童話に出てきた蒸気機関車
back issue.Vil.148 Jan. 31, 2005
前号で取り上げた映画のポーラー・エクスプレスは、同名の絵本を基にしているという話でしたが、実は、私自身にも幼かった頃に読んだ童話の思い出があります。それは小学校に上がったばかりの私に母方の祖母が買い与えてくれたものです。
先日思い立って実家の物置を探してみるとちゃんと残っていました。
講談社、世界童話文学全集全18巻の内、第6巻「アメリカ童話集」昭和34年発行の中の「ふしぎなきかん車」というのがそれです。
読み返してみると記憶通り、主人公の男の子が偶然出会った古い蒸気機関車を運転して冒険しながら大陸を横断するというタワイのない荒唐無稽な話です。
男の子が機関車が大好きで汽笛の音を聞いただけで何号かを当ててしまうことや、山火事の中を間一髪、抜け出したことにインパクトを受けた記憶が鮮やかによみがえってきます。
改めて大人の趣味人として見て、挿絵は日本人の手で描かれているようですが、44号という機関車が4-4-2と4-4-0の2種類なっていることが気になります。大陸横断の行程では月曜の晩に出発してハドソン川を大きな鉄橋で渡り、水曜にサンフランシスコに着き、金曜の朝に出発地に戻ったとあるのが、いくらなんでも速過ぎると感じてしまうのは、夢を持てなくなった五十路のジイさんの悲しいサガです。
さて、「コーネリア・メイグスというニューベリー賞を与えられた児童文学者」の作品という記述を頼りにネットを検索してみると、Cornelia Lynde Meigs(1885-1973)という女性で、著作一覧も見つかりました。そして、この童話の原題は1928年The Wonderful Locomotiveというのが該当しそうです。また、Newbery Medalを受けたのは1934年のInvincible Louisa(不屈のルイザ)という作品ですね。
古本屋サイトで調べたらこの全集は18巻揃いで3万円もしますから、ちょっと誇らしい気分です。
■上述の古本価格は2005年1月の時点のもので、現時点で調べたら、たった8千円でした(涙)2008-11-30
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