アメリカ鉄道経営史の"お勉強"
規制緩和には行政側の細心の注意と、民間側の柔軟な発想が必要なわけで……
melma! Back Number 2006/09/03 Vol.194 total 303 copies
当方の掲示板にBig Muskieさんからの発言で、「凄くマイナーな業界誌『CONTAINER AGE』の先月と今月がインターモーダル・トレインの特集を組んでました。小難しい内容でしたが、アメ鉄の現状を日本語で読めることに意義があると思います」と紹介がありました。そこで早速、検索サイトを使ってこの雑誌名を探ってみますと、図書館の蔵書や古書店の在庫、また参考文献としてアップされているものが、ソコソコ出てきます。また、出版元の有限会社コンテナエージ社という名前を頼りに索引を掛けて、電話番号案内と、業界誌一覧をヒットしました。
そこで“ものは試し”とダイヤルを回して「7,8月号を売ってほしい」と頼みましたら、「基本的には年間購読料9,450円」という話。アメリカの鉄道はシリーズでしばらく続くとのことで、衝動的に7月号からの定期購読を申し込んでしまいました。
そして届いた2冊はA4、表紙だけを見ているとアメリカの雑誌の様な雰囲気です。7月号が90頁、8月号が38頁と大幅に変動していて、説明にあったとおり、1冊ずつの定価は設定しにくい体裁となっています。
件のシリーズ記事「米国鉄道とインターモーダル輸送」の第1回目は7月号で6頁、「『規制緩和』以前と以後」と題して、鉄道の起源から大陸横断鉄道の生成、輸送独占による弊害と運賃規制の動き、19世紀末の恐慌の発生と合併統合による大鉄道の出現、第2次世界大戦直後からの旅客輸送の凋落とアムトラックの発足、合併などの打開策の前に立ちはだかるICC、1980年に成立したスタッガーズ鉄道法の規制緩和策、その結果としての鉄道統合と人員削減が述べられています。
8月号の第2回目は「鉄道復権の『牽引車』DST」という、これも6頁の記事で、DST=Double Stack Train(2段積みコンテナ貨車)開発の経緯と、それが規制緩和下でもたらした効率的な輸送形態を解説しています。
我々の趣味の対照としての鉄道が、如何に実社会と結びついているかを真に理解できるよいテキストだと思います。正に日本語であることに価値があります。しばらく続くということですので、興味のある方には購読をお勧めさせていただきます。
なお、8月号の写真を見て驚いたのは、「撮影:佐々木也寸志」とあったことです。表紙を含め、我々が喜ぶキャプションも氏の手になるものでした。さらに記事の途中に1頁大でトレインウエーブの広告があるのもビックリです。名にし負う日本郵船、川崎汽船、商船三井、APL、Hyundai、Canadian Pacific Railwayに伍しているのですから……。
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