アトラス旧Oゲージのボックスカー
Old Atlas boxcars collection
ここのところの2回ばかりで、アトラスが1970年代始めに売り出したOゲージのオアカーを23両、ご覧いただきましたが、これと同じシリーズに40フィート・ボックスカーがあります。実は、こちらこそが私の大好きな製品で、完成した4両を含んで7両も保有しているモデルです。
もちろんインターマウンテンやブラス・モデルも好きなのですが、初めから手間とコストを掛けているハイグレードなモデルよりも、HOなら古いアサーンやラウンドハウスといった、一見"オモチャ"だけれど、購入者が僅かに手を加えることにより見違えるような"スケール物"に化けてくれるモデルに、堪えられない悦楽を感じるのです。
これらの幾つかは日本の模型店で購入していますから、同じ指向のモデラーがおられるものと信じています。確実な記憶ではないのですが1990年前後で、豊中のイチフジ、灘のロッコー、放出のツカサ、あるいは岡山のダンあたりだったと思います。
ところで、このスライドドア・タイプの方のボックスカーは、プロトタイプがペンシルベニア鉄道PRRのX-43Cだと、Model Railroading誌1988年4月号に出ています。特に、サイド右上部にモールドされている小さなプレートが見事で、実物通り「The First National Bank of the City of New York Agent Owner」となっているとのことです。すなわち、銀行の信託資産でしょうか。
さらに実物についてはbrass_solder氏のサイトに解説があり、製造は1951年9月、Pressed Steel Car Corp.で、番号は70400-71899の1,500両とのことです。サイドドアの開口寸法が、HOのアサーン製品で見慣れた6フィートよりも広い8フィートとなっています。
プラグドア・タイプの方は、これを単にドアだけ変更したものだと思いますが、四隅のステップがスライドドア・タイプと異なりますから、ことによると特定のプロトタイプが存在するのかもしれません。
もちろん、私にとって両者は“十分に一般的な”アメリカ型40フィート・ボックスカーということで、GNとC&Oは塗装済製品の購入で、CB&QとNPはそれらしい車番に自分で仕上げたものです。当然GN、CB&QとNPは、私がHOで拘っているBNの前身というわけです。
ところでこのモデル、100%満足というわけではなくて、二点ほど、不満があります。
その第一は、ハンドブレーキの引き棒が、次の写真の左の様に曲がっていることです。ハンドルを回して棒を引っ張るなら、右のように真っ直ぐでなければ可笑しいはずです。
不満の第2はウエイトが付いていないことです。いくらハイフランジといっても、これで編成を組んで脱線しなかったとは到底思えません。スケール化用にアトラス自体がカプラーと車輪を別売したのですが、ウエイトを忘れていたのは本当に不思議です。
私のウエイトは、ホームセンターで購入した鋼帯で、そのときに切断とドリル加工をしてもらい、自分で塗装したものを使っています。この辺り、以前にお伝えしたアサーン客車と同じです。
次の写真は、オリジナルの台車と、それをスケール化するために加工した姿です。ガラッと雰囲気が変わってしまうことがお分かりいただけると思います。
ブレーキ・シューが下写真左の様に車輪トレッドにピッタリ合っているところは、それ自体を持たない右のアサーン製品等に較べて、涙モノです。
アサーンは、スプリングを入れたりして実物に拘っているけれど、このアトラスは、モデルとしての機能に特化していると言えなくもないと思います。
次の床板の写真では、枕梁の左が2点、右が1点の3点台車支持となっていることがお判りいただけると思います。これによって車体の安定感は充分です。
さらに次の写真は、別に保有しているアンデコ・キットです。これを一体どうするか。本来のPRR仕様に仕上げるのは、プロトタイプについてよくご存じの方が多いので畏れ多いというか……
■この2種類ボックスカーはよく見れば、リベットと溶接、側梁構造など、いろいろと異なっていて、プラグドアの方も十中八九、ちゃんとしたプロトタイプが存在するのではないかと思えてきます。同じシリーズのストックカーを含め、どなたかご存じないでしょうか。なお、本文中で一般的な方を「スライドドア」と呼んだのは便宜的で、あちらの流儀では「シングルドア」が商品名ですので、念のため。
■「求めよ。されば与えられん」とは聖書の言葉ですが、私は本当に真理だと思います。このシングルドアの方がPRRだと知って、その塗装済製品を探しましたら、たちまち3両を入手できたのです。
1両はアトラス・オリジナルである正しくX43Cの車番の71064です。あとの2両はX31aという型式だったり、6桁の車番だったりと、X43Cでは無さそうなレタリングで、譲渡者は「両方ともBev-Bel社発売だ」とはいうものの、妻上部車番の有無に違いがありますから、どちらか1両は別のメーカーのデコレートだと思います。
真正のX43Cアトラス製品
X31aを騙っているシャドー・ストーン・ヘラルドのモデル。このローズ・ピンクは西武のそれによく似ている。
■MR1972年5月号のTrade Topicsが、この2種類のボックスカーを紹介していて、プロトタイプについての言及がありました。スライドドアは前述の通りで、プラグドアの方がThe Detroit, Toledo & Irontonのinsulated boxcar、19195-1919199の5両のシリーズ。1959年版Official Railway Equipment Registerに最初に現れるとあります。そういえば、発売された中にDTI車がありますね。2009-01-11
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コメント
こんばんは。
今日になってこの記事をよく読んでいたら、びっくりしました。
私の拙いページをご紹介くださってありがとうございました。
この模型はちょうどX43Cにマッチするのですね、羨ましいです。
ドレッドノートエンドのリブの形もプロトタイプにピッタリで、この点でHOよりずっと良いと思います。
最後のアンデコの写真を見て、HOとほとんど同じ構成なのに驚きました。
先入観無しにこの写真だけ見せられたらHOだと思って欲しくなるところです。
ではまた、よろしくお願いします。
投稿: Brass_solder | 2007/12/08 20:37
Brass_solderさんに太鼓判を押していただいて、ますますこのPRRスキームが欲しくなってきましたが……
投稿: ワークスK | 2007/12/10 13:10