塗装剥離はオートバックス
Vol.141 July 25, 2003
先週から「アメリカ型鉄道模型大辞典」に語句を追加するという作業を始めていましたら、自動車のブレーキ液でブラス・モデルの塗装剥離が行う手法をTad氏が登録してくださっているのを発見しました。「ブレーキ・フルード・ストリッピング」という項目です。
Brake Fluid、すなわち自動車のブレーキ油の廃液が塗装剥離に使えるという話です。アメリカでも未だ一般的な手法とまではいっていませんが、インターネットや一部の雑誌では取り上げられていて、私も試してみようと、新品ですが500mlを1本、980円で買い込んでいました。
ご存じのようにブレーキ油は、ベーパーロックという気泡ができてブレーキが利かなくなる現象を避けるために、高沸点の液体が使われていますが、主成分であるポリグリコールとかグリコールエーテル類などが持つ強い吸湿性のために水分が混入して沸点が下がってしまうので、定期的に交換する必要があります。この不要となった廃液を使うわけです。
ところでTad氏は“ブラス用”と書かれているものの、例えば このサイトなどを見ると、プラスチックでもイケそうな気配ですし、また塗料の種類、ラッカー系とかエナメル系なども確認したいところです。また、ブレーキ油はピンからキリまで、様々な値段のものを売っていますが、どれも同じように効くのかどうかは判りません。ちょっと心配するのは、剥離に使った後の液体の処分方法ですけれど、上澄みが使えるということですから、永久に保管し続ければいいのでしょう。
さて、ブレーキ油が載ったなら、1年半ほど前に紹介した「イソプロピルアルコール」という、カトーが多用しているABS樹脂の剥離に使える液体も登録しておかなくてはと思い立って、インターネットを検索してみましたら、既にNゲージャーの間で話題となっていました。
(リンク切れ)
http://www11.ocn.ne.jp/~tokai-2/ipa_test.html
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驚いたのは、薬局から買ったのではなくて、自動車のガソリン水抜き剤を代用していることで、これが99%のイソプロピルアルコール(皆さん「IPA」と愛称されています)を含有しているのだそうです。早速、近所の自動車用品店をのぞくと、400ml入り290円等というものを売っていました。
それと皆さんが根気強いのもビックリで、剥離してくるまで2、3日、中には6週間も待っておられた方もありました。私は気が短くて湯灌(ゆかん)で加熱してしまったのですけれど……。
当方の事例は、「感動実話:我、カトーの剥離に成功せり!」 をご覧ください。
本号は図らずも、2つともオートバックス・ネタになってしまいました。
【追記】再度ネットを検索してみました。2013-05-
MrTさんの塗装剥離実験室(メッキパーツの剥離も)
G'Sの小部屋(超音波クリーナー併用)
こむめさんの鉄道模型工作記録帳(2年漬け置きの結果)
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