SPのCPハンティントン
サザン・パシフィックSouthern Pacificの蒸気機関車といえば、急客機のデイライトGS-4か、はたまた巨大なキャブ・フォワードが相場なのですが、実は、写真の様な可愛らしい古典蒸機もあります。前身がアメリカ最初の大陸横断鉄道セントラル・パシフィックですから、その当時の機関車です。
私の「Oゲージの玉手箱」にSilver Streak製のプラスチック・モデルを展示していますので、ご覧いただいている方もおられることと存じます。そこに書いたKemtron製品を長い間探していて、やっと入手しましたので、自慢がてら御紹介することにしましょう。
私がこの機関車C.P. Huntington 4-2-4Tの存在を初めて知ったのは、もちろんお決まりのとれいん誌上です。今調べると1981年11月号ですから大昔ですね。カリフォルニア州鉄道博物館に展示されている姿で、逆光気味の不鮮明な写真ですが、「アメリカにはこんな機関車もあるのか」と不思議だったことを覚えています。しばらくしてKey Imports-SamhongsaのHOモデルも同誌82年5月号p58に登場しました。それが86年3月号p22にはカラフルで上品な装いで紹介され、2度、驚いたものです。
ただし、当時は根っからの国粋主義者でしたから、記憶に留まっただけでした。それが、90年前半にバーリントン・ノーザン鉄道にハマり、その後、Oゲージにも手を出すと、前者のプラスチック・キットを入手するのに時間は掛かりませんでした。ただ、パーツが足らず、スクラップ同然の2台目を手に入れて完成したのはホンの2年ほど前です。
ケムトロン製の方は、キットというよりも素材セットという趣ですから完全に諦めていたのですが、先日幸運にも組み上がったモデルをゲットできた次第です。
さて、現物を手にして驚いたのは、ケムトロンがシルバー・ストリークと瓜二つという点です。ほとんどのパーツがロストワックスということは判っていたのですが、その型がまったく同じなのです。裏を見れば、プラスチックのモールドを金型から押し出すボスが一緒。ポールなどの黄銅引き物に至っては全く同じものです。ということは、シルバー・ストリークが先で、それを利用してケムトロンがロストワックスを作ったということだと言えます。ことによると、シルバー・ストリークを動力化したいのならケムトロンを買え、ということだった可能性があります。
興味のある上下の分解は、ボイラーとキャブ前板が一体で外れるようです。すなわち、残りのキャブと台枠が一体で、動輪は別に下へ抜くという構造です。煙突直下のネジが先台車中心ピンを兼ねていて、これを緩めると分離するはずですけれど、このネジが潰れるのが怖くて、試せないでいます。
組立はしっかりしていて、相当な手練れの方によるものと思います。モーターはKemtronの純正品が付いています。これ、KTMのDV18C辺りによく似ています。塗装はライニングを含め非常に繊細な仕上がりです。積もり積もったホコリを、綿棒を湿らせて丹念に拭ったら、ボイラーのロシアン・ブルーが輝きだしてきて感激しました。
ラインが一部実物と異なることと、ツヤ消し状態に不満があるものの、全体としては私如きが剥離するのは畏れ多いレベルです。いつか、キャブの腰の機関車名と、炭水庫サイドのSPマークの様子が判明したら、デカールを自作して入れてやりたいとは思っています。
最期に、ケムトロン社のカタログ(1955-56年版)での値段表と、All Nation模型店のカタログに掲載された本モデルの完成写真をお見せします。また、Model Railroader誌1955年9月号Trade Topics欄に、「つい最近、KemtronのLevon KemalyanがMR事務所を、スーツケースを携えて訪問した。中は、少し知られる様になったロストワックスのO、On3、S、HO、それにHOn3のパーツで一杯だった」という文章と共に、このC.P.ハンチントンのパーツも写真で紹介されています。製品は動輪が鋳放しのままですから、このモデルは貴重です。
なお、HOゲージの日本製モデルは、鉄道模型社製があって、貫名英一氏のサイトで紹介されています。また、Gスケールで自作したモデルがあり図面がたくさん公開されています。これ以外にもデータや情報がWikipediaをはじめインターネット上に溢れていますし、サクラメントのカリフォルニア州鉄道博物館へ出向けば実物と対面できます。【写真は全て、クリックで拡大します】
■この続きでデカールを貼る話は「C.P.ハンティントンにデカール」、思いが募ってサクラメントで実物と対面した話は「カリフォルニア州鉄道博物館(1)」をご覧ください。2008-03-21C.P.ハンチントン?
■dda40x氏より、「Kemtronのモーター(協同ライト製)がついていますね」とメールをいただきました。そういえば、協同ライト商会のコレクションの12VOLTモーターにそっくりです。こちらには「18VOLT」とあります。
■浜松/ア-ルクラフトの井指店主よりもメールを頂戴しました。
御無沙汰しております。何時もメ-ルマガジン拝読しております。
今回のプラ製とロストがモ-ルドは同じではないか? という件ですが、米国ではよく使われてる方法です。それはロストワックスのワックスの代りにプラモ-ルドを使用する方法です。この方法で米国のグラントラインからは多くのプラ製品と同じロストワックスパ-ツが販売されております。
グラントの社長と話をしたとき「プラ製品なら何でもロストに出来るよ」といわれました。「但し、20%ぐらいの確率でミスが出る場合も有る」とのことです.......(湯が流れ切れない等と思います)
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コメント
こちらでは初めてですが、よろしくお願いします。
いつも楽しく拝見しています。
ご存知かもしれませんが、ロストプラスチックの解説です。
http://home.onemain.com/~thebackshop/plastics.htm
グラントのプラからのブラス特製品
http://home.inreach.com/jkitts/BrassEng.html
投稿: RAILTRUCK | 2007/10/03 09:58