リベットだらけの流線形電関はGG-1?
Pennsylvania Railroad's P-5a electric locomotive Modefied version, Sunset Models 3rd Rail O gauge, a brass model, made in China 2000
先日、ペンシルベニア鉄道の架線高さを話題としましたので、シンボル的存在であるGG-1のモデルをご覧に入れようと思ったのですが、手持ちはレタリングが無かったり、パンタが壊れていたりと、写真を撮れる状態ではありません。それで、こいつを引っ張り出してきました。同鉄道のP-5a、軸配置は2C2、蒸機で言ったらハドソンです。【画像はクリックで拡大します】
この機関車を初めて見る方は、少し驚かれるはずです。そう、GG-1に固有のスタイルだと思われていた、横から見ても、前から見ても凸形という独特の形状が、この機関車でも採用されているわけです。さらに無骨にも、リベットだらけです。
このP-5aの流線形バージョン(Modefied)が1934年5月からの製造で、GG-1の先行試作機である4800号機(右写真)の登場が8月、そしてレイモンド・ローウィの手の加わった量産機が翌年の1935年5月2日に営業を開始しました。
ですから、ウィキペディア日本語版にある、「(GG-1の)スタイリングは著名なデザイナーのレイモンド・ローウィによるもので、『口紅から機関車まで』手がけた彼の代表作の一つとなった」という記述は、基本的には錯誤ですね。Wikipedia英語版でも同じでしたから翻訳されたのでしょうが、英語版はいつの間にか直っています。おまけに、4800号機の形を考えた人物はDonald Roscoe Dohner、などという情報が付け加わっています。
この辺りの事実は、ローウィの自伝である藤山愛一郎訳「口紅から機関車まで」を読めば明らかです。ちなみにローウィが手を加えた箇所は、リベットから溶接構造への変更、通気グリルを目立たなくするための5ストライプ採用、それに細部造形の改良だけです。また、溶接によって軽量化されたという事実は確認できません。諸元表に拠れば4800号機も量産機も同じ216トンです。
ただし、魔法がかかったように、たったこれだけで、機関車の印象がガラリと変わってしまいました。そして、世界中のファンから愛されるようになったのです。「これこそが工業デザインの真髄と言える」などと、アメリカ型鉄道模型大辞典では大上段に書かせていただきました。
P-5aの2線式Oゲージ、サンセットモデル製品は、第2動輪がフランジレスとなっていて、これは実物どおりです。リベットは全てエッチング表現で、フード先端の半月形部分もエッチング板をプレスして整形しています。次の写真で、第2動輪のスポーク輪心がクイルドライブのスパイダー(スプリング・キャップ)を表していますが、第1、第3動輪は反対側です(GG-1は両側です)。「Oゲージの玉手箱」に写真を追加しておきますので、興味ある方はご覧ください。
ところで、P-5aには別に箱型車体(Box cab)のグループがあって、こちらはO-1aという2B2の機関車を踏襲したスタイルです。それが踏切事故を起こしたために乗務員の安全上からこの形に移行しました。
もちろん箱型車体も直ぐに前面を強化されて、流線形バージョンと共に1960年代まで使われています。写真はクマタ製のHOで、アート・オブ・ブラス第1巻(エリエイ出版に在庫有り=2009-01-16時点では売り切れ)から転載しました。
O-1aは、TMS誌2009年8月号に初期の日本製モデルが紹介されました。
リベットだらけのGG-1、4800号機は量産型と共にアムトラック化後の1980年頃まで活躍し、退役後はストラスバーグStrasburgのペンシルベニア鉄道博物館に保存されています。
>>続きは掲示板(2013-09-12~)へ
■"とれいん"誌編集部のブログ「モデラーな日々」で、平野聰編集長の8月2日の巻に、GG-1やL-5、DD-1に混じって、P5aのボックス車体バージョンのモデルが出ています。1990年のOMI製品でしょうか。2010-08-08
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