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2008/09/12

クッション・アンダーフレームとは

What is the cushion underframe of boxcars?

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 9月8日に届いたMR誌の10月号に注目すべき製品が紹介されていました。ケーディー社の50フィートPS-1ボックスカーです。
 このモデルが、なんと"working cushion underframe"、可動するクッション・アンダーフレームを備えているというのです。とうとうHOもここまで来たか、という思いですね。【画像はクリックで拡大します】

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 ご存じの様にクッション・アンダーフレームは、カプラーが車端から大きく飛び出していて視覚的にも目立つので、近代的なアメリカ型を範疇とされている方は必ず保有されているはずの貨車です。これが動くというのですからワクワクしますよね。
 ただ、テキストには"a cushion underframe protects only its own carbody"、すなわち、それが「自身の車体だけを保護する」というので、あれっ?です。

 最後に「定期購読者はデモンストレーション・ビデオを見よ」とあって、早速同誌のサイトから「Subscriber Bonus Video」に入ると、YouTubeの様な動画でカプラーを指で動かす様子を映していました。
 すなわち、車体全長を貫く中梁の中に、スライドする長い梁があり、その両端にカプラーが付いている。また梁はスプリングで中央に寄せられるという構造です。

 なるほど、これならクッションの装備された車両だけが緩衝されて、前後の車両は関係ないという仕組みが理解できます。改めて説明文を読めば、"as the rigid length of the sliding sill will transfer any hard impact straight through to the next car in line."の意味が何となく判る様な気がします。

 ではっ、とケーディー社のサイトを覗いたところ、今年11月から冬という予告で"Functioning Cushion Underframe"付のボックスカーがリリースされています。ここで"Functioning"は「作動する」という意味ですね。写真は予約注文ページにあった1969年製RI 50' Boxcar, 10' doorです。MR誌が紹介したGM&Oの車は見つかりませんでした。

 構造が判り易そうなイラストはないか、と実物の技術者向け解説書であるCar & Locomotive Cyclopediaを繰り、1966年版からMidland-Ross社National Castings Divisionの広告を転載しておきます。同書には他にWaugh Equipment社のカブース用も出ています。

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 この画を見れば前述の説明がお判りいただけると思います。辞書を引くと"gliding"はグライダーのglideで、滑る様に動くという意味です。原理的には以前に紹介したドイツ貨車の竹ノ子バネ付ネジ式連結器と同じような機構といえます。

 なお、このタイプをスライディング・シル・クッションSliding Sill Cushion、我々が一般にイメージする車端で単独に作用するものはエンド・オブ・カー・クッションEnd-of-Car Cushionと呼ぶようです。そして、衝撃を吸収するダンパーに油圧Hydraulic、ガスGas、摩擦Frictionという3つの方式があります。

 ところで、このところのMR誌はサイトに記事を載せてくれますので、英語に疎い私にはテキスト部分をコピ&ペーストして自動翻訳に掛けられるという大きなメリットがあるものの、彼の地の読者には余り有り難味がなかったはずです。けれど、この動画は価値がありました。他にボブ・ハイデンBob Hayden氏のHOn2・1/2レイアウトのプランとか、一部ですが独自の情報も出ています。
 雑誌の凋落が止まらない中でMR誌も必死に生き残りの道を模索しているのですね。

【追記1】Car & Locomotive Cyclopediaの最新版である1997年版に解説があって、スライディング・シル・クッションの最初は1927年に登場したDuryea systemで、1935年までに13,600両に装備された。その後1954年に同じコンセプトでSPがStanford Reseach Instituteに開発させて再び採用し出し、その直後にHalliburton社のThe FreightMaster Divisionがエンド・オブ・カー・クッション(EOCC)のシステムを開発した……という様なことが書かれている様ですが、私の英語力ではこれ以上の詳細が理解不能です。

 まったくの当て推量ですが‥‥1920年代の技術では長大編成の車端衝撃を満足に緩衝できなかったので、自車の積み荷を保護するだけの小さな緩衝能力でよいスライディング・シル・システムが考え出された。それが1950年代に復活し、切実な要求のあるカブースやオート・パーツ・ボックスカーに採用された。ただし、同じ頃には長大編成で十分な緩衝力を発揮できるEOCCシステムが実用化され、現在はこちらが主流となっている‥‥ぐらいのストーリーでしょうか。2008-09-13

【追記2】蒸気機関車時代の貨車を探求するサイトのSteam Era Freight Carsに"Duryea"の資料が登場しました。1940 Car Builders' Cyclopediaから50フィート70トン積フラットカーの図面と、装備車両の一覧です。図面に拠れば、社名はO. C. Duryea system Corporationで、呼び名はDuryea Long-Travel Cushion Underframeです。2010-04-29

【追記3】このDuryea装備をモデル化していると思われるB&Oのワゴントップ・ボックスカーを「Oゲージの玉手箱」にアップしました。ただし、動作はしません。
 グーグルを検索したら“Duryea”で地名をヒットして、「デュリエ」とカタカナが振ってありました。フランス系でしょうか。2011-07-14

【追記4】Steam Era Freight Carsのサイトが消滅してしまった【その後復活】ので、Car Builders' Cyclopedia 1940年版p380-387に出ている写真の一部と、カブース用の図面を引用しておきます。緩衝はコイルバネのみ、減衰は摩擦のみです。2013-01-01

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 USパテントは、US1938754(出願1931年7月8日)US1974017(出願1928年10月29日)

【追記5】MR誌1967年8月号にOゲージでスライディング・シルを再現する記事を見つけました。原理を説明したポンチ画もありました。この減衰は油圧式です。アメリカ型鉄道模型大辞典の該当項目もご覧ください。2011-12-27

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コメント

ウーム、これは緩衝装置になるのでしょうか。単なるスプリングで中心に落ち着くようにしてあるだけなら、吸収したエネルギは瞬時に飛び出してきます。スプリング式のボールペンを机の上で弾ませるような感じにはなりませんか。
 一本の棒だと編成の先頭の貨車がこれだとして、連結時に機関車を勢いよく繋げると、後ろまで衝撃が行ってしまいますね。

 なんと無く怪しい感じですね。グライドする部分は二つにわけ、粘りけのあるグリスを塗ると良いかもしれません。

投稿: dda40x | 2008/09/13 15:49

 もちろん実物には、スライディング・シルを車体の真ん中に復元するバネと並列に、ダンパーであるハイドロリック・クッションが仕込んでありますから、自車体だけは衝撃が緩和されることになります。これに対して、モデルではダンピング作用のあるデバイスなぞ設けられませんから、原理的には前後動が減衰し難く、摩擦に期待するしかないはずです。
 そして当然、実物でもモデルでも、編成全体としてはスライディング・シル・クッションに(極言すれば)何の意味も無いことは自明です。

投稿: ワークスK | 2008/09/13 23:56

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