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2009/08/19

架線は電車線といってその高さは

What kind of reason will the height of railroad's trolley wire be fixed for?

Img_8210a
 先日、JR桜島線安治川口で撮影したEF210-8は、まだ梅雨が明けていない時期ということで曇り空だったものの、ひととき、日が差して本当に良い色が出ました。それで有頂天になってしまったのですが、dda40x氏による「パンタグラフが限界まで上がっている」との御指摘は、確かにその通りです。【写真はクリックで拡大します】

 同氏とメールでやり取りする中で、思い出したのは「普通鉄道構造規則」という法令です。早速ネットを検索すれば、その第60条に「架空単線式の電車線のレール面上の高さは、5m以上5.4m以下としなければならない」とありました。
 架線のことを法律的、技術的には、電車線、あるいは架空電車線というのですね。また、762mm軌間の場合とか、トンネル区間での特例も規定されています。別に「新幹線鉄道構造規則」というものもあります。

Img_8260a EF210の車体高さが3,980mmということから、写真に物差しを当てて類推すればパンタの高さは約5,400mmで、規定の上限ということだと思います。
 目的はもちろん、コンテナ荷役でしょう。dda40xさんに、それに言及したサイトを紹介していただきました。「機関車アルバム59」の上から5番目の写真で、岐阜貨物ターミナルのEF210-901です。

 なお、架線を、ある高さ以上にしなければならない理由は、踏切での自動車との関係、あるいは電流遮断の必要性です。「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」という決まりとその解釈基準、さらにそれの「解説」が日本鉄道電気技術協会のHPにありますから、頭の涼しい方は御一読ください。

 さてここで、疑問が一つ湧いてきました。
 それは、低いほうの限度はこれらの説明で判るとして、じゃあ、高いほうの制限はどういう理由かということです。鉄道事業者の勝手にさせてくれ、と言いたいのですけれど、官庁の方に百年、あるいは千年の大計として再度の国有化=全国統一の下心がある、などというのは余りにウガった考えでしょうか。

【追記】新宮琢哉氏より、コロナ社刊「電気鉄道ハンドブック」p99にあるという挿絵と共に、次のコメントをいただきました。情報はあるところにはあるものです。2009-08-28
「電化コンテナヤードの地面、掘り下げると思っていたのですが、ワークスKさんが写された安治川口では、線路と道路が同一面ですね。
 ヤードの電線高さを上げ、専らコンテナ列車に使う機関車や電動貨車のパンタを作用範囲の大きなものにすれば、皆、幸せ‥‥なのに。」

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続きは「アメリカの架線高さは如何に」です。2009-08-23

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鉄道の電気技術」カテゴリの記事

コメント

突然失礼します。大阪で開催されたJAMのときにお会いしておりますがWeb上では初めてでございます。よろしくお願いいたします。
 電車線に関してのブログを興味深く拝見させていただきました。
ところで、国鉄民営化で施行された普通鉄道構造規則ですが、それまで民営鉄道をしばっていた地方鉄道建設規程(大正8年8月13日閣令第11号)の第65条に「架空電車線の高さ」が規定されています。
 内容は普通鉄道構造規則とほとんど同じですが、当初から規定されていたわけではなく昭和38年12月運輸省令63号で追加されています。よってそれまでは、電車線の高さについて規定されていなかった可能性があります。
 地方鉄道建設規程ですが、第58条までは片仮名交じりの文語体で書かれていますが、第59条以降が昭和38年に追加されて口語体で書かれています。
 電車線の最高高さがどのような理由で規定されたまでは分かりませんが参考になれば幸いです。

>>You-enてっど さん、ありがとうございます。この地方鉄道建設規程ですが、すでに効力がなくなっていますからネットでは公開されていないのですね。ただし、軌道建設規程が活きていて、第35条の2です。残念ながら"ひらがな"です。【ワークスK】

投稿: You-enてっど | 2009/08/21 16:42

早速のお返事ありがとうござます。
 電車線の最高高さについて今まで気にしたことが無く、ブログ(メルマガ)を読んで目から鱗でして、気になってしかたがなくなりました。(地下鉄の電車をどこから入れたという漫才のネタみたいに気になると眠れなくなりました。(ウソです。))
 たまたま鉄道六法の昭和59年版がありまして、ワクワクしながら何かわかるのではないかと覗いてみたのですが・・・期待はハズレました。
ちなみに、帰線を架空線とする場合(複架線)のことも規定されていまして、最高高さは「5.5メートル」とされています。
 単架線の最高高さとの0.1メートルの差も「何で?」でしょうかね。

>>えっ、ダブルポールは違うのですか。不思議ですね。無軌条電車に適用されたのでしょうか。【ワークスK】

投稿: You-enてっど | 2009/08/21 22:12

度々すいません。前の書込みをさせていただいてから「電気鉄道技術発達史(社団法人鉄道電化協会1983年12月20日発行)」があるのを思い出し、見てみました。
 「国鉄の電車線路設備」の章によりますと・・・
「建設規程は大正10年10月鉄道省令に制定されていたが、架空電車線の項目はなく、建築限界図と車両限界図の中に架空線により電気運転する区間の上部限界が描かれているにすぎななっかった。」
「昭和2年9月省令が改正された際、架空電車線の項が設けられ、高さ標準5,200mm、最低高さ4,550mm、最高5,400mm、偏位250mmが、またこう配は本線3/1000、側線10/1000等が制定された。」
と記されています。このあたりがルーツのようですね。
 また昭和31年から38年にかけて鉄道電化協会内に電車線関係の規格案審議の委員会が設置されていますので、その委員会の答申が地方鉄道建設規程に反映されたものと思われます。
 ちなみに鉄道電化協会は、鉄道の電気関係の団体でして、現在では、信号保安協会と鉄道通信協会と統合されて日本鉄道電気技術協会になっております。

>>ではっ、と、「電気鉄道技術発達史」を古書店サイトで確認すると……ギョエー!!!【ワークスK】

投稿: You-enてっど | 2009/08/22 08:48

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