C&Oの流線形ハドソンと鉄道車輛401集
The ad of C&O L-1 model imported by PSC appeared in the May 2007 issue of the Railroad Model Craftsman magazine.
先日届いたRMC=レールロード・モデル・クラフツマン誌の5月号PSCの広告にC&O=チェサピーク&オハイオ鉄道流線形蒸機のHOモデルが登場しました。
実は、私が生まれて初めて知ったアメリカのストリーム・ライナーは、20世紀特急でもデイライトでもなくて、このL-1なのです。「鉄道車輛401集」という、TMSに連載されたプロトタイプ・ガイドという記事を集めた特集本のp16、元々は1950年(昭和25年)10月号で、不鮮明な写真と簡単な形式図が出ています。
「テンダ後部をご注意願いたい。わざわざ客車と同じ高さにしているのだ。如何にロコが大きいかもお察しいただけると思う」という一文と併せて、アメリカは凄いという印象を持ったものです。
この本、1950年から1958年までをまとめていて、初版が1960年に発行されていますが、もちろん私がそんな古いものを買えるはずが無く、1967年の第3版です。初版は表紙の橙色部分が青だと思います。
日本型を含めて実物の情報に飢えていた時代でしたから、繰り返し繰り返し、それこそ舐める様に文章を読み図面と写真に見入ったものでした。アメリカ型は、イリノイ・トラクションのBBBB凸型電機、UPのスタンダード・ガスタービン、インガルスの試作ディーゼル・スイッチャー、ペンシィのDD-1、ボールドウィンのニッカーボッカーB型サドル・タンク。あるいはキャメルバックやバンダービルト・テンダー、フラット・ノーズ、ピギィバックという言葉も皆、この本で知ったのです。
早い話が、私が持っている実物知識の正に原点で、模型の方の「模型とラジオ」誌の増刊号と双璧をなしているとも言えます。
さてこの流線形ハドソンは、ロバートRヤングという社長が画期的な特急列車を自社線で走らそうと、製造後25年も経った古いF-19パシフィック機4両を1946-47年に改造したL-1という形式です。1948年になってバッド社から46両の豪華ステンレス客車が届くと同時に計画が頓挫したということで、我が国九州鉄道の「或る列車」にも匹敵する悲劇の主ですか。
4両の内のトップナンバー490が生き残ってB&O鉄道博物館に保存されていて、実際にご覧になられた方もおられることでしょう。次はWes Barris氏によるスチームロコモーティブ・ドット・コムの保存機写真です。
ところでボイラー・ケーシングに塗られた色は登場時がオレンジで、残った490が1950年以降にイエローに塗り替えられたと同サイトでは読み取れ、PSCの広告では492と493がイエロー、490と491がオレンジとなっています。同社サイトによれば、日本のディーラーは豊中のイチフジと西中島南方のH&Yササキです。
日本の雑誌では門奈一衛さんという方がTMSの1986年2月号にHOスクラッチモデルを発表されています。Oゲージではライオネル製の3線式が有名ですけれど、デフォルメが気になって手が出ません。もしHOの売れ行きが良ければ、PSCがOゲージでも出してくれるとは思いますが、もの凄い値段設定になってしまうことでしょうね。
■401集は、初版が上下2分冊でオレンジ、第2版が1冊でブルーだったのでしょうか。よく判りません。
■401集の第2版がシロ松本氏のHPに載っていました。なお、山崎貴陽氏が拘っていた漢字は「輛」でして、「輌」ではありません。それに抗って私が「両」を使う理由は、当用漢字であることの他に、「車輌」や「車輛」では「車」が重なって冗長だという意識です。それに、マスメディアであるはずの雑誌が、これでは単なる内輪向けの会報に成り下がっているとも考えています。
【追記】vanagon714さんという方のブログにモデルを発見しました。記事の日付が2006年5月ですからPSC/D&Dによる1988年製品でしょうか。なお、ブラス・モデル・トレインズによれば2008年製PSCモデルは、4両の内の490と491がイエローで、492と493がオレンジ、発売価格が1,750ドル、現行相場が1,850ドルとのことです。また実物がジョージ・ワシントン号を牽引する姿は「写真で楽しむ世界の鉄道-アメリカ1-」に掲載されています。2009-11-11
【追記2】ブロードウェイ・リミテッド・インポーツ社BLIから予告がありました(同社サイト)。パラゴン3、DCC仕様で小売推奨価格699.99ドル。11月出荷予定です。2016-08-07
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コメント
この時期はロバート・R・ヤングが政府に接収されていたC&O所有の高級リゾートホテルのザ・グリーンブライアー(C&Oの4-8-4のJ-3/J-3a型式グリーンブライアーの由来は此処から)を買い戻して改修していた時期に当たります。その新特急列車はザ・グリーンブライアーへの訪問客を当てにしていたのでしょうか?
投稿: kiichi yamamoto | 2007/05/21 20:23
実は4-6-4と同時に4-8-4の流線形も計画されていました。サイドビューの予想図は、一寸泥臭いスタイルでしたが、掲載されていたはずの蔵書が見つかりません m(_ _)m
投稿: ワークスK | 2007/05/22 00:29
こんばんは。はじめまして。お邪魔致します。
L-1はカッコいいですね~(^^)私はアメリカ型に興味を持ったのは交友社の「写真で楽しむ 世界の鉄道」です。小学校時代に買ってもらった「アメリカ1」にC&O鉄道の紹介と特急「ジョージワシントン」号を牽引するL-1の写真が掲載されていました。
関西に就職してからはイチフジさんや大丸百貨店(心斎橋)に通いました。80年代の後半に大丸さんにL-1が入荷し、懐かしくて購入してしまいました。確かにオレンジとイエローがありましたが、好みでイエローにしました。
白黒写真でしか見たこと無かったので、こんなに明るい色の機関車だったんだなあとはじめて知りました。モデルは当時の韓国製としては素晴らしい出来でした。C&Oがますます好きになるきっかけになりました。
長文失礼しました。
>>コメントありがとうございます。大丸は、心斎橋店も四条店も目を見張る品揃えでしたね。私は指をくわえて見ているだけでした(T_T)【ワークスK】
投稿: vanagon714 | 2009/11/12 00:48