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2008/08/21

レナハンズ・ロコモーティブ・レキシコン

Book Review of the "Lenahan's Locomotive Lexicon"

Lenahan2

 少し前のことですが、とれいん誌2008年5月号でカワイ・モデルの古いサウス・シェアー凸型電気機関車を取り上げた記事での話です。この中で波多野茂氏が「古い模型を探すうえでのバイブルであるLenahan's Locomotive Lexicon……」と書かれていたのです。
 実は、この「レナハン」という単語に見覚えがありました。

 早速探すと、同誌1979年12月号のパイプ・スモーキング欄です。
 ここに「眠れぬ夜に、今まで米国で発売されたHOの機関車をリスト・アップしたレナハン・ブックで、羊の代わりに蒸気機関車の数をかぞえてみた。なんと約360形式400タイプ、これに近年初めて模型化されたものを加えてみるとスケールものだけでおよそ450~500形式が発売されていることになる……」とあります。【画像はクリックで拡大】

 29年前は興味が無く、何のことかも見当が付きませんでしたが、今は違います。オマケに綴りまで示されているのですから、英語古書検索の決定版、ブックファインダー・コムで探し回ったことは言うまでもありません。ただ、あちらの古書店の不手際やら事故、あるいは2分冊となっていることの理解が遅れて、手元に揃ったのは3ヶ月後の8月になってからでした。
 表紙写真を見ていただくと、"THIRD EDITION"や"VOLUME I"、"VOLUME II"の文字が余りにも小さく、古本屋がリストに載せるときに見落とし易いことがお判りいただけると思います。

 ではまず、この本の白眉であるHO製品のリストから、UPのビッグボーイと、PRRの流線型デュプレックスの部分をお目にかけます。ブラスに混じって、バウザーのダイキャストやアサーンのプラスチックまで、蒸機から電機、ディーゼル機、ドゥードルバグや電車などの紹介がズラッーと掲載されています。

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 なお、このレナハンズ・レキシコンには、3つの版があるようです。第1版は1974年発行で、その拡張版(expanded version)の第2版が1976年ですが、後者が追補版なのか、第1版を含めた完全版なのかは分かりません。松本謙一氏が羊ならぬ機関車を数えたのはこの辺りの版です。
 そして集大成である第3版は2分冊となり、1985年です。これが今回、私が入手したものです。

 掲載されているモデルは、1920年から70年の50年間に製品化されたアメリカ型のHO機関車ということで、第1巻がメインライン各鉄道とUSRAタイプの蒸機、第2巻がロギング等とディーゼル機という振り分けですが、車種や材質で明確な区分けがあるわけでは無く、第2巻に第1巻の訂正があったりしますから、両方が揃わないと役に立たないのではないかと思います。次は2冊の目次で、第1巻、第2巻の順です。

Contents1
Contents2

 第2巻にある初期の動力装置の解説から、皆さんが興味を持ちそうなアサーンの4軸ディーゼルのところを転載しておきます。Brass_Solder氏のAthearn考古学でも取り上げられていたネタです。

Athearn1
Athearn2

 発行・著作者のJames Lenahan氏が、コロラド州Manitou Springsで経営していたLenahan's Trains Shopという模型店は、MR誌巻末のリストを繰ってみると、87年3月号まで存在しています。ただし、本書を宣伝する広告や紹介は、手持ちの雑誌には見あたりません。どうやって松本氏や波多野氏がこの本を知ったのでしょうか。

 なお、表紙の写真が曲者で、何が写っているのか、現物を眺めてもハッキリと判りません。スキャンした上で、明るさやコントラスト、カラーバランスを弄って、やっと次のレベルになりました。まず第1巻です。

Img851c_2

 次の第2巻の方は傾きも修正しています。

Img852c

 要は両方とも、著者のHOレイアウトAltoona & Monogahela RR.を走行するPRRのQ-2なのです。白いモヤモヤは機関車のはき出す煙を表現しようと綿を振るか、フィルム上で加工したものでしょう。シーナリーを作り込んで、工夫もしているのですけれど、一寸泥臭いという本の中身を象徴するような画になっています。

 ところでブラス・モデルを探求する本は、有名なブラウン・ブックをはじめ、簡便なLadd出版のチェックリスト・シリーズ、プレス・アイゼンバーンのアート・オブ・ブラス、ジアンザンティ伯爵のルミネ街の汽車等々、たくさんの種類があるものの、帯に短しタスキに長しというか、1冊で間に合うものはありません。先日紹介したブラス・モデル・トレインズ、プライス&データ・ブックがどんどん増補して完全になってくれればよいのですけれど、使いものになるまでには時間が掛かりそうですし、差し当たっては手当たり次第に皆、入手してしまうより外、無いようです。
 その中でこの本は、1970年以前を探求する上での必須本といえると思います。

全く偶然ですが、本日入手した"とれいん"誌9月号に、このレナハンズ・レキシコンとブラウン・ブックが紹介されていました。両書とも、全ての版の写真があります。レナハンの表紙は第1版と第2版が全く一緒の体裁で、題字の色が緑と赤とで異なるだけです。

Brass_books ネット上ではDaveAyers.comというコレクション紹介ページの1/3ほどのところに、これらの初版本だという写真がみつかりました。
 レナハンの方の表紙で真ん中にある写真は、PRRの6200号機、すなわちスチーム・タービンS-2です。これと寸分違わぬ絵画が、私の持っている第3版第2巻の裏表紙一面にカラーで載っていて、ニューヨーク行のThe Trailblazerを牽引してシカゴのUnion Stationを立ち、21番通りのダイヤモンドを通過中の姿とあります。

 その21st Street jct.は、次の航空写真のの場所で、ここをPC(ex-PRR), GM&O, IC, C&WI, GTW, SF, C&EI, EL, N&W, CB&Q, MIL, C&NW, SCL, WABが通るとあります。これは、裏表紙裏に掲載されているものです。レナハン氏操縦の軽飛行機で1970年のある朝に撮影なんだそうです。

Chicagoaerial2

 ちなみに他の番号は、SF reverse loop、CB&Q Wye、St. Charles Airline B&O, SOO, PC(NYC), MC, IC, C&NW、16th street jct. B&O, SOO, IC, C&W, SF, RI, PC(NYC), GTW, EL, C&EI, N&W, WAB, C&NW, MIL, CB&Q Grand Central Station、Dearborn Street Station、La Salle Street Station、Union Station yard throatという説明です。

Lenahan_books【追記】この本の広告を発見しました。ウォルサーズHOカタログの1987年版p672です。もっとも古くから所持している版なのに、ほんと、見えていませんね。
 Art of Brassの2冊も、Kumataからの出稿として掲載されています。多分、松本氏と波多野氏はこれをご覧になって発注されたのでしょう。情報源が少なかった時代という点を考慮しても、よくまあ、この厚さ、720頁もあるカタログの隅々まで目を凝らされたものです。2013-09-02

【追記】MR誌で発見しました。もちろんDVD版での検索です。
 書評は1975年8月号p18ですから第1版。1986年6月号p19はWalthers社の広告で第3版第1巻。1987年11月号p56は出版社のCustom Railway Supplyの広告で、その第1、2巻。以後飛び飛びですけれど1992年12月号まで、同出版とWalthers社の広告に掲載され続けます。まあ、興味があってツブサに眺めていれば、いずれは見つけられますかね。

 そして、同誌1977年11月号p76に、なんとレイアウトの写真を発見しました。分岐側がクロスしていくという、第1版の表紙となった線路配置を再現しています。すなわち、航空写真のですね。シャキッとしていて、こちらは手練れの撮影です。2014-07-09

Lenahan_layout3mr197711p76

PFM crown Tenshodo M. B. Austin LMB Gem Ruby AHM Penn Line Bowser Rivarossi Bigboy Big Boy Duplex T1 T-1 S1 S-1 Athearn F7 F-7

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