デジタル時代の模型撮影術-バートアパック
The Pelle K. Soeborg's article on MR's September 2009 issue says that make a layout look picture-perfect. I learned the combination of a digital camera and the software that he recommended. The model is ExactRail's Vart-A-Pac auto-carrier.
一昨日、MR、モデル・レールローダー誌の9月号が届きました。注目記事は、常連執筆者Pelle K. Sφeborg氏のリアリスティックなレイアウト写真撮影のコツでしょうか。
表紙写真がそれなのですが、右のボックスカーから、真ん中のディーゼル機、さらに左奥のストラクチャーまで、ビシっとピントが合っているところに、こういう写真を撮った経験をお持ちの方なら、間違いなく驚かれるはずです。【写真はクリックで拡大します】
カメラはキヤノンの欧米向けEOS 350Dで、18-55mmのズームレンズは標準添付品でしょう。撮影データは、絞りがF29、シャッタースピードは1.0秒、ISO 200、焦点距離は28mmだとあります。もちろん、レンズを最小絞りとする理由は被写界深度を深くするため、すなわちピントの合う範囲を広くするためで、このためシャッタースピードが遅くなります。私もフィルム式一眼レフの時代は、この絞りが大きく採れて接写向きの短焦点マクロレンズを使っていましたから、ここまでは判ります。
加えてこの記事の提案は、デジタル一眼レフ・カメラと画像加工ソフトを組み合わせましょうということです。
まず一眼レフを使う理由は、ピントの合う範囲を予め確認できること。さらにズームは被写界深度の深い広角側を使う。この表紙写真では28mmです。
ただし、画像はレンズ収差の影響で歪むので、そのデジタル・データをパソコンのソフトで修正する……という手法です。
タイミング良く私は今、フォトショップ・エレメント7版を弄り始めたばかりで、面白いサカリです。
ただ愛用しているのは一眼レフではなく、パワーショットG9というコンパクト・カメラ。最小絞りがF8、広角は35mm(35ミリカメラ相当値)までと月並みで、ピント合わせが若干不自由ですけれど、天邪鬼的チャレンジ精神がムクムクと湧き上がってきました。
引っ張り出してきたモデルは、ExactRailという新進気鋭のメーカーが売り出した、プラスチック製HOゲージのバート・ア・パックVert-A-Pacです。長さが89フィート4インチ=27mもある巨大な自動車運搬車で、ちょうどMR誌のこの号に製品紹介が掲載されています。
これをスリークォーターのアングルで撮影してみようというわけです。この角度での形式写真的なものは、画像の歪みが不快ですから、普通は標準レンズである50-60mm相当の焦点距離を使うところです。
さて結果は、画面左右の縦のラインが直線に見えるなど、全体の歪みはそれほど大きく無い中で、屋根の肩のラインに定規を当てると不細工に膨らんでいます。魚眼レンズよろしくビア樽の様に脹れてくれたら事例として好都合だったのですが、35mm相当ですからこんなものですか。
ピントは、画面中心の10cmだと奥のBNマークがボケたので、マニュアル操作で15cm程度としました。もちろん、マクロ接写モードです。妻上部のレタリングも何とか読めます。
次にフォトショップ・エレメンツ7で読み込んで、メニューから「フィルタ」→「レンズ補正」を選び、「歪みを補正」で+7.00としました。
今回はCPハンティントンのときのような劇的な変化はありませんが、記事のいうとおり、今までの模型写真に見られないリアルさが出たと思います。上等なレンズでF29とか18mmなどが使えれば、さらに実感的な画像を生み出せそうです。
ちなみに冒頭の真横の写真は、上が広角35mmで撮影したナマ、下がそれの歪みを補正したものです。
記事では、編集に適したRAW画像での記録を奨め、バックドロップ=背景画で空が切れてしまったら画像加工ソフトで描き加えるなどというアイデアも示されています。
そして同号p93にはフォト・コンテストの案内が出ていますから、また面白い作品が見られることでしょう。そういえば機関車キットバッシュ・コンテストがそろそろ……。
なお、バート・ア・パックについては、アメリカ型鉄道模型大辞典、およびExactRail社のサイトをご覧ください。Nゲージでも発売されています。
【追記1】このモデルをOMI製品と共にCascade Green Forever!に展示しました。2010-03-12
【追記2】久しぶりに取り出したら、エグザクトレールの方の屋根板が外れていました。これ幸いと、修理する前に、補重を行いました。NMRA推奨値である210gが確保されているものの、最新のウォルサーズ製品が245gなのです。そこで、片側に3/4オンスずつ、都合40g程度のタックシール付ウエイトを貼り付けています。また、カプラーをケーディーの#118シェルフ・タイプに取り換えました。2013-01-11
【追記3】キヤノン・パワーショット・シリーズのズーム範囲は、私のG9で35-210mmだったものが、次のG10では28-140mmとなりました。そして昨日、10月発売の予告が届いたG11も28-140mmです。情緒派を除く鉄道および鉄道模型ファンは、歪みの出る広角レンズにアレルギーがあるように思いますけれど、補正ソフトと組み合わせれば……。
一眼レフが求めやすい価格になってきて、ソコソコの機能を要求するユーザーはそちらへ移り、こういうコンパクトカメラには別の需要が出てきた、ということでしょうか。2009-08-22
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コメント
トレインデポの牛島店主より、プロが使っているDxO Optics Proというソフトを教えていただきました。各メーカーの「カメラとレンズの組み合わせの綿密な分析によって開発された最先端の自動光学補正ソフトウェア」とのことです。レンズが発生する収差のメカニズムを考えれば、補正方法はレンズに固有であることは納得ですけれど、贅沢を言えば、カメラ自体に初めからこの補正ソフトを備えて欲しい気がします。当然ですが、適合表の中に私のコンパクト・カメラはありません。
投稿: ワークスK | 2009/08/16 20:59
月刊とれいん誌のブログ「モデラーな日々」で、平井憲太郎氏がレイアウトをデジカメで撮影する話を書かれています。デジタルだと「フィルム面に当たる撮像素子の面積が小さく、被写界深度が深くなる」とのことです。使われたカメラはコンパクトのキヤノンPowerShot G7(35-210mm相当)と、一眼レフのニコンD300(18-50mm付)です。2009-08-27
投稿: ワークスK | 2009/08/27 23:40