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2008/10/29

京阪インタアーバン時代への憧れ

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 RMモデルズで人気沸騰の、片野正巳さんがイラストで綴る「吊掛讃歌」は、この12月号に4頁、京阪電車が登場です。
 1910年(明治43年)に開通したときには路面電車スタイルだった1形を、7年ほど経って高床式に改造した100形や、1923年(大正13年)に連結運転を開始した300形(旧1000)などといった面々です。
 この1920年代、以後は、1926年(昭和1年)の500形(旧1500)から、1927年の600形(旧1550)、1928年の700形(旧1580)と、リベット付の鋼製車が続き、さらに1928年には貴賓車16号も登場という賑やかさでした。
 京阪という会社にとってこの頃は、野江・守口間の複々線や新京阪線を着工し、和歌山へ電力事業を拡張したりと、1929年10月24日に勃発する世界大恐慌まで、束の間の"我が世の春"だったと言えます。

 一方アメリカでは、1907年に大衆車の象徴となったT型フォードが登場してから、電気鉄軌道業は1910年代には頭打ちとなり、以後衰退の一途を辿ることとなりますが、その車両や軌道、信号まで一切合切の完成された技術を、日本は輸入したわけです。
 その中で京阪の600や700の幕板に施したレタリングは、アメリカン・インタアーバンそのものと言えます。そういう先入観もあって、1920年代のダークグリーンをまとった車両達には、重厚さというか、ゆとり、気品、贅沢さといった趣があるように私は感じています。1938年に登場した流線型1000形や戦後の1700形では決して味わえない雰囲気です。

Keihan79 そんなわけでモデル化する資料を考えていくと、100、200、300は片野さんの図があるとして、600と700形については、1980年に開業70年を記念して京阪自体が出版した「ミニ・ヒストリー 京阪電車・車両70年」という図面集があります。今は入手が困難ですが、2年後の2010年は100年目ですから、ファン向けに同じ様なものを出版してくれると期待できます。
 実を言うと、70年のこの本に多少関わらせていただいていますので、詳細図面の600形がS氏で、700形がM氏の手になることをバラしておきます。
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 貴賓車16号は、ご存じの様に機芸出版社の「日本の車両スタイルブック」に中尾豊氏のものがあります。また、レールロード刊の「京阪車両竣工図集(戦前編)」も役に立つはずです。

 モデルの設定で悩むのは、フェンダーを路面電車風のロックフェンダー式にするか、インタアーバン型のパイロット式にするか。また屋根上はポールかパンタグラフかといった辺りでしょうか。
 ざっとパーツを考えると、1/80なら床下機器にエコーモデルの旧型私鉄用があるし、台車も贅沢を言わなければ似たものが揃います。1/87は、アメリカに期待したいところですが、残念ながら低調です。1/48ではQ Car Companyというトロリー専門のメーカーから豊富に出ていて、1/45に流用出来ないことはないと思います。

 実はムサシノモデルが1/80の600形や16号を発売した頃に、種々思いを巡らしたことがあったものの、私はここまで。頭の中だけで終わってしまいました。

Img913_2  ところで、この記事のトップに掲げた写真は、何か変なのですが、気が付かれたでしょうか。そうです。車体は600(1550)形なのに、車番が1584で、レタリングも700(1580)形のそれになっています。プリントの裏には「車番はネガに書き込んである」と注釈があるので、700の新車検討用でしょうか。
 最後にお示しする写真2葉は16号の内外です。どなたかダークグリーンの世界を再現されませんかねえ。
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 写真は全てクリックで拡大します。もし、一部切れる場合は、拡大した画像を保存していただけば、全画面を見ることが出来る様になります。「京阪初代700形の勇姿」も併せてご覧ください。京阪600型 京阪700型 京阪16号

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