原信太郎 鉄道模型のすべて
A pictorial of Mr. Hara, Nobutaro's Shangri-La Railway collection, and his museum in Yokohama, Japan
問題は、この本を、どうして購入してしまったか、ということです。
メモ帳を繰れば20日前の今月5日、天満橋の書店に置かれているのを発見したわけです。
しかし、値段が4,830円(税込)もして、自分の趣味には役に立ちそうもないし、既に新書版の「スーパー鉄道模型 我が生涯道楽」を持っていて、テキストは同じ様なことが書いてあり、実際のモデルも2年前のJAM大阪大会で拝見しているし‥‥というわけで、この時はそのまま棚に戻してしまいました。【画像の一部はクリックで拡大】
基本的に作品は、特注部品をふんだんに使い、それも想像を絶する構造のものが主体ですから、私自身の参考になることは、絶対にありえません。
一部に見える市販品でも独自の改造が施されていて、さらにメーカーとか発売年は記述がアヤフヤですから、これでもって模型の来歴研究を深めるなどということも期待できません。
極言すれば、買ったところで、ただ、ひたすら、著者の"道楽"に付き合わされるだけということなのです。
必要になったら古本市場に出回ってから入手するという私の常套手段もあります。
しかし、今日は誘惑に負けてしまったんですね。
理由はただ一つ、精緻を極めた工芸品の美麗な写真を手元に置きたい衝動に駆られたということです。
まあ中身について私がとやかく言えるものではありませんから、ここでは単にアメリカ型で掲載されている型式をリストアップしておきます。
まず、1/32、45mmゲージでは、SP GP-9(Wada Works)、GS-4(Aster)、UP Bigboy(Aster)、WM 3-truck Shay(Aster)、CB&Q Burlington Zephyr、RGS Galloping Goose
1/48、32mmゲージでは、PRR GG-1、Y-1、B-1、P-5a、DD-1、MP-54、T-1、GasElectric 5867?、NYC T-1b、T-2a、J3a Dreyfuss Hudson、MU 5160?、GN Z-1、Milwaukee Bi-Polar EP2、SN 1230?、PE 208?、CP Passenger Coach?
(「?」マーク付は、私がよく知らない型式です)
一番多いのは欧州型でしょうか。日本型のOゲージは32mmを採用しながら1/40と独特です。【1/40とした理由は、パンタグラフが外国仕様の架線に届かないから、と伺った記憶があります】なお、冒頭の横長写真がカバー、その下の縦長写真が化粧箱です。
ところで、ご子息の原丈人という方が著者の破天荒振りを披瀝されている対談が、コピーライターの糸井重里氏の「ほぼ日刊イトイ新聞」というサイトにありました。南アフリカへの出張に際して、古い機関車を撮影してくるように頼んでおきながら、「あるらしい」と連絡したら、直ぐに飛んで来た‥‥などというエピソードが読めます。
また本の冒頭に、「2011年には横浜に私の作品を展示する博物館が開館」とあり、これらのモデルの現物が拝める様になるとのことです。
【追記1】朝日新聞2008年12月20日朝刊b1面に原丈人(じょうじ)さんの特集が組まれていました。その中で信太郎氏の趣味についても言及があります。
なお、右は講談社α新書の「スーパー鉄道模型 わが生涯道楽(amazon.co.jp)」で、シャングリラ鉄道の真髄が語られています。この新書を当掲示板で話題としたことがありました。2008-12-20
【追記2】信太郎氏は、かつて「原慎佑」の御名前で雑誌に登場されていました。読みは「しんすけ」でしょうか(weblio辞典)。
ざっと拾うと、"鉄道ピクトリアル"誌に1961年7月号「イベリア半島ファン・トリップの記」。"鉄道ファン"誌では、1962年4月号「ケニヤの旅」、63年1月号「新春の香港・台北の旅から」、1968年2月号「ソビエトの鉄道散見1」、3月号「ソビエトの鉄道散見2」という記事があります。
"とれいん"誌は、75年9月号に「Oゲージコレクション・リベットのある電車たち」、76年4月号に「コレクターズサロン・戦前のメルクリンモデルから」、78年8月号「シャングリ・ラ鉄道への招待」、83年8月号に「れいるふぁんの原動力を探す-その4:ころがる!模型車両」が見つかります。
特に「リベット‥‥」は、参宮急行デ2200、新京阪デイ100(下写真)、阪和モヨ100、阪急900、名鉄850、東武デハ7、京浜デ51と多彩です。2010-09-20
なお、モデルの製作者は、1/40、32mmゲージの私鉄電車や1番ゲージ箱根登山チキ1が綱島廣光氏、或る列車が松本一氏であると、JORC関西が発行する「0番通信」2012年秋号に貫名英一氏が書かれています。2012-11-18
【追記3】UPの3ユニット・ガスタービン機のOゲージ・モデルを、なんと本物のスチームタービンで発電して動かすという話を掲示板に披露しておきました。とれいん誌の1993年3月号と、MR誌の同年8月号からです。2011-05-25
【追記4】鉄道模型趣味誌の1976年12月号に「シャングリラ鉄道の開通式」という記事を見つけました。その見開き2頁から、写真3枚を引用しておきます(一部改変)。同年10月10日に5インチ、3.5インチ併用線全長75mが開通し、50坪の屋内運転場には32㎜と45㎜の線路を敷設とあります。2011-10-09
【追記5】横浜駅近くに開館が予定されていた原氏の博物館が、正式に発表となっていました。三井不動産のサイトで2011年12月31日付、正式名称は「原鉄道模型博物館」、今年夏のオープンだそうです。2012-03-28
【追記6】報道(掲示板にまとめ)によれば、博物館の内覧会が6月20日にあり、開館は7月10日と発表されたとのことです。また、博物館のオフィシャルサイトも開設されました。2012-06-21
【追記7】原鉄道模型博物館の開館の様子が、"とれいん"誌2012年8月号のp110から4頁にわたって報じられました。その際に撮影したという展示の様子は、貫名英一氏のサイトで伝えられています。2012-07-20
【追記8】開館一周年記念イベントのチラシを入手しました。聞くところによれば、戦後にカツミ模型店などから発売された日本型Oゲージ車両のコレクションが大量に特別展示されるとのことです。2013-07-17
【追記9】氏の訃報に接し、JAM2006で一部を撮影したことを思い出しました。別記事をご覧ください。2014-07-08
【追記10】「世界鉄道博2016」がパシフィコ横浜において開催(7.16-9.11)され、氏のコレクションが展示、運転とのことです(読売新聞公式サイト)。展示は、博物館では非公開のHOゲージ1,000両で、「横浜仮装行列写真館」というサイトに、多分すべてが披露されていました(同サイト、アメリカ型に限ったYoutubeスライド・ショー)。運転はたくさんの方が動画をアップされています。
ただ、展示品は概ねトレインセット・レベル。中には“そういう意味”の珍品がありそうです。学芸員の問題ともいえますが、これが同コレクションの性向なのでしょう。2016-08-30
Hara Nobutaro's Shangri-La Railway 技術の極み 躍動美 誠文堂新光社 2008年刊行 シャングリ・ラ
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