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2008/07/16

木の香漂う駒音製材所

A sawmill that had been removed once existed in Hon-Katada, Otsu.

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 先日、久しぶりに大津の本堅田(ほんかただ)を走りましたら、昔あった製材所が更地になっていて驚きました。
 私にレイアウトなどという野望はないものの、やはり模型心をくすぐるストラクチャーに出会うとカメラを向けたくなるものです。この駒音製材もそんな建物で、もう一度、ゆっくり観察したいと思っていたので残念なことをしました。【画像はクリックで拡大します】

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 2005年4月にお断りして撮影させていただいた姿をお目にかけます。なお「駒音」は「こまおと」と読み、1949年の創業時に建てたらしいとのことでした。この奥に新しく大きな鉄骨の建物等があります。

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23dscf1512 正面は南を向いています。妻面の破風(はふ)に会社名とマークが書いてあります。マークは「音」という漢字の上半分の「立」を将棋の駒に見立てた洒落たデザインです。その下の電話番号は故意に消されています。
 東面にはツタが絡まっていた様です。電柱の陰にある小さな屋根は、町内会用掲示板の残骸ではないでしょうか。

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 上は北妻面で、建物が南北に吹き抜けになっています。この時点では全くの車庫ですが、かつてはこの中に製材用の機械が並んでいたことでしょう。

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 さらに北西角で、コンクリートミキサーやらユンボのバケットが打ち捨ててあり、トタン屋根の下には製材済みで半端もののような板が積んであります。その上には事務所用の扇風機でしょうか。このゴチャゴチャ感が何とも言えずシビレます。
 また、この辺りは雨樋の様子がよく分かります。東面などは受だけが残っています。

 次は西面で、帯鋸の様な機械がおいてあります。

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 こちらの、西に張り出した片屋根の"小屋"は、わざわざ「トイレ・便所」という札が掛かっていて、ピンを押せば水が出る昔懐かしい手洗い器と、タオルが用意されていますから、この時点では現役です。屋根下の部分だけ白いのは漆喰でしょうか。手前の小便所は腰部をコンクリートとして空気抜きがあったり造作を楽しめます。軒は板葺きで朽ちつつあります。

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 内部は、西壁、東壁、南妻の順です。積雪を考慮しているのでしょうか、屋根を支える木組みが見事です。小学校の建物を手がけていたので、その構造かもしれないとのことでした。
 モデル化するのだったら、これをどういうふうに見せるかがポイントでしょう。今にも大鋸屑(おがくず)から木の香が漂ってきそうな光景ですから、想像の中だけでもレールを敷いてみたいですね。かつて朝日新聞にスケッチが掲載されたというのも大いに肯ける風情です。

 まあ湖西線、もとい江若の沿線ですから、一応、鉄道巡りということで‥‥

【追記】ダメモトで航空写真を捜すと、Yahoo地図に見つけました。画像中央の建物です。2012-01-12

Photo

ストラクチャー ガイド 木造 建物 建造物 下見材

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コメント

偶然この写真にたどりつきました。
駒音製材の長女です。とても懐かしい風景です。
朝日新聞に掲載された絵は、私の高校の同級生である画家の友人が結婚祝いに画いてくれたもの。
貴方が撮影に来られた頃は私は夫の帯同で長く海外駐在しておりました。
父も昨年亡くなり、今では工場の面影ある建物は全て取り壊してしまいました。
よくぞ写真に収めておいてくださいました。
感謝致します。

>>コメントありがとうございました。せっかくですので、写真をすべてレタッチし直し、大判のものに取り換えました。またネット上で当時のままの姿が残っていた航空写真を追加しました。【ワークスK】

投稿: 山根知江 | 2012/01/12 16:10

久しぶりにここにたどりつきました。
写真レタッチしてくださったんですね。ありがとうございます。
父の釣り用の(手漕ぎの)ボートやら、懐かしいものが写っています。おがくずのことを我々は「ひっこ」と呼んでいました。木を曳く粉だと思います。
私のかすかな記憶では、あのシンボリックな建物には機械類はなくて製材がたんと置いてありました(昔々は知りませんが)。ど真ん中には櫓のような別の建物があり、サイレンが鳴りました。ゴチャゴチャのあたりも皮剥き前の原木が「頃合い」までいっぱい寝かしてありましたが、外材が入ってきてから斜陽産業化。中学校のテニスコートまで工場でしたが、空きスペースの多くなった敷地内を廃車寸前の元高級車で運転の練習をしたものです。古き良き時代の話です。
私は疎いのですが、夫は国鉄職員だった祖父の影響で「鉄ちゃん」。なぜ鉄道関係の仕事につかなかったのか謎ですが。
この頁見たら涎ものなんだろうな、熱く語るんだろうな(語り甲斐のない相手に)…と思います。

>>コメント、ありがとうございました。製材業華やかなりし頃の様子が偲ばれるお話ですね【ワークスK】

投稿: 山根 知江 | 2012/10/24 21:26

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