センターフロー2種を較べる
かつて、とれいん誌2000年1月号に、ACF社センターフロー・カバードホッパーのHOゲージ・モデル14両をお見せして、スタイルの変遷と容量のバリエーション、さらにBNでの3スキームの流れを紹介したつもりなのですが、当時は最主力型式である3ベイCF4650の製品がない頃でした。しかし、しばらくして、アトラスとインターマウンテンから相次いで売り出されたので、記事のタイミングとしては、皆さんのお役に立てたのではないかと自負しています。
ただし私自身は、センターフロー=CFは“もう満腹”みたいな気分だったり、上手くBNスキームの現物に巡り会わなかったりと、機会を逃していたのですが、今回、やっと両者を入手しました。ただし、インターマウンテン製の方は別の塗色で、いずれ塗り替えるつもりのものです。
さて、その記事で、ACF社のCFには、1971年を境にして前期型と後期型があると説明させていただきました。曲面となった側板の上の方に1本のリブがあるのが前期型、その上の僅かな垂直面に2本のリブがあるのが後期型というわけです。今回の2両は共に後期型ですけれど、両社共、別に前期型も出しています。
2両は屋根上歩み板がエッチング抜きの金属製であるところが、いかにも近年の製品という案配です。この車端部に手掛けを植えているのが驚異で、どうやって取り付けているのか知りたいものです。ロストワックス部品のハンダ付けでしょうか。
エッチング抜きの孔は古いスロット・タイプ、足の部分を折り曲げているのは接着面積を稼いでいるのだと思います。この辺り、プレイノ社のパーツで手こずっているものですから、特に気になります。
なお、インターマウンテンの方の足の間隔は前期型です。アトラスは前期後期で作り分けています。
車体シェルの組立は、いずれも屋根を抜く構造です。分割線の位置が異なり、インターマウンテンは僅かに乱れています。アトラスは、驚いたことに接着して無くて、歩み板ごと外すことが出来ます。屋根上ハッチは、インターマウンテンが連続トラフ型、アトラスが3分割楕円型で、この辺りは鉄道や時期によって変わります。プラスチック粒輸送用では両者とも、丸形ハッチとしています。
曲面側板の溶接線7本はインターマウンテンだけが表現しています。
車端部のハシゴ類は、アトラスの方が僅かに細め。ブレーキの配管はインターマウンテンだけが装備。四隅のステップはインターマウンテンが直角型で(BN用としては)正解。アトラスも前期型は直角型となっています。
側梁直下の引通空気管は、アトラスがブラケットを付けて浮かせています。インターマウンテンは連結ホース付き。インターマウンテンの台車は、ブレーキシリンダを台車に付けたタイプを流用しています。
ところで、車端面の写真で目に付くのは、車輪の厚さです。ノギスを当てるとアトラスが2.3mm、インターマウンテンが2.9mmです。NMRAのRP25におけるcode 88とcode 116に相当でしょうか。この間にあるcode 110を飛び越えています。フランジ寸法は、それほどの差異がなさそうなので、単にタイヤの厚さだけを変えているのかも知れません。この辺り、数年前からメーカーによってバラツキがあり、気になっているところです。
古いアキュレールの製品はCF4600という型式でプレートB、今回紹介したCF4650のプレートCより車体高さが僅かに低く、車体長が少し長いものです。ただし連結してみても遠目には判りません。写真では差がある様に見えますが、アキュレールの車輪を36インチに代えたら、さらに近づくことでしょう。
というわけで、アトラスとインターマウンテン、甲乙付け難いといったところ。数を揃える型式ですから、最終的には値段で選ぶということになるのでしょうか。
■アメリカの掲示板Trainorders.comに両者の比較の話が登場しました。アトラスには溶接継ぎ目の表現がないけれど、総じて忠実なので人気がある……ということでしょうか。2009-11-23
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コメント
此の当時のACFはタンク車も同様ですが、台車マウントのブレーキシリンダと車輌装袈のブレーキシリンダが有ります。後期型が車輌装袈です。前期型にも車輌装袈が有ります。CFホッパ車での見分け方はブレーキハンドルからの鎖が連結器脇まで延びているのが台車マウントのブレーキシリンダです。台車マウントのブレーキシリンダは構造が簡単になる反面、手ブレーキが片側の台車にしか効かないという問題があるため、使われなくなりました。
投稿: kiichi yamamoto | 2007/03/23 19:51