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2008/05/30

ソルジャーサミット攻め

I also met Utah Railway's MK5000Cs with my visit to the Soldier Summit in 2008.

Pentrex_soldier  いつもは読み飛ばしているペントレックス社からの案内メールですが、今回は新作DVDの題名が「Soldier Summit Assault」というのですから、反応しないわけにはいきません。
 早速、案内されたサイトをクリックすると、左の画が表れました。添えられている説明文を意訳すると次の様な感じでしょうか。なお"Assault"という単語は辞書を引くと"猛攻撃"と出ていますから、邦題は「ソルジャーサミット攻め」あたりになりそうです。

 「ユタ州ワサッチ山地のサミットは7,440フィート(2,268m)、アメリカ大陸横断鉄道の中で5番目に高い峠である。また元D&RGWにおけるユタ州内での最高地点であった。ソルジャーサミットの急勾配に挑むには強大な馬力が必要で、多くの列車は中間と後部に補機を連結する。このDVDは、リオグランデやSP、UPのディーゼル機が一団で大馬力の列車となり峠を越える様子を記録している。

 現在、ここはUPの線区となっていて、ユタ・レールウェイとBNSFが通行権を持ち、アムトラックのカリフォルニア・ゼファーが日に2本通過する。旧いオレンジと黒のままのリオグランデ鉄道のSD40T-2が、UPの石炭列車や有名なトラッシュ・トレイン(trash:ガラクタ?)を補助するのを毎日見ることが出来る。この時点で、ユタ・レールウェイのSD40に6両のMK5000と5両のオーストラリア製SD50が加わっていた。UPのEユニット(ビジネス客車)とC&NWのダッシュ8も姿を現した。
 その名もヘルパーという地点で押し上げ用の補機が列車に組み込まれるのを見て欲しい。西のプロボへ向かう前にギルリーループで180度方向を変えて勾配を下るシーンがある。ここの主要産品である石炭のユタ・レールウェイの積込設備を訪れる……」

Solder  右はペントレックスが提供するDVDのプレビューです。拡大してご覧ください。<残念ながら、2008年10月10日現在、試聴できなくなっています>

 値段は29.95ドル、荷造り送料が17ドルで、追加1作品当たり4ドルですから、1本だけ注文するには高めの設定となっていて、ペントレックス側に一度に何枚も買わせる魂胆があることが見え見えです。私はBN物しか興味がないはずなのですが、あろうことか、ここでダブル・クリックしてしまったんですね。それが5月21日で、1週間後の28日に届きました。

Img_2217a  右の地図はDVDに出てくる画ですけれど、これだけでは我々にとって判りにくいので、旧いD&RGWの全路線図をSimpson Low社刊"World Railways 1952-1953"という書物から転載しておきます。ヘルパーとプロボの位置関係を認識していただけることでしょう。プロボの北がソルトレーク、その先のオグデンでUPに接続していたというわけです。
Img775a

 で、DVDの章立ては次の様に、南のヘルパーから紹介する順番となっています。
1.Introduction/ 2.Helper/ 3.Utah Railway Jct./ 4.Nolan Tunnels/ 5.Kyune Tunnels/ 6.West Kyune/ 7.Colton/ 8.Soldier Summit/ 9.Gilluly Loops/ 10.Skyview/ 11.Thistle/ 12.Castilla/ 13.Gomex/ 14.Utah Railway's SD40s/ 15.Epilogue/ 16.BNSF

 D&RGWのSD40T-2は撮影が2000年ですから未改番かつ塗装も鮮やかで、同鉄道を好まれる向きには涙モノだと思います。SPの機関車はご多分に漏れず薄汚れているものの、スピードレターが未だハッキリしています。"Gilluly Loops"は初めて知りましたが、線路がZ形にターンしていて、規模からいえばテハチャピも真っ青というスケールです。

 また、中間補機が逃げて1本の列車になる場面があります。ほとんどがコール・トレインですが、石炭車は新しめのアルミ製で揃えた編成の他に、古い鋼製車の各鉄道色混成もあります。ボックスカーを含む一般貨物や、中にはクッション・コイル・カーのカバーを取ったものを30両ほど連結した列車も見ることが出来ます。

Ss751 ところで、以前にもお伝えしたとおりこの2月、私はdda40x氏の御案内でこの区間を車で走破していていますので、その折撮影した写真もご覧に入れましょう。盛夏と思われるDVDとは雰囲気がだいぶ異なります。

 1枚目はヘルパーのヤード辺りです。タンクはサンドタワーだと思います。その向こうにアルミ製の石炭車が止まっています。谷底の地形で光線状態が悪く、また機関車も見当たらなかったので、シャッターは数回押しただけです。DVDにある高台からのヤード俯瞰撮影は登ること自体も大変だったでしょうが、時間帯など周到な計算がされていると思います。

 ここの古い街並みは観光名所になっているとのことでDVDにも出てきます。鉱山&鉄道博物館もある様です。「カーボン郡」とは如何にも石炭が出そうな地名ですね。Wikipediaの解説をご参照ください。Google Mapの航空写真も載せておきます。
Helperl

 次は、前に一度ご覧に入れた写真の一つ前のショットで、UPのダッシュ9の3重連回送です。ルート6を走る車の助手席からシャッターを押しています。線路は複線で、南行きの4列車ほどと擦れ違いました。dda40x氏に拠れば、この線区が出来た頃は重機を十二分に活用できたので、人手に頼った工事のドナーパスなどと較べると切り通しや築堤など線形自体が大規模になっているとのことです。
Ss764

 次の画は追い越した唯一の北行き列車です。UP線に乗り入れてきたユタ・レールウェイのMK5000Cという珍車で、同鉄道が全6両を保有していて、ここにその内の4両が写っています。って、通りすがりの旅行者が偶然に撮影できる様なアングルでは……
Utah 5004 MK5000C
と思われた、貴方が正解です。

 次を見て下さい。線路の真ん中でカメラを構えています。ということは、ちょうど踏切の手前で止まっていたのですね。多分、この付近は上下別線になっていて、通過待ちをしていたのだと思います。この機関車は2001年に納入され、その活躍し始めた様子がDVDに「15章.エピローグ」として紹介されています。なお、URはSD40ともすれ違いました。
Utah 5004 MK5000C

 線路とルート6は付かず離れずで右に左にずっと見えて、キョロキョロするだけでもワクワクします。ただDVDにある雄大なGilluly Loopsは、車窓からはその存在に気が付きませんでした。Google Mapを見ると険しそうな地形で、全体を見晴らせる場所があるのかどうか、あったにしても近付くのも容易ではないようです。
Gillulyl
【一部の写真はクリックで拡大します】All My Photos on Feb.14,2008

"World Railways 1952-1953"という本は、全くの実務家向けの解説書で、路線や主要車両、線路構造とか建築限界に車両定規、信号システムなどを網羅して、各種メーカーの広告もあるという”奇特”な英国はロンドンで発行された本です。半分は米国ですけれど、ヨーロッパ、アジア、アフリカ、南アメリカも載っています。日本では名鉄のイモムシ3400型の写真が出ています。
 多分、これが後にジェーン鉄道年鑑Jane's World Railwaysになったのだと思います。世界中の英語の古本が検索できるブックファインダー・コムで著者名に「Sampson」、書名に「World Railways」と入力してみて下さい。
 ところでこのD&RGW路線図、私は左上のユタ州辺りに注目していただきたくてお見せするのですが、案に相違して右側のコロラド州に広がる3フィート・ナローに釘付けになる方のほうが多いかも知れません。デュアル・ゲージ区間も判ります。
 なお、この本に掲載されていたB&LE鉄道のマークをスキャンして、デカールを作った話は「自作デカールでオアカー編成」をご覧ください。

ルート6も含めてこの区間の歴史がもう一つよく判らないのですが、Wikipediaによれば、最初は元祖D&RGWの手で1881-82年に3フィートナローで開通し、RGWとなるとともに1889年に標準軌へ変更されたということの様です。またここより高い大陸横断鉄道は、Tennessee PassMoffat TunnelSherman Hill SummitRaton Passの4つで、3つ目がUP以外、皆D&RGWです。
 とれいん誌1992年10月号p74に松本謙一氏の手になる「50州あるふぁべっと 模型で綴る黄金時代の米国の汽車 ユタ -ソルディアー・サミット」という記事を見つけました。建設の経緯については触れられていないものの、ここで活躍した蒸気機関車について、モデル写真を交えて詳細に解説されています。
 カタカナでの「ソルジャー・サミット」と「ソルディアー・サミット」は、YahooでもGoogleでも私のテクスト以外、今のところ全くヒットしません。2008-06-01

dda40x氏からメールと共に写真が2葉、送られてきました。2008-06-04
 発音は"ソルジャー"です。ここは意外と誰も行かない峠でさびしく思っていました。
 Gilluly Loopsは、車内で「ここで撮ったのですよ」と叫んだ地点です。写真を探し出しましたので一部送ります。ネガフィルムですが何とか見られます。撮影は1988年11月です。
 ビデオもあるような気がしますが、これは調査中です。国道から撮ったものです。このあたりは蛇とかサソリがいますのであまり奥には入りたくなかったところです。当時は子供が小さかったので余計に難しかったように思います。
 貴記事中、オグデンでUPと接続というのは間違いだと思います。ProvoにはUPが通っています。LA-SL路線です。
Soldier_summit

Soldier_summit_3
3 foot narrow, Denver & Rio Grande Western, Map, Union Pacific, Morrison Knudsen, Pentrex, Provo, Utah Railway

【追記】ExactRailのBlaine Hadfield氏がブログを始められて、その最新号が「ユタ石炭輸送抒情"Ode to Utah Coal"」。第1回ということなので、続編が楽しみです。
 この区間をトレイン・シミュレーターで楽しまれている方がおられてビックリしました。ドローンを使ったような視点からのリアルな景色は夢見心地です。(Train Simulator 2017で世界鉄道紀行!)2017-02-07

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