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2008/08/31

クリーニングカーとグーゴーン

A quarrel with a magazine's introduction to the Centerline Products cleaning car

Catalog_img_11

 "とれいん"誌2008年9月号には、先日紹介したレナハンズ・レキシコンといい、松尾彦孝氏のSPデイライト編成解説といい、アメリカ型ファンにも面白い記事が掲載されています。

中でも、センターライン・プロダクツ社のレールクリーニングカー(メーカー・サイト)を試用した記事は、日米欧やゲージを問わず、多くの読者が関心を持たれたテキストでしょう。4、5年放置されていたレール上でテスト走行させて効果を検証したリポートは、私も興味津々で読ませていただきました。

 しかし、当方のブログ掲示板、またはdda40x氏のGiants of the Westでリモネンの話を読んでいた方には疑問が残ったはずです。

Catalog_img_12  すなわち、クリーニング液に指定されているグーゴーンGoo Goneは塗装やプラスチックに安全なのか。とか、蒸発までに何分ぐらいかかるのか。蒸発後の残留物はないのか。はたまた、近年盛んになってきたDCCに対する効果はどうなのか。拭取用のペーパーは何枚添付されているのか。上り勾配で動力車はスリップしないのか。劣化しやすい輪ゴムは日本の市販品で代用が利くのか。30分掛けてエンドレスを100周させたとあるが、1周や2周、あるいは10周程度ではだめなのか等々、購入を考えた方には知りたいことが山ほど積み残されているはずです。

 私自身はこの製品を持っていないので勝手な想像になりますが、作用には3種類があると考えています。

 1つめはグーゴーンの本来の、油脂などの汚れを落とす溶解、界面活性の働きで、これは記事が言及しています。
 2つめは、酸化皮膜を物理的に落とす作用で、例えばサンドペーパーによる水研ぎと同じ様に湿式研磨とか湿式研削と呼ばれる、削りカスで目詰まりさせないように液体で洗い流しながら擦る効果です。
 3つめが、汚れの拭き取りです。

 ですから、最も効果的な編成は、液体を塗布するクリーニングカーを先頭にして2両目に機関車、3、4両目に金属車輪付きの重めのトレーラー(あるいは動力車)、さらに最後尾にもう1両のクリーニングカーを拭取用として連結する、というようなものを夢想しています。
 すなわち、水研ぎ作用こそに、揮発性の低いグーゴーンを選択した真の狙い、と私は思うのです。また、グーゴーンで濡れたレール面での集電はスパークが抑制されて酸化被膜が出来難いのではないでしょうか。

 何を言いたいのかといえば、要は、カラー2ページを費やしたこの解説は、市販の専門誌として、いささかお粗末だ、という苦言です。すなわち、この程度の解説はインターネットを検索すればいくらでも読めます。中にはとんでもないレベルの話も転がっていて、例えば当方の昔の掲示板ログで発言番号1462 「接点復活剤の研究」以降を読んでいただくと、その辺りを実感できます。

 また読者が一番心配するであろうグーゴーンの代品は、ホームセンターでシトラス系の洗剤がいくらでも売られているのですから、言及しても損はないはずです。ちなみに「goo」の意味は「ネバつくもの」ですから、「goo gone」は「ネバネバ、さらば」ぐらいの意味でしょう。
 もしも、出版社が日本での発売元だから制約がある……などというのなら言語道断です。

 折から、朝日新聞の夕刊で連載されていた「雑誌はどこへ」というシリーズは、8月29日が最終回でした。この最終回での、雑誌の売り上げが落ちてきている理由は?という問いに対して、月刊誌「いきいき」の編集長片寄斗史子という方が「雑誌の側の言葉の力、現実的に役立つ力が落ちてきている‥‥」と答えておられます。

かつてメディアの人たちには上からものを言う感じや、自分たちだけが知っている情報を読者に知らせるというある種の特権意識があった。‥‥インターネットを通じて情報の平等化、無償化ということが進み‥‥雑誌に求められているのは、単に情報を提供することではなくて‥‥自分自身の問題として引き寄せて、『自分ならどうするか』と問いかけていくことだ‥‥

とは、まさにこのクリーニングカーの解説で欠けているところです。

 使用前には「8Vになってようやく僅かな軋み音と共に、ゆっくりと走行を始める」という状態が、僅か1.4×0.9mのエンドレスに30分100周も手を掛けた結果として、「驚いたことに5Vから走行し始めた。‥‥明らかにレールからの集電状態は劇的に改善されている」という評価を、眉に唾することなく読んだ方はおられるのでしょうか。

‥‥ちょっと今回は過激な言葉になってしまいました。我々の趣味における雑誌の行く末については、またいずれ。【レールクリーニングカーの製品写真はセンターライン・プロダクツ社のサイトから転載させていただきました】

【追記】ゴムバンドの予備をetrain hobbiesで販売する、とエリエイの「モデラーな日々」が伝えています。まずは良かった。2009-10-20

【追記2】グーゴーンを通信販売しているサイトを発見しました。シール剥がし用とのことです。1,680円はチト高いでしょうか。上に示した商品写真を、ここのものに差し替えました。2010-10-04

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コメント

お早うございます:
>かつてメディアの人たちは上からものを言う感じや、>自分たちだけが知っている情報を読者に知らせる
>というある種の特権意識があった

「かつて」ではなく、今もそうでしょう。日本のマスメディアを見ていると、「皇帝の新しい衣装」という童話を思い出します。

投稿: eltonjohn | 2008/08/31 10:14

 雑誌の編集に携わっている人たちが余りにも不勉強であるのは、昔から感じています。しかし、一般大衆に対しては威圧的です。またそれを読みきれず、迎合する読者にも責任があります。
 雑誌に掲載されることが名誉であると思わされていないでしょうか。昔よく見た言い回しに、「〇〇〇の貴重な紙面を拙稿でけがすことをお許しください。」なんてのがありました。これでは主客転倒です。
 優れた原稿によって、雑誌の価値は上がるはずです。雑誌社は、そのような優れた原稿を求めて、探し歩かねばなりません。そのツテの多い雑誌社こそ、能力のある雑誌社です。
 編集部の書いた記事が多い雑誌は、それだけで存在価値を自己否定しているのではないでしょうか。

投稿: dda40x | 2008/09/01 22:20

30数年前、クラブの交流会に参加して驚いたのは、雑誌に登場しない秀作や、斬新な技法にたくさんお目に掛かったことでした。今は合同運転会に雑誌社が取材に来ているとはいうものの……。

投稿: ワークスK | 2008/09/01 23:41

ワークスKさん:

私も思うところがあって自分のblogに記事を載せておきました。ご笑覧ください。

>>All Aboard!

投稿: northerns484 | 2008/09/04 02:31

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