流線形シンドローム
今日3月16日、読売新聞朝刊の書籍紹介頁にあった新刊は原克(はら かつみ)著「流線形シンドローム――速度と身体の大衆文化誌」。
ということで早速、出版元である紀伊國屋書店のサイトへ飛んでみると……
自動車、機関車から、建築、警察、ゴルフクラブ、ミルクボトル、流行歌、デートコース、女性の身体にいたるまで…すべての道は流線形に通ず!?1930年代、アメリカ・日本・ナチスドイツ――かっこよくも危ういイメージの系譜をたどる。
第1部 流線形メイド・イン・USA(プレ流線形時代;1930年代、流線形大衆化時代;流線形シンドローム)
第2部 ドイツと日本の流線形(流線形帝国ナチス;記号の帝国ニッポン) 20世紀前半に一世を風靡したデザイン、流線形。
スピード化・合理化の時代を象徴するそのイメージは、自動車や機関車にとどまらず、日用品や大衆文化、女性の身体に至るまで感染症さながらに拡大適用されてゆく。本書は、科学/ファッション雑誌等を渉猟し、米国・ドイツ・日本でそれぞれ特徴的に展開した流線形イメージの系譜を比較文化論的に描く。図版178点!
書評の佐藤卓己氏によれば「空気抵抗を制御する物理学用語だった流線形が風俗から政治まで席巻した時代の症候群(シンドローム)を描き出す。この表象の拡張によって、流線形が排除する『空気抵抗』は『抵抗因子一般』から『無駄なもの全般』へと読み替えられていった」ので、ドイツではナチスのホロコースト云々……。
翻って日本では市丸「流線ぶし」や服部良一「流線型ジャズ」が流行ったそうな。(共に1935年(昭和10年)の発売) おおっ、C55やEF55はいざ知らず、どこぞの1000とか1100型という電車はその類(たぐい)か。
件のサイトで小見出しを追っていくと、国道66号線、エッフェル塔と流線形、1930年代のカブト虫たち、流線形ガードル、流線形ポテト、夢野久作の怪奇世界、流線型アベツク等々、興味深い語句が並んでいる。
表紙画像、帯部分に僅かに見える黒い物体はレイモンド・ローウィのPRR、シャーク・ノーズT1。
で値段は、ぬっ! これは図書館に請求して買ってもらわなねばなりますまい (^^;
ストリームライン, Streamlined
【追記】買ってしまいました! 中身は……、手強いです。2008/03/19
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