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2007/02/18

伯爵のブラス・コレクション

THE TRAINS ON AVENUE DE RUMINE, by Count Giansanti Coluzzi

ルミネ街の汽車

 モデラーの記憶力というのは、つくづく凄いものだと思うことがあります。名刺に書かれた私の名前を見て、「TMSの走れコータローさんですよね」と言われたことは何度もありますし、私自身、「三品」という名字を拝見して、「貴方は私の知っている二人目の三品さんだ」と申し上げたら、TMSに昔登場した三品勝輝氏ご本人だったこともありました。

 で、先日、同年輩の友人に「フレグレックス社の社長はイタリア貴族で……」と話し始めたら、即座に「昔のTMSに山崎喜陽氏の訪問記があった」という風に話題が盛り上がってしまいました。読者の中にも直ぐに記憶を手繰り寄せられる方がおられることでしょう。

 それは鉄道模型趣味誌1972年5月号の「世界有数の模型車輛コレクションを訪ねて」という記事です。
 スイスはレマン湖の畔、ローザンヌのフレグレックス社本社にある、社長ジアンザンティ伯のコレクション紹介なのですが、ビンテージ物の高価そうなモデルが壁全面に陳列されていて、我々のドキモを抜いたものでした。

 昨年秋に出版された原信太郎著「スーパー鉄道模型 我が生涯道楽」のp51に写真が出ていて思い出しました。

 実は、伯爵のコレクションを一堂に集めた写真集があるのです。

 確か、レールロード・モデル・クラフツマン、通称RMC誌のいつだったかの号の「Collector consist...」というページで言及されていたもので、例の洋古書探しの切り札「ブックファインダー」で早速入手していたものでした。

ルミネ街の汽車

 書名はThe Trains On Avenue De Rumine、「ルミネ街の汽車」、ルミネ街はスイス・ローザンヌでフレグレックス本社の所在地。著者名はCount Giansanti Coluzzi=ジアンザンティ伯爵です。内容のほとんどは欧州型であるものの、一部をアメリカ型のブラスモデルが占めていて、これこそが本誌で紹介する理由です。

 読者に欧州型ファンもおられることでしょうから、目次を抜き出して、まず本書のすごさを実感していただきましょう。

  2 Preface
  5 Interview with Count Giansanti
 18 Gauge IV & III  Bing, Carette, Marklin and Schoenner
 32 Gauge II  Bassett-Lowke, Bing, Carette and Marklin
 40 Standard Gauge  American Flyer, Cascade, Ives, Lionel
                   and Williams
 48 Gauge I  Bassett-Lowke, Bing, Carette, Kraus
                    and Marklin
102 Gauge 0 Tin Plate
162 Gauge 0 Model and Fine-Scale
   Baldit, Bassett-Lowke, Beeson, Bing, Boileau, Bub, CAM,
       Carette, Custom Brass, Darstead, Delienne, Elettren,
       Exley, Gebauer, Hag, Henin, Hermann, Hornby, Hubner,
   Jardel, Jep, Keiser, KTM, Leeds(LMC), Lequesne, Lionel,
       Lottlaux, LR, Marescot, Marklin, Merkur, Munler, Paya,
       Rittech, Rossi, Schieck, Spring, Tenshodo, Westside
200 HO/OO  Tin Plate
214 HO/OO  Model and Fine-Scale
   Antal, Bing, Gerard(Tab), Enzl, Hornby, KTM, Marklin,
       PMP, Pocher, SMCF, Tenshodo, Toby, Trix, United,
       Varney, VB, Westside
230 Fulgurex Production(including Aster and Wilag)
253 Index
 
 全256頁で大きさは340mm×274mm 、発行年がよく判らないのですけれど、
  First published in England by New Cavendish Books 1982
  First edition published in the USA by Crown Publishers, Inc. MCMLXXXIII
‥‥と並んでいますから、1982年の英国版と、編集を加えた1984年の米国版があるということでしょうか。

ルミネ街の汽車

ルミネ街の汽車

ルミネ街の汽車

 この中にアメリカ型のブラス製品はOゲージが20頁88両、そしてHOゲージが16頁198両という分量です。ほとんどが日本製ですけれど一部に韓国製があります。日本製は余り古いものはなくて、1970年代が主だと思います。目次にはないもののAkane, Olympia, Fujiyamaもあります。

 フレグレックス社がヨーロッパ向けのインポーターだったので集められたということなのでしょう。モデルは全てサイドビューです。1ページにOが4段、HOは6段と、その大きさを反映したレイアウトを採っているのが面白いところです。デカールや塗料、それに資料が不足していたためか、私が見ても間違っている仕上げが散見されます。

ルミネ街の汽車 私の入手した古本には本書の新聞書評の切り抜きが入っていて、84年1月25日付ですから、もちろん1984年版ということになります。この記事、Books of The Timesの表題からすると、ニューヨーク・タイムズかも知れず、そうなるとマニアックな豪華本が一般紙で紹介されるというのも驚きです。

 ブックファインダーで検索していただくと100ドルを超える値段が付いていますから、アメリカ型ファンとして、これだけでクリックするのは躊躇われることでしょう。アート・オブ・ブラスの2冊をお持ちで、そこに現れないKTMとTenshodoの製品が出ているという価値を見出される方には推奨ということになると思います。
 
 ところで件の山崎氏の文章には、日本が輸出したブラス製品を大量に見せられて撮影するのを忘れたなどという趣旨が書かれています。もし写真が掲載されていたら、1972年という年代からすると、私でも違和感を持っただろうと想像出来ますから、そこに意図が無かったはずは無いでしょうね。

 アメリカ型資料室もご覧ください。

ルミネ街の汽車 【追記】BBS掲示板(発言番号380)にレールマンさんより、本書は当時、TMSが輸入して2万1千円で販売した、というお話をいただきました。
 慌ててバックナンバーを確認すると、1983年2月号から9月号まで広告が載っており、特に8月号は左の様に、裏表紙全面を使ったものとなっています。和名は「ルミネ街の汽車」です。

 山崎氏の訪問や、フレグレックス社と日本メーカーの関係を考えると、当然といえば当然ですが、う~む、恐るべし機芸出版社です。私は当時、全く気が付いていません。時期からして多分、1982年の英国版だと思います。

 これで、日本の古本屋にも出回る可能性が出てきました。2007-02-18

【追記2】検索しましたけれど、「ジアンザンティ」は当誌以外で話題になったことはなさそうです。「ジアンンティ」や「ジャンサンティ」をバイクレースでヒットしました。Giansantiの発音は、山崎氏が直接本人に会っているわけですから‥‥ 2007-02-20

【追記3】"とれいん"誌1976年4月号に13頁を費やしたメルクリン特集があって、その中にこのコレクションを72年夏に撮影というモデルの数々が掲載されていました。どなたが訪問されたかは書いてありません。2010-08-02

【追記4】"とれいん"誌2011年9月号p116、貫名英一氏の「B級コレクター道」に1984年の訪問の様子が伝えられていました。建物の外観が紹介されるのは初めてです。2011-08-20

【追記5】ネットを検索していたら、ニューヨーク・タイムズの書評がアップされていました。中身は、まさに切抜きの記事です。
 自動翻訳に掛けてもチンプンカンプンですが、フレグレックス社の創設は1946年で、その意味は、Fulgur x Rex -''The king of the lightning flash''だそうです。2011-09-11

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コメント

久しぶりに覗かせてもらいました。内容の多彩ぶりに驚きました。ロートルおやじも手持ちのナローゲージの鉄道模型のキットを製作したいと思っているのですが、なかなか手がつけられません。ロートルおやじのお気に入りのアメリカ型蒸気機関車の本を紹介します。この1冊は銀座のイエナ書店で数十年前に手に入れた本です。
「Model Railroader CYCLOPEDIA-Volume1 STEAM LOCOMOTIVES」 著者Linn H.Westctt (サイズ横36cm縦29㎝ 272ページ)モノクロ写真、図面集
すばらしい本です。参考まで。

投稿: ロートルおやじ | 2007/02/28 10:40

イエナでご購入とは凄いですね。私のものを見ると、1960年発行でいつの印刷かは判りません。33ドルの軽装版で、機芸出版社取り扱い9,600円です。改めてアマゾンで確認すると5,406円ですから、時代の変化にため息が出ます。第2巻のディーゼル機関車は7,869円。蒸機が272頁で、ディーゼル機が160頁ですから、この値段設定は何なんでしょうね。

投稿: ワークスK | 2007/03/01 09:33

「伯爵のブラス・コレクション」は素晴らしいですね。良い物を見せてもらいました。ロートルおやじは模型が大好きなんです。何でも好きなんですわ。困ったもんです。ただ、性格が回転しているせいか。極端から極端に走ってモンスターかローカルか、そしてカラフル塗装が大好きなんです。日本の機関車も嫌いではないですが、もっとカラフルな姿が見たいのです。マレー、シェイは好きですね。レゴの機関車シリーズも子供にはもったいない内容でした。今後をますます楽しみにしています。

投稿: ロートルおやじ | 2007/03/13 21:43

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