流線形コレクション 終:JAM大阪大会の総括
やっと終わりました。ご来場いただいた方々には、厚く御礼申し上げます。多くの読者の皆さんに声を掛けていただきましたが、留守にしていたり、他の方と話し込んでいたために、ご挨拶できなかった方もおられ、誠に申し訳なく、お詫び申し上げます。展示の裏スペースに腰掛を用意できましたので、ここで一部の方と楽しい時を過ごさせていただきました。
ところで昨日13日は、17時の閉場から、模型を箱に納めて車に積み込み終わるまでに2時間半も掛かってしまい、疲れました。他の方々は19時には全て帰られたので、設営会社の人達には悪いことをしました。モデルに積もったホコリを払って、輸送と保管に耐える様に丁寧に箱に詰めするのは大変でした。
撤収中の館内放送によれば、3日間の入場者数は2万5千人だったとのこと。金曜の初日が6千人、土曜が1万人、日曜が9千人とアナウンスされたと思います。前回、東京会場の4万8千人と比べて少ないようですが、マスコミの報道がなかったことを考えれば、上々でしょう。これ以上入ると、防災で問題が出るかもしれません。
私のブースの両隣がNゲージの余部鉄橋とBトレイン・ショーティの展示で、常に黒山の人だかりだったのに較べ、こっちはパラパラ。多くの来場者には「これ、アメリカや」とささやくだけで通り過ぎられ、寂しい思いをしました。しかしその反面、ご覧になりたかった方々にはユックリご鑑賞いただけたのではないかとも思っています。
ダグラスDC-3に興味を示されたり、ミニカーを見るなり「インパラ」と言い当てられ、またグレイハウンドに乗車された思い出を披露してくださった方がおられました。エレクトロライナーは日本ではあまり知られていないはずなのに、これが人気なのは意外でした。デイライトは実物をご覧になった方が多く、無理をして展示した甲斐がありました。
展示品説明のチラシは、用意した200枚が2日目の14時頃になくなってしまい、急きょ印刷して、全部で330枚ほどを配った勘定です。何故か、一人で2枚も3枚も取るオバちゃんが多くて、試食販売員の気持ちがチョッピリ理解できた気持ちです。一部はプリンタのインクが切れて、色がおかしくなったり、モノクロになってしまいました。
さて、JAMコンベンション全体の印象ですが、「業界によるアマチュアを巻き込んでの販売促進活動」の意味合いが、やはり強いように思います。メーカー主導ですから、仕方のないことです。アマチュア主体というのは資力に問題があって、今の日本では無理なのではないでしょうか。そちらの方は、毎年開催されているクラブ合同運転会とかが、機能を果たしているとは思うものの、団体に所属していない個人が参加するには敷居が高いのが辛いところです。
日本の趣味界で浦島太郎の私にとっては、新しいゲージやショーティの展開、新規参入業者や、家具メーカーなど、この趣味の厚みが増していることを実感させられました。鉄道会社がファン・グッズの販売に力を入れているのに唖然とし、元同僚が知らぬ間に退職してガレージ・メーカーを立ち上げているのには本当に驚愕しました。
ただ、クラブなど団体の展示については、申し訳ないのですが、一部を除き興味を惹くものはありませんでした。ほとんどは「無料で仲間内の運転会をやれて、一般人にも見てもらえる」という程度の思惑だと勘ぐりたくなります。組織としての意思統一とか、運営とか、難しい面もあることでしょう。
一方、個人では、テーマを掲げてのプレゼンテーション、という明確な姿勢を多くのブースで感じました。青木佑一氏や林信之氏、小池令之氏、貫名英一氏など、未開の分野に果敢にチャレンジする、これぞアマチュアと感嘆する展示が目白押しでした。その姿勢に新たな情熱の炎を点火された方もおられたことでしょう。
一般の入場者はクラブ展示、熱心なファンは個人展示を注目、という住み分けが出来るのかもしれません。
私自身としては今回、コンベンションの中では毛色の変わったものということで、全体としてバリエーションを広げるという貢献が出来たのではないかと自負しています。手を抜きましたので負担もあまり感じていません。同好の士と直接、顔を合わせられたことは何物にも代え難い機会でしたし、旧知の方々と旧交を温められたことも大変にうれしいことでした。まあ、数年先なら、また参加してもいいかな、という感じです。
皆さんとお話ししていて、オーバーな言い方ですが、特にモデラーとしての人生を考えさせらました。Tad氏や井上順二氏に伺った「旋盤を持てば、世界がぐっと広がる」という話は、「金を掛けずにコツコツ作る」のがアマチュアリズムだと刷り込まれている私には耳の痛い話です。また湯川創太郎氏によって、長年知りたいと思っていた高速電車技術の起源が氷解しました。Nゲージの京都風路面電車を展示されていた山崎明彦氏には情熱的な取り組みを伺って、トロリーラインに更にのめり込みそうな予感がしています。趣味と本業の頭を切り替える方法は、三木隆氏から以前にも伺っていたのですが、マネは出来そうにないものの、年齢を考えると両立させる唯一の解決策です。「作る趣味は衰退していない」という中尾豊氏の言葉は、既製品を並べただけだったことへの叱咤激励に聞こえました。先輩諸氏の消息を伺うに付け、残されている自らの人生を考えざるをえません。
ご声援いただいた皆さんや、ご来場いただいた方々には重ね重ね、御礼申し上げます。JAMスタッフの皆さんにも、微に入り細に入り気を遣っていただき、本当に感謝しています。どうもありがとうございました。
melma! Back Number 2006/08/14 Vol.191 total 304 copies 【追記1】11月中旬に事務局より、右に示す記念ピンバッジが届きました。なかなか上品なデザインで、皆さん喜ぶのではないかと思います。私自身は、こういうものを集める趣味が無いので悩んでいますが、記念貨車をでっち上げて側面に取り付けるとか……
【追記2】個人展示の中に原信太郎氏のシャングリ・ラ鉄道がありました。氏の死去を機にこの会場で撮影した写真をアップしました。2014-07-08
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コメント
ブログ上では初めまして、こん○○は。
上の記事でご紹介いただいた山崎です。
やっとこちらに伺う事が出来ました。
その節は私の稚拙なレイアウト考に耳を傾けていただき、あまつさえ貴重な資料をご提供いただき本当にありがとうございました。
出展者と言うことで中々ブースを離れられず、貴ブースもじっくりと拝見することは叶いませんでしたがそれでも、迫力ある車両達に一目で痺れさせられたのは言うまでもありません。元々、自動車にせよ飛行機にせよ「流線型」に対するフェチシズムと言ったようなものは持ち合わせていたのですが、それらはデザインとしてのカッコ良さからで、「迫力」のある「流線型」に出会えたのは初めての経験だと思います。大袈裟でなく何かがプチッと弾けた思いでした。我が家の財政やスペースの問題で特に今から早速と言うわけには行きませんが、今後興味を持っていける分野です。
私の制作活動もいただいた資料を元にさらに幅が広がるよう精進していきたいと思います。これからもよろしくご指導ください。
ワークスK様の今後のご活躍も楽しみにしています。ありがとうございました。
投稿: 山崎 明彦 | 2006/08/19 20:47
関西へ就職した昭和50年には、まだ京都市電が走っていて、写真を撮りまくった記憶があるのですが、そのネガがどこに隠れたか……。阪神国道線も……
投稿: ワークスK | 2006/08/22 22:09