京阪500形更新車の自作モデル
さて車体構成は当時定番の、妻と側がペーパーで、屋根と床板が木です。
側窓は2段の段差を付け、正面窓は半月形のスペーサーを挟んで平面に仕上げています。この辺り1/80では当時、画期的だったと思います。窓保護棒は塗装後に0.3mm洋白線を瞬間接着剤で取り付けました。白化を避けるためにしばらく扇風機を当てた記憶があります。
妻のテールランプは2mmパイプと0.5×1mmの帯材をハンダ付して、先を赤く塗った黄銅線で車体へ差し込み、アンチクライマーは厚紙から切り出しました。
雨樋は帯材の単なる貼付ではなくて、側板と屋根の間に隙間を設けて帯材を差し込み、側面には木口を見せています。この雨樋のスタイルをファンは、1700や1800、1810形を含めて、雨樋を「妻面で"下げた"」と言いますが、実は「側部で"上げた"」とする方が正解です。実物は側部の雨樋を小屋根R開始点の少し上に貼り付けてあって、雨樋の張り出しが車両限界を超えないための設計です。ただ車体幅の狭い500では目立たないので、結局このモデルでは屋根板と側板を削り込むのを止めています。
屋根上ではパンタグラフが自作で、TMS「電車工作集」の記事を参考にしています。既に10個ほど作っていましたので手慣れています。フューズボックスと避雷器は木、ベンチレーターは1mm黄銅板から切り出しました。
床下も、抵抗器とエアータンク以外、木と紙から自作です。ご覧いただきたいのは機器が全て床板から浮いているところで、全て1mmの黄銅線を貫通させています。前作で接着だけでポロポロ取れた経験から思い付きました。黄銅線には抜けない様にエポキシ接着剤を塗っています。床板上面に飛び出した部分をニッパーで切ってツライチに仕上げた跡を見てください。なお、コンプレッサーの横の小さなパーツは、船用の物で、ブレーキ装置に擬しています。台車はもちろん小高製京阪16号用のスプラッシャーを切り取ったものです。
塗料はマッハの調色塗料で、窓枠はハンブロールのシルバーを筆塗りです。車番と車紋はモデル8製だったと思います。
なお、拙いモデルだけでは読者の皆さんも消化不良でしょうから、口直しに実物の写真をお見せしておきます。
先ず、カラーは友人のO氏にいただいたもので、交野線を走るMc2-T-M-Mc1の枚方市行、廃車直前の姿です。残念ながらプリントが絹目です。
モノクロの2枚は、共に車番が最初の1954年(昭和29年)に登場したグループなので、竣工直後と思われます。窓保護棒がありません。車体のカラーはグリーンの濃淡ではなくて、上がクリーム・イエロー、下がライト・オレンジで、サッシは木製でしょうか。
実物の解説はウィキペディアに僅かにあります。私が関西へ就職した1975年には既に営業には使われなくなった1編成が寝屋川車庫に留め置かれていただけでした。まあ当時は、この500形をスタートに、全て模型化してやろうと思っていたのですけれど……。
コンパクト・カメラ(Canon PowerShot G9)でのモデル撮影にはだいぶ慣れてきましたが、ライティングとピント合わせがなかなか巧くいきません。HOゲージ 16.5mmゲージ 正面2枚窓 京阪500型
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コメント
おおー、やっぱり作っておられたんですね。小高の台車で500形は京阪模鉄ならよく考えることです。新500形の図面はどこにありましたでしょうか。写真の印象からだけで前面だけ窓を抜いたことがあるんですが、全然500形になりませんでした。床下機器は大変参考になります。ぜひ模型の実物を拝見したいところです。
投稿: ヤマ | 2008/11/01 09:29
ヤマさん、コメントありがとうございます。この500で使った図面は、単なる竣工図だったと思います。それと写真から割り出したのですが、2枚窓は正面の感じは難しいですね。こうして眺めると、アラばかりが目に付きます。
投稿: ワークスK | 2008/11/02 09:16
RMモデルズで連載されている片野正巳さんの「吊掛讃歌」ですが、2009年1月号は前号に引き続き京阪で、なんと1500形(500形)でした。ポールからパンタ、貫通化、また更新車まで、モデラー向けのカラーイラストがズラッと並んでいます。ということは次号は1550(600)、1580(700)形でしょうか。なお、更新車で窓の隅にRが付いたのはアルミサッシ化の途中からのはずです。単行本化の折りには是非最晩年の姿もお願いしたいですね。
ところで、なぜ京阪はオーバーハングが大きめなのか、すなわち、台車ボギーセンター間が短いのか、という理由は、曲線ホームでの離隔ではないかと思います。内カーブでは車体真ん中が擦れ、外カーブでは両端が摺れますから、両方に配慮すればこうなるのでしょうか。そのため、ボギー中心に置くパンタの位置も一種独特の雰囲気です。
また、床面高さが他社に較べて高い理由は、制御装置に背の高いDK=TDKの電動カム軸式を採用したからという話があります。
投稿: ワークスK | 2008/12/02 00:17