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2007/01/19

模型とラジオの頃

Memories of a magazine for Japanese boys, "Mokei to Razio," which means "Model and Radio"

 少し前の話になりますが、昨年2006年8月号とれいん誌で、「私を趣味人にしたこの一冊」という特集が組まれていたのをご記憶でしょうか。
 その中で甲斐三幸さんという方が、『模型と工作』という雑誌に掲載された南海ED5201にまつわる思い出話をされていて、編集部で「探しに探しましたが、該当する号は見つからず‥‥」とあります。

Img184a  これを読んで、私も思い出しました。確かに、そんな記事があったのです。ただし『模型と工作』ではなくて『模型とラジオ』です。
 そのときは部屋を改装中だったために古い雑誌を探せなかったのですが、年が明けてその束が出てきました。残念ながら該当号は無くて、1964年(昭和39年)1月号のページの間に、ED5201の車体部品寸法を方眼紙に写し取ったものが挟んでありました。【画像はクリックで拡大します】

Img171a ということは、友人が持っていた、この前あたりの号を見て、「世の中にはこういう雑誌、こういう世界があるのか!」と子ども心に感激したのですね。紙などという素材で立派な模型が出来るのが信じられなくて、「"ペーパー"というのは本当に紙のことか?」と母親に繰り返し尋ねて、叱られたことも思い出しました。
 また、この号の20ページにED5201の実物写真を発行元が有料配布する旨の案内がありますから、『模型とラジオ』であることは確実です。(追記5をご覧ください)

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 ところでこの直後、1964年3月号の臨時増刊号で『鉄道模型の製作』という300頁の大冊が出ました。
 同誌の過去の記事を集めて、基本的な知識の解説、それに出版元である科学教材社が扱う製品カタログを加えた形のものです。実物のカラー写真やEB58やC62といった半完成品キットの組み立て方に始まって、蒸機先従台車の設計方法など、子ども向けとは思えない高度な内容は、TMSも顔負けです。
 特にカタログ部分では台車やインサイドギアの種類が網羅されていたり、モーターの寸法図があるなど、自作ファンには必携の中身です。

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 作り方の記事には2種類があって、一つはHO・Oの寸法併記の記事に代表される初心者向けの、浜野益男、中野一郎氏等が執筆されたもので、私もEF58、DD14、ワラ1などのボディを組んだ記憶があります。
 もう一つは、「紙やセルロイドでも出来る」とは書いてあるものの、基本的にブラスでないと無理な高度な作例で、菊地文雄氏がED51や160型を解説されています。

 当時は「鉄道模型の本といったらこういうものか」と当たり前のように思っていたのですけれど、今考えると、後にも先にもこんな本は無いわけで、TMSの入門書『たのしい鉄道模型』なぞ真っ青、相当な見識を持たれていた方が編集されたのだと想像されます。

 この時代、この趣味で、TMSが唯一無二の規範、スタンダードではなかったという私の思いは、この辺りから来ています。とれいん誌が1975年1月の創刊号で菊地氏の作品を取り上げたことは、大いに合点のいくことでした。

 ですから、前述の同誌2006年8月号で、この『模型とラジオ』の特集を挙げられなかったことは本当に意外です。

 さて当ブログ読者であるアメリカ型ファンが注目すべきは、外国型ブラス・モデルの紹介でしょう。
 『鉄道模型ものしり帳』なる54頁(最終頁を失っているので推定)の製品カタログがあって、そのうちの3頁に、当時輸出されていたブラス製高級モデルが並んでいます。いうなれば、ウォルサーズ・カタログ日本版のテイです。
 天賞堂製と思われるビッグボーイは田舎の子どもをビックリさせるに十分でした。

 「日本人なら国産品、日本型」の風潮が強かった時代で、TMSでも外国型はわずか、広告は皆無の頃ですから、多分、輸出品がまとまった形で公になった最初の事例だと思います。ちなみに水野良太郎氏のコレクションは11年後のTMS誌74年11月号、久保田富弘氏の作品集は翌75年5月号です。

 どうも私が現在、アメリカ型に血道を上げている下敷きは、このときの憧れだと思うのです。ページの全容は貫名英一氏のHPをご覧いただくとして、ここにはアメリカ型の写真をアップで載せておきます。

 SP P-5型 4-6-2          11,000円
 GN ミカド 2-8-2         11,000円
 AT&SF ハドソン 4-6-4    12,500円
 UP ビッグボーイ 4-8-8-4    49,500円
 UP チャレンジャー 4-6-6-4 49,500円
 フランス 141R          15,400円
 GN S-2 4-8-4         24,000円
 AT&SF テキサス 2-10-4    28,600円

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Img186a

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Img179a_1  部品のページは貫名氏のHPでは省かれていますが、網羅性もさることながら、イラストの出来映えと数に圧倒されます。ブロンバーグ台車のダイキャスト密閉式のギアボックスは、剥き出しのインサイドギアに較べて、いかにも値段が高そうです。

Img182a_1  この『鉄道模型の製作』の後、しばらくして『模型と工作』誌から『鉄道模型工作ハンドブック』全278頁や、国鉄電車を特集した1965年11月号が出て、ひたすら"勉強"したものです(前者の表紙の上から2段目が天賞堂製WP色GP20!)。
 この頃、少年と呼ばれる世代にHO(1/80,16.5mm)が一つのブームになりかけていたのでしょう。

Img183a_1 【追記】ウィキペディア日本語版の解説に拠れば、『模型とラジオ』誌は1955年から1984年まで発行されていたとのことです。『模型と工作』や『子供の科学』は、未だ解説が現れません。
 ただ『工作少年』などという面白い項目を見つけました。工作が得意な少年少女が発現するのは発展途上国で特有の……などという意味のコメントがあって、我々のことかと苦笑しますが、息子世代は豊かな国に生まれてしまったから、昔の様なことにはならないということなのでしょうか。

【追記2】「模型とラジオ」の増刊号がヤフーオークションに出品され、6月25日に終了しました。私のものよりも美品で6,850円とのこと。保有者としては安過ぎる様な……(^_^;

【追記3】「模型とラジオ」誌=「模ラ」を発行していた株式会社科学教材社は未だに健在なのですね。ビックリしました。 手持ちの号の表紙と、そこに書かれた鉄道関係記事の題名を掲示板に紹介しておきます。また、菊地文雄氏についての情報も併せてご覧ください。

19614【追記4】「模型とラジオ」の1961年4月号付録(全76頁)という冊子を入手しました。上記記事中で紹介した1964年3月号臨時増刊号の「鉄道部品ものしり帳」は、この3年後で、綴じ込みでした。

 この2つを較べてみると、大部分は同一です。ただ、通信販売のカタログ的な要素と、鉄道模型の基礎知識がゴッチャになっている雰囲気があります。
 実車の写真や、青焼き風の模型図面集が斬新で、3線式Oゲージは貴重な資料でしょう。

 その中で次は、別記事で言及したカワイのNYCパシフィックです。2013-02-14

Nyc462kawai

Mokei_to_radio196312【追記5】念願の号を入手しました。ネットオークションに出品される「模型とラジオ」誌の目次をつぶさに眺めていて、やっと南海ED5201の記事に辿り着きました。やはり1963年の12月号です。
 国産自動車ショーの紹介やブルーバードの作り方、テレビの画像合成法、跨座式モノレール等々、記憶の片隅にある内容が目白押しです。
 中でも南海ED5201のカラーは鮮烈です。アート紙のカレンダーとなっていて、切り取り孔があります。

南海ED5201電気機関車

 ただし、これを手本に製作しようという気持ちは全く無くて、どんな風に作るのか、という興味でした。
 貸してくれた友人の名を湯本精一といいました。

Mokei_to_radio196312p071

 なお、新車紹介が鉄道模型趣味(TMS)誌1963年9月号にありました。写真と模型化用1/80詳細図面付です。浜野益男氏はたぶんこれを参考とされたのでしょう。同じ年の12月号ですから、早い!
 TMSの最初の作品発表は1965年6月号で、実車記事と同じ西敏夫氏。同氏は南海にお勤めで機関車自体の設計に関わったとのことでした。2016-10-08

Tms196506

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コメント

懐かしいページばかりですね。ご紹介の全てを所有しています。まだ実家の倉庫で段ボール箱に入っているはず。発掘するのはなかなか大変な作業ではあります。

Tenshodoのダイキャストのギヤボックスに強い憧れを持ちました。高校生のとき、現物を見せてもらい、やや幻滅しました。大人になってから再度見てこりゃ駄目だと思いました。中学生の時、素晴らしいと思ったのは、このイラストによるところが大きいと思います。

ブラス製の上回りも写真で見るよりかなりちゃちで、最近のe-bay ではかなりお手ごろ価格で出ていますね。

投稿: Tad | 2007/01/19 21:39

よく考えれば、高速回転側のモーター軸がスパーで剥き出し。ということは潤滑と騒音で不利。EF58で最初の方式と一緒。でも、力が強そうな……(^_^;)
写真とかイラストの出来映えで、商品の印象ががらっと変わってしまうのは世の常ですかねえ。

投稿: ワークスK | 2007/01/20 01:29

小生は、久保田氏のTMSの記事です。その中のトリプレックスが忘れられずにいたのが、アメリカ型ブラスに大きな影響を与えたと思います。

>>TMS 1975年5月号、久保田富弘氏の記事には「愛着と怨念」とありましたね。1950年代前半の製品についての話でした。【ワークスK】

投稿: Jackおじちゃん | 2007/01/21 20:55

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