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2006/10/27

国鉄技師訪米記28:チップと土産と対日感情

マッカーサー元帥が好きかと問われては、答えるのが……
melma! back issue 2006/10/27 Vol.207 total 307 copies
The book of a JNR engineer's travels around the USA in 1950, part 27

このテキストの経緯と詳細については、第1回をご覧ください。

19 チップ

 米国はチップの国だともいわれている。また欧州の大部分もそうであるとか。慣れていない私は、この額を定めるのに、実に馬鹿馬鹿しいほどの苦労をした。それは少なければもちろん不満であろうし、多すぎてもそれだけの効果がないからで、日本出発前に交通公社から海外旅行心付案内なる表をもらって道中時々それを出しては眺めていた。
 金額は人によって意見が違うように思われる。例えば船で私は船室給仕に7ドル、食堂給仕に10ドル、浴室給仕にはシャワー1回につき50セントの割、甲板給仕には2ドル支払っただけであり、この金額は同行の経験者の一致した意見であった。1等といっても10数級あり、私の場合は最下級の1等船客であったから、以上の額が出されたのであろうが、級が上がればチップも上げねばならないであろうし、給仕に対する用事の言いつけ方に相違があれば、当然変えねばなるまい。
 3ヶ月以上の旅行ではその総額は馬鹿に出来ない。一例をホテルにとって見よう。
 ホテルを代えることは交通費だけではすまず、まずドアマンに25セント、ベルボーイに50セントを渡さなければならず、出るときも同じであるから全部で1ドル50セントを消費されるもので、チップ制そのものに馴れない間は一寸まごつく。

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2006/10/15

腕木式信号機にY現示がある?!

melma! Back Number 2006/10/15 Vol.206 total 307

 先日、私の入っているアメリカのBN鉄道友の会Friends of The Burlington Northern Railroadから、会誌10月号が届きました。
 楽しみのカラー特集はOakwayのSD60です。1986年に100両が新造されてBNが借り入れたEMDの3,800馬力6軸ディーゼル機で、私もプロト2000のモデルを2両、仕上げています。そう、例によって、1枚1枚の写真に写っている機関車のビーコンやエアホーン等の装備と撮影年月を確認しているまでは、心穏やかだったのです。

Dscf0598  しかし、表紙で線路際に立っている信号機が腕木式だと気が付いてからは、大興奮となってしました。
 なぜなら、1980年代後半、日本だって腕木式はローカル線の一部だけだったはずなのに、この写真は新製間もない本線用大出力機がトレーラー・トレインを牽引している線区なのですから……。さらに、よくよく見れば、信号機にはレンズが3つも付いています。【画像はクリックで拡大します】

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2006/10/14

久しぶりにデカール自作

機関士が殉職して歌になったことで有名なケーシー……
melma! Back Number 2006/10/14 Vol.205 total 307

Casey_jones2 先日お伝えしたように、自宅の改築も進み、部屋を移動した関係で、パソコン環境を変えなければいけない羽目になってしまいました。まず、インターネットの端子がパソコンまで届かなくなったことで、これには無線LANを導入しました。心配していたスピードも、まさかとは思いますが、直結よりも早くなったような気がするほどです。
 
 また、現在常用しているWindows XPパソコンの他に保有していた、Windows 95で動く馬鹿でかいFMVの置き場が無くなってしまいました。今までは廃棄したくても、95でしか動かないデータベースソフト桐Ver.7や、USB接続のないプリンターやスキャナーをどうするかという問題があったのです。

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2006/10/13

国鉄技師訪米記27:サンフランシスコ(続)

6ヶ月間降りずにいると懸賞金が5,000ドルです……
melma! back issue 2006/10/13 Vol.204 total 307 copies
The book of a JNR engineer's travels around the USA in 1950, part 27

このテキストの経緯と詳細については、第1回をご覧ください。

17 サンフランシスコ

17-5 広告

 11月21日、オークランド機関区からの帰途、街の真ん中の中古自動車屋の店先に塔が立って、それに「婦人空に登る」と書いた広告のついているのを見た。同行のザームさんに事情を尋ね驚いたことには、この婦人は19歳の麗人でエルマさんといい、この塔の上の小室(というより箱)に登ったまま既に112日(約4ヶ月)を過ごしている。
「何時まで登っている気ですか」
「来年の1月までだそうです」
「何のためにあんな無理をするのですか」
「中古車屋の広告です。6ヶ月間降りずにいると懸賞金が5,000ドルです」
 なんと無理した広告であることか。本を読んで飯を食べていればそれでよいといってしまえばそれまでだが、5千ドル(180万円)を投げ出した中古車屋もさることながら、これに応募する決心をした女性も偉大な心臓の持ち主である。がしかし日本でも百万円出すといったら女性から応募者が出るかもしれない。

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2006/10/12

国鉄技師訪米記26:ロサンゼルスの憶い出(続)

貴方はそろそろ罰金を払っても良い時分だ……
melma! back issue 2006/10/12 Vol.203 total 307 copies
The book of a JNR engineer's travels around the USA in 1950, part 26

このテキストの経緯と詳細については、第1回をご覧ください。

16 ロサンゼルスの憶い出

16-5 便利な電話

 サンタフェ鉄道の見学を終了して、伊東さんと共にロサンゼルス支社に挨拶に行くことにした。伊東さんはこれから東のトペカの工場を視察するのであるし、私は日本へ帰るお礼を述べるためであった。
 係の人は直ぐにシカゴの本社に連絡して、伊東さんのトペカ行きの都合を尋ねてくれたが、その電話が2,000マイル以上離れたシカゴを呼んでいるのに、相手が数分にして出るには吃驚した。ところが先方が昼食で外出中だという。「しかし時計は10時10分頃だが」と不思議がると、「ロサンゼルスでは10時10分だが、シカゴは12時10分ですよ」という。2時間の時差のある場所が数分でつながる米国の通信にはいささか度肝を抜かれた態であった。

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2006/10/11

国鉄技師訪米記25:鉄道における水処理(上)

缶用水処理は戦争中に非常に普及したものと思う……
melma! back issue 2006/10/11 Vol.202 total 307 copies
The book of a JNR engineer's travels around the USA in 1950, part 27

このテキストの経緯と詳細については、第1回をご覧ください。

24 報告 米国鉄道における水処理

[1] 米国の水質と水源

 出発前に日本で想像していたことは、米国の水は日本と比較してかなり悪いであろうという点で、満州のような大陸の高硬度を考えていた。しかし現地の状況を調べ、また色々と報告を見せてもらうと、意外にも日本のそれと非常によく似ていて、硬度の高いところで10~15度、低いところは2度ぐらいまで存在し、正確にはとてもつかめなかったが、国鉄に非常に似ている鉄道もかなり存在している。
 米大陸中で硬度の高いのは、西南と東南の山岳地帯とシカゴの南方で、東部と西北部は低く比較的水質は良い。しかしこれはだいたいの平均値を示すのであって、もちろん同一近接地帯でも硬度の高いところと低いところとは存在する。
 缶用水には日本と同様に井戸水、水道水、河川を利用していて、何れに統一するということもない。機関車用水は原則としてその他の目的(たとえ飲料)には利用しないので水処理は日本の場合に比較して制限を受けず楽である。インディアナポリス郊外にイーグルクリークがあり、ここでニューヨーク・セントラル鉄道の機関車が給水しているのを見たが、この給水は河の水をとり、河の水底から10フィートの下まで鋼管を入れ、10フィート厚さの砂利によって濾していた。

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2006/10/10

国鉄技師訪米記24:ラスベガス

百万長者の変わり者スコチー氏の城がある。
melma! back issue 2006/10/10 Vol.201 total 307 copies
The book of a JNR engineer's travels around the USA in 1950, part 24

このテキストの経緯と詳細については、第1回をご覧ください。

14.ラスベガス

 人口八千そこそこの、この都市はネバダ州の主要都市でもあり、世界的に有名な街でもある。ネバダ州は米国において博打を許可している唯一の州で、州都リノは離婚の都市としても有名である。ハリウッドの俳優連が週末になるとこの地に遊び天下御免の博打に興ずるのだという。フラシンゴホテルの豪華さには近代的なにおいと同時に美しい落ち着いたスマートな感じがした。ラスベガスの名は最近付近で行った原子爆弾試験で世界的に有名になってしまった。
 砂漠の大公園、死の谷Death Valleyを西にひかえて、人工の偉大さを示すボルダーダムBoulder Damを東に持ち、観光の中心地といえよう。また気候的に考えても、素晴らしく暖かいこの地は、冬期における避寒地としても有名である。

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2006/10/01

時局解説百科要覧

我が国最速列車燕号は、東京・神戸間距離601kmを……
melma! Back Number 2006/10/01 Vol.200 total 306 copies

 個人的な話ですが、息子の独立と親との同居の話が出て、自宅の改築を行っています。それに合わせて私も部屋を整理し、不要な雑誌、蔵書を段ボール箱50個に詰めました。友人知人に声を掛けたら、半分の25箱が捌けました。残りは古書店に来てもらって5万円になったものの、10箱が減っただけでした。ショックだったのは、2セットあった全24巻の百科事典が引き取りを断られたことです。40年ほど前には相当な金額だったのですが、今では私自身でさえ持て余していたわけで、価値がないといえばそれまでです。古紙回収に出しましたらゴミ袋10枚になりました。カミさんは、こんなにもらったのは初めてだと喜んでいました。

 それにも懲りず、新たに買い込むのは趣味人の常です。このところの興味の中心は、戦争前後に我が国の鉄道人がアメリカから得ていた知識、情報、またはアメリカに対する興味で、図書館や古書店を巡っています。
Dscf0344a_1  その中で見つけたのが表題の書籍です。戦前の昭和12年、1937年平凡社発行、ハードカバー紺色絹張り546頁の2円80銭ですから相当に高価だったと思います。この148頁から150頁に掛けて、アメリカの鉄道状況についての解説がありますので、御紹介しましょう。ちょうど流線形(流線型)の時代、まっただ中です。

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