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2007/05/22

文学にみる「アメリカ鉄道物語」

 書名自体は我々にとって大仰なものなのですが、副題が「アメリカ文学再読の旅」となっていて、要はアメリカの小説に鉄道がどう描かれているかを概観する読み物です。
 筆者は小野清之さんという文学部教授、鉄道マニアではないと自ら断わられていて、学術論文的な臭いがしなくもありません。この趣味をやっている我々が知っていた方がよいと思われる逸話が散りばめてありますから、読んでおいて損はないはずです。
 ただ、2,800円と値段が張ります。私は古本サイトで名古屋の古書店から1,785円+送料290円、合計2,075円で購入しました。
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 エピソードはどれも短い記述です。バスター・キートンの「ジェネラル」や、ディズニーの「機関車大追跡」の元になった南北戦争時のアンドルーズ襲撃作戦、イリノイ・セントラル鉄道の勇敢な機関士ケイシー・ジョーンズ、N&Wが試作した蒸気タービン機関車の名前となったジョン・ヘンリー、イリー鉄道の権利をコモドア・バンダービルトと争ったジェイ・グールド等です。
 圧巻は第8章の「大陸横断鉄道の建設」で11頁にわたり、UPとCP、トマス・デュラントとビッグ・フォア、アイルランド移民や中国人労働者が語られています。

 新本(1999年刊)が欲しい方は未だ研究社に在庫があります。

 渡り労働者ホーボーについての記述が中途半端だったり、児童文学の分野が省かれている点に物足りなさを感じる方もおられることでしょう。
 当方の鉄道模型大辞典をはじめとするインターネット上のテキストを検索する術を持っているのなら、趣味人としてはやはり図書館利用が妥当だろうとは思いますが……。

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