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2009/04/14

カブリツキ鉄橋巡り-近鉄京都線

Steel bridge fanning by semi-cab-ride, part 4: Kintetsu Kyoto-Line from Mukaijima station to Kyoto station

 今回は近鉄京都線の向島(むかいじま)から京都まで乗車します。
 まず、前回の澱川橋梁に続く、例のカーブしたデッキガーダーです。駅間でいうと向島・桃山御陵前(ももやまごりょうまえ)間です。ヤマさんの写真は奈良行列車から南を見たものですが、これは京都行運転台から北を向いたものです。
 標識は45km/h制限のところをさらに低い35km/hで徐行していました。確かに、大手私鉄の本線途中で、この急曲線は異様です。阪急の御影付近にあるSカーブよりキツい気がします。【写真はクリックで拡大します】

Aimg_4422

 ところで枕木は全て合成枕木と呼ばれるものです。雨や霜で滑りやすいと保線屋が泣いていましたが、昔の栗材などは全く見なくなりました。

Aimg_4308 Aimg_4312 下から見上げた写真は別の日に撮影しました。橋桁と枕木は全くの直線に並んでいますから、この角度ではカーブであることが分かりません。
 なお、この前後のコンクリート製高架橋も当時の貴重な構造物とのことです。

 国鉄奈良線【←関西鉄道←奈良鉄道】と近鉄京都線の関係はややこしいので、次の図を見てください。

Img035

 前回言及した「京都滋賀 鉄道の歴史」のp314にあるものです。左が1921年(T10)9月1日~28年(S3)9月2日、右が1921年(T10)以前という説明です。
 1921年(T10)まで東海道本線が南へ大きく迂回していたと初めて知る方は驚かれることでしょう。ウィキペディアの「東山・新逢坂山トンネル」の項をご覧ください。これらの激変の中で京阪の路線だけはこの区間、このまま今も地上を走っているという事実にも唖然とさせられます。

Kintetsum2 左はGoogle航空写真の縦横比を1/2として、Sカーブを強調してみました。国鉄に対抗して京都と奈良を高速で結ぶことを社是とした奈良電にとっては痛恨の線形で、この理由は「民営鉄道の歴史がある景観Ⅰ」(佐藤博之・浅香勝輔著, 古今書院1986年刊)あたりに書いてあったはずですが、今は手元になく中身も覚えていません。

Img_4425a  次は丹波橋京都方の京阪が越える跨線橋です。これも防音囲いがされているようです。
 近鉄丹波橋駅のホームからは手前の道路橋に邪魔されて全体像を眺めることが不可能です。Google航空写真

 丹波橋・伏見間の疎水橋梁は、キャブライドでは何の変哲もない写真しか得られませんが、珍しいワーレンの上路トラスです。国道24号線からも見えて、Google航空写真のストリートビューでも直く間近から眺められます。橋のデータが土木学会の「歴史的鋼橋集覧」にあります。

Img_4908a

Img_4929a

 この橋の下に見えるレンガの橋台は、たぶん大正10年以前の旧国鉄奈良線でしょう。墨染インクラインを解説したサイトに拠れば、渡る川は「濠川」という名です。キャブライドの写真で前方は伏見駅です。

Img_4931a  なお、この丹波橋方に少し長い跨道橋(左写真)があり鋼製で面白そうなものの、残念ながら既に厳重な防音覆いが施されていました。

 次は伏見・竹田間の竹田街道跨道橋です。リベットだらけで昭和初期の臭いが染みついています。全くの市街地にもかかわらず幸い未だ有道床化されていませんから、こういうものに目のない方は急がれた方がよいと思います。Google航空写真でストリートビューをご覧ください。

Aimg_4428

 この下を京都市電が走っていたようです。

Photo

 京都駅手前の八条油小路交差点を一気に跨ぐ跨道橋は、きれいな曲線でバラスト付です。桁が埋まった感じは正に都会的といえ、レイアウトの処理として参考になります。

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Aimg_4855

 この位置は次のGoogle航空写真で、新幹線電車の新大阪寄先頭車の真下です。

Kintetsum3

 オマケはその先にある、全体がカーブした両渡り線(シーサス)です。模型では到底マネができそうにありません。よく見ると、クロスの左側だけ可動轍叉になっています。

Aimg_4443

 さて、こうしてJR奈良線、京阪線とキャブライドをしてみると、京都付近のほんの一部だけですが、思っていた以上に鉄橋が曲線に掛かっているものです。新しく建設された線区だと、コンクリート製が増えて、少し違った様相となるのでしょう。
 モデル・レイアウトは曲線の割合が実物よりも遥かに多いのですから、本来だったらこれらを参考として、たくさん作られて然るべきということになるのですけれど、現実にはそうでもないようにも思います。
 理由の一つは、実物の存在が分かり難いことでしょうか。半径が大きいので、線路際からやネットの航空写真でもなかなか判りません。だったらキャブライドこそ実例を参考に出来る唯一の方法といったらオーバーでしょうか。
 もう一つの理由は、モデルのカーブが遥かに小さいことです。実物をそのままコピーするわけにはいかず、車両でいったらショーティですね。それでツジツマが合えばよいものの破綻する場合も多いはずです。
 このあたり、レイアウト・ビルダーの皆さんの実例研究と創意工夫を期待したいと思います。

鉄橋関係については記事と資料リンク先のリストもご参照ください。

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コメント

橋梁めぐりはシリーズになってしまいましたね。いろんな表情があって面白いです。
阪急御影のカーブはそんなにきつくなかったと思います。今は改良されて90キロくらいで通過するみたいです。
曲線橋梁で大事なところを忘れていました。ワークスKさんも在籍されていた叡電の貴船口です。古い写真を自分のところへ掲載しますが、ここも今は樹脂枕木になっているんでしょうか。

投稿: ヤマ | 2009/04/14 19:08

鉄橋も結構面白いので、専らこれを趣味にしている方もおられると思います。キャブライドだけで済めば楽なのですけれど、調べ始めるとキリがないので……

投稿: ワークスK | 2009/04/15 00:07

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