Oゲージのメルヘン鉄道はイッツ・ミラクル
77歳から始めたので「銀河鉄道77」と名付け、かつては農機具の設計に関わっていたとのことで、お見せいただいたモデルの図面自体も素晴らしい仕上がりです。
素材は洋銀や黄銅を銀ロー、ハンダ、ネジ止めで組み立て、ロッド式のクランク動輪は市販のスポーク付車輪から改造。モーターは中古の音響機器から転用した直流12ボルトとのことでした。
線路はエンドレスが内外2つあって、それぞれ2箇所の交換設備を設けて2列車ずつ、内側が路面電車で、外側が客車を牽く蒸機と貨車を牽引する電機が走っています。最初は手動運転だったけれど、観客と会話をしたいのでタイマーを使った自動運転を導入したといいます。制御はオン・オフのみで、速度コントロールは無しです。
線路の下には6mm程のベニヤをベースとして敷いて、机が揃わない場所でも広げられる。このベースはヒンジで折り畳める構造で、ワゴン車のキャリアーに4人掛かりで積み込むのだそうです。
レールは3線式が日本では市販されていなかったので、黄銅フラットバーで自作。ポイントは、リード部を含むX形の部分が一体で動く独特のもので、自動運転に合わせてスプリング式です。
この写真では分かり難いかと思いますが、走行用レールと集電用中央レールの高さに段差を設けて、コレクターのショートを考慮しています。また、電機のパンタグラフは枠と舟の平衡リンクを付けたりと、このモデルが大人の高度な趣味であることを如実に物語っています。
タンク機関車の屋根を開けると圧力計やらスロットルが作り込まれています。これらの配置も理に叶っているようです。
テンダー機は最初に作ったもので、モーターの関係から足が速く、他の列車と同調しないので飾りになっている。ネーミングはモチーフのネルソンをもじったものとのことでした。レタリングも素晴らしいですね。
全体としてGゲージのLGBを一回り小さくした感じ、といった風情でしょうか。
ところで我々アメリカ型をやっている者は、彼の地では3線式のOゲージがライオネル、MTH、K-Line、アトラスと目白押しで、車両からレールまで容易に揃ってしまうことを知っていますから、少しお金が掛けて製品を利用した方が遥かに楽だし、確実なものが出来る。維持管理や同好者的な広がりの面でも既製品の利用が便利ではないか、などと考えがちです。
しかし、知識や蓄えを持つからといって、これだけのものを必ず創造できる訳ではなし、情報や情熱の多寡、その結果としての作品との間には一筋縄ではいかない関係がありますね。
私としては、この素晴らしい作品が多くの方の目に触れ、出来映え相応に大活躍してくれることを願っています。
【追記】翌年にはドレスではなくて、自動で往復運転をするシステムに変わっていました。「メルヘン鉄道は路面電車でミラクル再び」という記事をご覧ください。2009-09-23
関西合運2008 倉石栄夫 日本トロリーモデルクラブ 3-rail O gauge O scale toy train Lionel Atlas O full scrach build第17回、2008鉄道模型大集合 in Osaka 大阪府交野市私市
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