アサーン55'ACFカバードホッパー(2)
When Athearn released ACF covered hoppers in 1968, why did they produce 4-bays not 3-bays? It is a mystery.
アサーンの「55フィートACFカバードホッパー」は、もちろん今でも販売中です。ただし、製品のラインは完成品の"RTR=Ready to Roll"ではなくて、伝統的な"Quality Kit"のままです。一般向けでは他社に太刀打ちできないのだと思います。
さてここで、私には一つ疑問があります。それはアサーンが売り出した1968年当時、センターフローの製品化に当たって、どうして3ベイではなくて、4ベイとしたかという点です。この4ベイは5250cu.ft.という大容量で、化学会社がプラスチックペレット用などに保有したものが主ですから、塗装バリエーションや両数が少ないのです。これに対し3ベイは、中容量の4600と4650cu.ftという.穀物用ですから鉄道会社をはじめ農業組合や飼料会社など千差万別な上に両数も膨大です。BNでいえば、4ベイはたった200両ですが、3ベイは20倍以上の4,300両だったのです。
それにもかかわらずアサーンはおろか、Oゲージのウィーバー製品も、またブラスのUS Hobbies/Toby製品も同じ4ベイです。加えて、HOで協同ライト商会製(ページの2/3辺り)ブラスも4ベイです。
HO scale plastic Athearn, 後述のアサーン解説書p95には、車体四隅のステップが最初のロットではボディと一体で、以後は下回りと一体に変更されたとある。このスキームはアサーンが創業50周年を記念して"Special Edition"と銘打ち、1995年11月から発売したシリーズの一つ。
HO scale brass Kyodo Light Supply Co., 丸形ハッチはドロップで、エアータンクには配管が施されているなど力が入っている。アサーン製品よりも僅かに短いこともあって、そのコピーでは無いと思われる。このモデルは、1964年製CF 5250デモンストレーターのレタリングが車番を含めて忠実に再現されている。台車は、筆者の手で10.5mm車輪に取り換えたアサーン製を履かせた。(追記4を参照)
O scale plastic Weaver, ボディ構成などアサーンのデッドコピーといえる製品。リポーティングマークのCPWXはCanadian Wheat Board。保有貨車の全てがグレイン用カナディアン・シリンドリカルのはずで、たぶんこれはフェイク。
O scale brass US Hobbies/Toby probably in 1971 SPのこのスキームが正しいかどうかは不明。
4ベイ製品は他に、現物を確認できていないものの、HOではAHM、バックマン、タイコ、ライフライクとノースイースタン、Nではアトラスという人気振りです。これに対して3ベイは1987年のフロントレンジ製品が最初という有様です。
さらに不思議なことは、全てハンドブレーキ・ハンドルが下部で、かつ、側面上部に1本のビートのあるスタイルということです。すなわちこれらは、1966年から1971年までの同じ設計です。
ということは、4ベイだけ模型化できる図面や資料が公表されたのではないか、という推理が成り立ちます。
しかし、実物情報入手で定番のCar & Locomotive Cyclopediaは、手持ちの1966年版と74年版に思う様な詳細図面が載っていません。
では模型雑誌だろうかと、カームバック社のインディックスを検索してみても、こちらもそれらしい記事をヒットしません。(この実物写真はMRG誌1987年12月号からの転載です)
アサーン製品が1968年に発売されたことの出典は、コレクターのバイブルであるStandard Guide to Athearn Model Trainsで、またMR誌を探すと68年10月号に次の広告が出ています。その2ヶ月前の8月号にはJMC Internationalという問屋の広告に実物写真入りでプレリリースがあります。
すなわち、アサーンはちゃんと当時の最新型を製品化したということになります。
もちろん、直接ACF社から資料をもらった可能性はあります。ただし日本製のブラス製品はアサーンより細かくできているし、本当に不思議なのです。
ここで私の探索はタネが尽きました。1966年から68年の間に何かあるはずです。この辺り、どなたか資料をお持ちではないでしょうか。
【追記1】「一般向けでは他社に太刀打ちできない」などとクサした途端に、1月20日付でアサーンからReady-to-Rollのアナウンスがありました。17.98ドルだそうです。迂闊なことは書けません。
「new tooling」の文字がありませんが、排出口がニューマチック型ではなくて重力式になっていますから、ことによると……。なお、旧製品には、側面Rの出っ張りが不足という不満もあります。2009-01-22
【追記2】ウォルサーズ・カタログ1975年HO版にAmbroid社製品を発見しました。これは4ベイでもブレーキハンドルが上付の初期型、おまけにGNスキームです。アンブロイドといえば木製キットで、このとき既にアサーン製品が2.98ドルで手に入ったのですから、売れたのか否か大いに疑問ではあります。ただ、ウォークウエイが薄く出来ていて、どういう作りなのか、若干の興味はあります。また、同じ冊子のノースイースタン・モデルのページに同じ写真があって、こちらは5.95ドルです。2009-02-14
Ambroidファンによれば,1966年の発売とのこと.2023-11-17
【追記5】AHMとBachmannも4ベイ、しかも手ブレーキハンドルがハイマウントの初期型です。側面のモールド感はアサーンによく似ています。AHMは1969年発売ですからアサーンの翌年ですね。2020-05-20
【追記3】RMC誌とウォルサーズHOカタログからの情報。2019-01-08
RMC誌1968年7月号p3
Walthers HO Catalog 1971 summer p26
【追記4】協同ライト商会製ブラスの輸出先が判明しました。なんとウォルサーズ社です。eBayへ出品があり、次は箱ラベル。MR誌では1967年3月号p3に19.95ドルと広告していて、アサーンより1年早いことになります。2019-06-16
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