アトラス旧OゲージのF9モデル
dda40xさんのGiants of the Westで9月9日から5回にわたって言及されたアトラスのF9は、私も大好きな製品です。大昔の1972年発売とはいうものの廉価品として大量に出回ったらしくオークションなどでは今でも頻繁に出品されています。ただし同じプラスチック製品は、1990年頃にP&D Hobby ShopのF2/F3/F7/F9キットと、ついこの間には新アトラスOのF2/F3が出ていますから、殊更にお奨めできるシロモノではありません。【写真はクリックで拡大します】
この製品の魅力は、玩具っぽい臭いを丁寧に消すと、たちどころにスケールモデルに化けるという、HOの古いアサーン製品と同じところにあります。
実をいうと当方は、この旧アトラスのF9を全部で5両も保有しています。1両は製品のままのBN色で、4両はNPローウィ・スキームのA+B+B+A編成です。後者はシアトル在住の方がキットバッシュされたもので、約10年前に私の手元に渡ってきました。
以前に「旧アトラスOゲージの全貌」と題して紹介した中でこれらをお見せしなかったのは、NPの4重連の方はあちこち壊れているし、製品のままのBNスキームはカプラーをケーディー化できていなかったという理由です。正直な話、このBN色はNP 4重連の部品取り用という位置付けなのです。BNファンとしては、塗り分け高さが違うし、妻のゼブラ模様と側面の白帯がシルバーとなっていて、鉄道名と車番の書体が異なる、などと不満だらけです。
ただし、NPの修理を一向に開始できないので、今回はこれを機会に虫干しです。
右の写真を見ていただくと、このNPスキームの改造箇所が思いの外、多いことに気付かれるはずです。スカートのカプラー回り、ドアのテスリ、ウィンターライゼイション・ハッチ、リフト・リングなど、それから何と言ってもBユニットは贅沢にAユニット2車体を輪切りにして繋いでいるわけです。
左の写真では車輪がローフランジであることがお判りいただけると思いますが、これは製品そのままのBN機も一緒です。ボックスカーやオアカーの貨車が皆ハイフランジとなっているのとは異なります。ウエイトも燃料タンク内に積んであるようです。まあ、4両全てがモーター付ですから補重しなくてもソコソコの客車編成なら牽引力は大丈夫の様な気がします。
なお、切り妻部のカプラーをボディマウントにしようとすると、取付スペースがギリギリという問題があって、この編成はA-B、およびB-A間を台車マウントのドローバーとしています。B-B間のケーディー・カプラー取付は一寸無理があって、ポケットが台車に当たり気味ですから、連結面間が開いてしまうのには目をつぶって少しオーバーハングさせようと思っています。ケーディー社が連結妻専用として#806を用意しているのはこのためです。
その他修理が必要な箇所は、車体裾ステップと屋根上エアーホーンの折損、台車枠やブレーキ・シリンダーの脱落と、その気になれば"あっという間にできる"、とは思うものの、なぜか億劫です。客車の当てが付くまでこのまま箱入りということになりますか。
ところで実物のF9は、1954年から57年までに175両が製造されただけで、F3の1,801両や、F7の3,681両に較べれば微々たる数です。採用した鉄道はNPの外、UPやD&RGW 、ACL、Milw、L&N、AT&SFぐらいでした。それにもかかわらず当時のアトラス社が新規参入の目玉としたわけは、既にF3やF7はAll Nation製品が普及済みだったからでしょうか。
ノーザン・パシフィック鉄道はこのF9を、旅客用に6700番代でA+B+Cの3重連(AとCが運転台付Aユニット)、貨物用に7000番代でA+B+C+D(AとDがAユニット)の4重連と、全部で61両の新製を行いました。ということは、このモデルの7001編成A+B+C+Dは貨物用の車番ということになり、塗色もこのローウィ・スキームではないはずです。極東の私のところまで流れてきてしまった理由はこの辺りにあるのかもしれません。車体ナンバーのデカールを貼り替えるのはそれほど難しい作業ではないので、修理の時には弄ってみようかと思っています。Northern Pacific Railway Atlas O Model F9A Burlington Northern
【追記1】MR誌での製品紹介は、1972年7月号p18-21、Tony Cook氏のサイトにも解説があります。2014-01-16
【追記2】MR誌では1976年6月号p48-50にJohn Armstrong氏が、低心皿化とカプラー交換の記事を書いていて、この記事をネット上へ丸写しされた御仁が現われました。O scale forumです。
なお、この記事で紹介されたボルスターがソフトメタル製で販売されたことがあったものの、残念ながら入手できませんでした。自作での懸案は、心皿部の水平度をいかに出すかなのですけれど……。2017-05-03
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コメント
すばらしいコレクションを拝見いたしました。4重連の走行性能はいかがでしょう。負荷なしでは良いのですが、負荷がかかると各台車の前の車輪が浮き気味になりませんか?
貴記事中3番目の写真を拡大すると、センタ・ピンが随分高いところにあるのがわかります。それと不可解なのは、主台枠にボルスタ取り付け用の凹みがあることなのです。より高級な動力装置への取替えが事前に検討されていたのではないかと思う訳です。
それと推進軸の端についているダイカスト部品の形状が気になりました。何をしようとしていたのだろうかと。
また、動力台車を開けてみると本来あるべきボルスタ位置が空洞で、いくらでも改造ができるのです。MRの記事で改造法を述べたものがあリ、私も参考にしました。
動輪はロー・フランジとは言え、厚い#175あたりの物を使っています。これを削り落とす算段をしているうちにいやになって捨ててしまったというわけです。6台持っていた事は、覚えています。
投稿: dda40x | 2008/09/21 13:35
dda40xさん、コメントをありがとうございます。動力装置に問題があるということは、このまま4重連だけで楽しむ方が幸せと言うことですね (^_-) 一度通電してみます。
投稿: ワークスK | 2008/09/21 14:47