ベネチェアでオリエント急行出発進行!
The departure of the Orient Express (VSOE) from Santa Lucia station, Venice Italy, on August 30, 2000
一昨日の日曜朝刊(朝日新聞大阪本社版)を賑わした記事に「オリエント急行、年内廃止」というニュースがありました。あわててネットを探すと、早くも詳しい解説があって、無くなるのはオリジナル版オリエント急行、ストラスブール・ウィーン間の方の様です。ツアー用の豪華列車はそのままとのことで一安心です。
さて、このノスタルジー満点のVSOEを9年前の2000年8月30日、ベニスで見ました。【画像はクリックで拡大します】
それまでにオリエント急行といえば、1988年には日本を一周したり、大津市の紅葉パラダイスに展示されたりと、いくらでも触れる機会があったにもかかわらず、興味はありませんでした。それが、たまたま観光で訪れたベニスでお目にかかったわけです。「ヴェネチェア・シンプロン・オリエント急行 (VSOE) 」ですね。ウィキペディア日本語版に拠れば、年に24往復の運転ということですから、私はラッキーだったことになります。
このときの模様は、とれいん誌2001年2月号でお伝えしました。kそれ以外のショットもありますので、御披露しましょう。
上の地図を見ていただいて、本土からベニスへ延びている直線がリベルタ橋です。SS14号線とイタリア鉄道FSの併用橋です。そして、島の付け根にサンタルチアSanta Lucia駅があります。次の航空写真はその拡大です。
まず「歩道橋」と書いた場所です。写真の左側は本土から来た自動車を留める駐車場の入り口で、ゲート上の文字の「PORTO DI VENEZIA」は、「ヴェネツィア駐車場」ぐらいの意味でしょうか【あるいはヴェネツィア港?】。この文字を表示している部分が歩道橋になっていましたので、「客車ヤード」を俯瞰しようと左手から登ってみました。
次がその客車ヤードです。目を凝らせば、ディーゼル機に繋がっている客車は、オリエント急行ではありませんか。左にスイス国鉄のパノラマ客車(?)も見えます。
そうこうしていると、オリエント急行が動き出しました。このショットは歩道橋の反対側、「リベルタ橋」方向を撮影しています。慌てて、あとを追います。
次は、この列車が本土に繋がるリベルタ橋上に引き上げられたところです。他の列車が被っていてちょっと見難いのですが、一番左が入換機で、客車を数えると15両編成ですね。
線路の手前に道路が走っています。
これを右方向のサンタルチア駅へ押し込むはずですから、大急ぎで構内に向かいます。当時は運河を渡って短絡できる橋が無く、大回りで大変でした。
汗をかきかき着いた頃には、既にホームに停まっていました。台車イコライザーに白ペンキが目立ちます。
ツアー客がはしゃいでいます。丸い時計のディスプレイは出発時刻10時25分を指しています。もちろん、シャッターを押して差し上げました。
看板の文字は、「VENEZIA SIMPLON ORIENT-EXPRESS」、それにVenezia Innsbruck Zürich Paris Londonです。
不思議なことに、こんな場所で車体を清掃していました。
先頭部には本務機が接近してきました。連接式のE656-473です。客車ほどではなくても、もう少し綺麗にしてほしいですね。
E656という形式は2車体3台車の連接構造で、長さ18,290mm、1時間定格出力4,800KWという大馬力ですから、単機でアルプスを越えられるのでしょう。
客車にドッキングしました。こちら向きは完全な逆光で、真夏のイタリアでは厳しいアングルです。このとき、どうしてネジ式連結器の作業を撮影しなかったのか、今になれば悔まれます。
出発しました。窓がところどころ開いているのですが、確かクーラーを装備していたはずです。例の連続するダブルスリップを渡って行きます。
このカップルは完全にコスプレを楽しんでいますね。
15両の客車が埋まるほどにツアー客が乗り込んでいたのかどうか、ちょっと疑問です。
最後は仲良く並んでカメラを構えたイアン君です。両親と共に、イギリスはポーツマスPortsmouthから来たと言っていました。もちろん、この写真は帰国後に送りました。もう二十歳を超えているはずです。
ところで、このときの私のカメラは、なんとベニスで調達したばかりのニコンF60です。持って行ったものがこの直前に故障したのです。ボディのみ750,000リラでした。フィルムはフジのプロビア100F(RDP III)で、現像と同時にCD-ROMに落としてもらっています。1,439×1,200の170万画素相当です。世紀の変わり目には、こういった機材状況でした。
なおこの辺りの航空写真が、たった1年前に較べて遥かに高精細となっていました。拡大してみると9年前とだいぶ変わっています。線路が無くなったり、ヤードも閑散としています。撮影できたときが、いつも貴重な情景なのですね。
【追記1】モデルの話は、「イタリアで見て乗って買ったプッシュプル列車」にまとめました。フィレンツェとベネチェアの写真です。2012-01-11
【追記2】私の2年後となる2002年10月に訪問された様子をSedar氏が今昔写真日記に綴られています。2014-05-31
ヴェニス ヴェネチア
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コメント
ご無沙汰してます。
記事を見て、2004年欧州旅行でベネチアに立ち寄った時の事を思い出しました。ヤードまでは観察しなかったんですが、駅がやたらと大きいとか、本土までの線路が複々線であるとか、鉄道関係の設備が立派であったものを興味深く思ったものです。
このときは、ツアー列車のほうではなく、今回廃止となる定期列車のオリエント急行をパリ東駅で見かけました。ファンには広く広まっている噂どおり、煤けたコラーユ客車を延々と連ねた姿は豪華とは程遠いものでしたが。
>>コメントありがとうございます。確かにHPを拝見すると汚れまくっていますね。【ワークスK】
投稿: WURE | 2009/08/30 15:46