヤというアドバイスに対して、私はツヤ消しの代表選手の様なサフェーサーを、その色がピッタリだとグレー塗装の変わりに使ったりと、いずれも逆をやっています。一つ、理由が判らないのは、柔軟剤を水で薄めて使うという話です。さらにテキストでは、デカール専用接着剤などというものにも言及されていますから、是非一度、この書を書店で手に取られることをお薦めしておきます。ただ、自動車モデルに魅せられてしまい、こちらに戻って来られないのも困りますが……

【追記】デカールの切り出しにハサミを使う件は、マイクロスケール社製品では当てはまりません。透明膜自体が台紙の上に印刷で形成されていて、膜の縁が丸くなっているので、そのまま使えば目立たないという触れ込みです。すなわち、台紙上の膜が印刷されていない部分に切り込みを入れればよいわけです。

■この3年前の号のアンケートでは、上述の件に関連して、読者のモデリング環境で、暖房設備をお尋ねしてみました。一見、フザケた御題に見えますが、趣味を営むスタイルの上で、これは大変重要な要素だと考えてのことです。
  その結果が、左フレームの「旧アンケート結果一覧」で見ることが出来なくなってしまいましたので、ここに再掲しておきます。Vol.97、2002年3月11日号に掲載した内容です。

エアコン 10人 (48%)
ファン・ヒーター 2人 (10%)
オイル・ヒーター 0人 (0%)
ホット・カーペット 0人 (0%)
ストーブ(燃料を問わず) 3人 (14%)
暖炉 0人 (0%)
オンドル 0人 (0%)
コタツ 2人 (10%)
火鉢 0人 (0%)
暖房無し(生体内発熱のみに拠る) 3人 (14%)
戸外(焚き火・携帯カイロを含む) 0人 (0%)
その他 1人 (5%)

  さすがにエアコンの方が多く、これだったらデカールも心配が要らないようですね。コタツは、やはり少数派です。「その他」の方は床暖房あたりでしょうか。お寄せいただいたコメントを紹介しておきます。

檜山さん:(ストーブ)私の工作部屋の暖房は電気ストーブと半田鏝です。あとZライトも点けるのでこれの発熱量もバカになりません。このZライトの下でデカール貼りを行うと熱で乾燥が速すぎて失敗する事があります。だからデカールだけは居間の食卓で貼ります。

シロ/松本さん:(エアコン)子供が生まれた際に危険防止?のつもりで石油ストーブはすべて廃止、エアコンのみで足元が寒い時に限って電気ストーブ併用です。コタツは……中年太りなので畳の上に腰を下ろしての作業は熱中すると前かがみになり、お腹が苦しくなって長続きしない……と言うことで、私には使用不可です。トホホ。

Works K:(=私、コタツ)私はもちろんコタツ派でして、建前は家族とのコミュニケーションのためです。でも、テレビを点けられると気が散っていけません。また、コタツでのデカールは、ドライヤーで温めながらというのはどうでしょう。これにも家族はブーイングかな?

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