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2007/04/24

J.B.Hunt氏が亡くなる

Img394 昨日届いたコンテナエージ誌2007年4月号にBNSF極東代表杉本俊雄氏が寄稿した追悼文によれば、J.B. Hunt氏が昨年12月に79歳で亡くなられたとのことです。この名前をそのまま会社名として書き込んだトラックやコンテナは、我々のお馴染みとなっていますから、改めて、その陰に一人の人物が存在した事実を思い知らされた次第です。トレーラーをTOFCの鉄道輸送に切り換えた理由が、運転手に長期間家を空けさせないで済む配慮からだという話が、我々の胸を打たないはずはありません。

  このブログに関係する記事では他に、澤井希丞という方の「米国貨物鉄道技術の世界戦略-AEI tagsによる戦略的事業展開」もあります。AEIタグ・システムは、貨車一両一両の総てに個体を識別するICチップを内蔵したタグを取り付け、北米3000箇所(2000年末時点)の線路際に設置されたリーダーで読み取って、検知位置や通過時刻を付加して司令所に送り管理するというものです。
 また一部のタグ・リーダーに併設された各種センサーでは貨車の状態を検知して、車両管理も行っているとあります。アメリカが輸出する貨車に取り付けて、ロシア、中国、北朝鮮、オーストラリアにシステムごと、売り込んでいるが、日本やヨーロッパでは従来から車両管理を徹底して行っているので空白地域となっているとのことです。執筆者の主張は、レールがつながっていなくても、鉄道によるグローバルな展開は可能で、日本も乗り遅れるな、というものですが、既に我々は国際的な小包配達でバーコードを用いたポインティング情報システムの恩恵に浴していますから、十分に理解可能なお話ですね。
 なお、タグ・リーダーの中には太陽光発電による電力を利用するものがあるとのことです。またAARの歴代幹部は、UP出身者が多く、同社は米国下院にも強い影響力を有し、コロラド州プエブロのAAR実験線を運営するTTCIという組織は主にUPから出向してきた社員が、様々な技術を開発しているそうです。

 もう一つ、面白かった記事は井上公美氏の「シリーズ物流生理学講座①-血液循環とスループットの概念」で、コンテナと血流のシステムはよく似ているという例えは肯けます。血液は体重の5%を占め、出血が多量になれば死に至る。体重によって血量が変化するように、コンテナの必要個数も経済規模の発展によって増加させる必要があり、その効率的運用の物差しがスループットという概念なのだそうです。
 またコンテナ船を1隻建造すると、その積載個数の3倍のコンテナを作るのですが、その考え方は、1隻分は積載中で、2隻分は両端でのデリバリーとのこと。物流の世界は、奥が深いですね。

 表紙写真は、佐々木也寸志氏が2006年11月3日に撮影したロサンゼルス港辺りの風景だそうです。

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