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2004/12/10

電気鉄道辞典という古書Electric Railway Dictionary 1911

buck issue Vol.120 2002/7/14 Electric Railway Dictionary 1911

Img992a  十数年前に、趣味の上ではなかったのですが、アメリカの電気鉄道ファンとやり取りする機会がありました。Vol.77(2001年11月23日号)などを書いていて、そのことを思い出したのです。それで残してあった手紙を探し出してきて再び読んでいたところ、興味深い記述が目に止まりました。

 Electric Railway Dictionary、すなわち電気鉄道辞典(事典)という書物の存在です。発行は1911年なのですが、アメリカでは1920年頃に電気鉄道の絶頂期を迎えたので、この版が最後で、ファン向けとして1972年にリプリント版が出ていると書いてありました。

Dic6 当時は興味が全く無かったし、第一、その様な古本を入手する手段も無かったので、気にも留めていませんでしたけど、今は違います。早速、古い洋書を扱うサイトで検索してみると、何冊かが見つかりました。やはり、1911年のオリジナル・プリントは結構な値段が付いています。1972年版の方は、少し無理をすれば手が出ない金額ではなかったので、思い切って注文し、一昨日、届いたというわけです。

 ページを開いて驚いたのは、その印刷の素晴らしさです。活字を含め、たくさんの図版や写真も鮮やか、かつシャープなプリントで、内容だけが欲しいならオリジナルを手に入れる必要性は全く無いと申し上げて間違いではないでしょう。紙の傷みやインクの質を考えれば、却って再版の方に価値がありそうです。

 中身の方は1911年という年代を十分に感じさせるものですが、この時には電気鉄道の技術が全て出揃っていたことが分かります。日本で言えば明治44年ということで、電気鉄道の創成期、電車は全て二重屋根という時代です。
 電気鉄道辞典を謳っているものの、対象は車両だけで、変電所や軌道などの地上設備は出ていません。

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 体裁や章立ては、Vol.100(2002年3月17日号)で紹介したカー&ロコモーティブ・サイクロペディアとソックリです。

  まず、第1章がディクショナリーとなっていて、63頁立てです。昔から興味のあった「アンチ・クライマー」を引いてみると「波形断面をしたチャンネル材で、衝突時の乗り上がりを防止するためバンパーの位置に設けられる。アンチクライマーは構造用鋼材を転造して、所定の長さに切り、端部のカーブに合わせて曲るという工程か、幅や彫りの深さを選ばない鋳鋼で造られる。これを備えた車両同士が衝突した場合、波形が食い込み合って、一方の車両が他方の車両に乗り上がるという現象を防ぐ」とあって、今まで日本で喧伝されていた通りの解釈で良かったことになります。

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 第2章がファンにとっての白眉で、実車の構造を示す図面やイラスト、写真が292頁にわたって掲載されています。車体は詳細な構造図もあるものの、モデル化にはあまり役に立たない床面図が多いことが少々残念です。スノープローとか散水車などの事業用車は充実しています。電気機関車は木製の凸型が1枚だけです。マッキーン・カーとGEのガス・エレクトリック・カーが出ているということは、同じ電気車両と見なされていたのでしょう。

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 台車は機能の分かる構造図がたくさん出ていますから、この時代を知りたい方々には必須です。3面図も数多くあります。この時代最新のMCB台車は、ブリル、ボールドウィン他1社のものが掲載されています。車輪、軸箱、モーター、ブレーキ装置などと続いて、集電ポールのホィールにたくさんの種類が揃っているのはうれしくなります。さらにRegistering Fare Box、料金箱の存在も、この時代に既に需要があったとは驚かされます。

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 最後の55頁は広告で、内6頁を占めているブリル社は、The J. G. Brill Companyを名乗っていた時代です。Westinghouse Electric & Manufacturingや、Westinghouse Traction Brakeという会社が大きな広告を出しています。GEは見開き2頁を使って、直流1200Vシステムを宣伝しています。

 さて、以上の内容から連想するのが、トレイン・シェド・サイクロペディアTrain Shed Cyclopediaという、カー・ビルダーズ・サイクロペディアなどからの抜粋本です。早速、No.25 Electric Motor Cars 1888-1928を持ち出してきて比べてみましたら、一部に同じ画があるだけで、ほとんどは別のものでしたから、まず一安心といったところです。

 ただ、出版社がNewton K. Greggと同じで、トレイン・シェドの巻末にこのElectric Railway Dictionaryリプリント版の広告が出ていたのには参りました。19.95ドルという安さです。

 古書検索サイト、ブックファインダーで探すと、著者名が3種類など値段もピンキリで、ちょっとどれが該当するのか悩みます。私自身も保証できるわけではありませんが、本のフルネームは、Electric Railway Dictionary: Definitions and Illustrations of the Parts and Equipment of Electric Railway Cars and Trucks、原版の編集者はHitt, Rodney、出版社はNew York, N.Y. McGraw Publishing, 1911、辞書63頁、本文292頁、広告55頁といった情報から博打を打ってみてください。私の持っている再版は、表紙がベージュ色のクロス貼り、空色に写真と図面が印刷されたダスト・カバーが掛かっています。ここの写真を書店に送って、確かめる手もありますね。

Edectionary 【追記】2008年に再度リプリント版が出ました。グーグルのブック検索で中身もおおよそ見ることが出来ます。写真は、左が表表紙、右が裏表紙です。出版社はPeriscope Film LLCというところなんですが、ここの"trolleys"というカテゴリーに、とんでも無い題名がゴロゴロ並んでいます。2009-02-18

【追記2】本書のCD本が発売されているのを発見しました。RailDriverというサイトです。HTMLフォーマットというのですから、ネットで見るのと一緒です。まあ写真や画像の解像度は600dpiとのことなので印刷しても充分だと思います。なお、外にも1922 Locomotive Cyclopediaなどの4冊に注目です。2010-10-04

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結構大きなブリキ製電気機関車の玩具です。電気機関車については、あまり詳しくありません。EF−とか型番が載っております。詳しい方お教えて下さい。 [続きを読む]

受信: 2005/12/09 13:13

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