三木隆さんのOJゲージC59161とC12230
One of the greatest craftsmen, Mr. Takashi Miki's JNR steam locomotive C59 & C12, OJ gauge (1/45 scale, 24mm gauge)
前回紹介した関西OJクラブの運転会では、そのフロアーレイアウトの広大さに唖然とさせられました。しかし、"さらに"、と言うか、"もちろん"、車両には完全に圧倒されています。「手の切れるような」という表現が、全く陳腐に聞こえないのです。
私なぞはコンパクトカメラですから、気軽に「撮影させてくれ」などとは到底口に出せず、旧知の三木隆さんに蚊の鳴くような声でお願いするのがやっとでした。【写真はクリックで拡大できます】
確か、1974年頃だったと思います。雲竜寺鉄道で有名な荒崎良徳氏から「機関区でナンバープレートの数字の太さを測っている連中がいる」という話をお聞きしたのです。私はといえば、西尾博保氏の真似をしてポスターカラーと面相筆で車番を描き込むのに悪戦苦闘していた時分です。
その人が三木さんでした。何かの折りに「よく飽きもせず、編成物を部品から作り続けられますね」と問うた答は、「夕食後など、決めた時間に少しずつ積み重ねれば……」ということでした。1円でも100個貯めれば100円になるけれど、0円、という硬貨があるか否かは別として、これを1万個、あるいは1億個集めても0円なんだそうです。
中尾豊御大に拠れば、レイアウトに関して次元を越えた最初が荒崎氏で、それに匹敵する車両モデラーが、三木氏だとのことでした。
このC59161は、とれいん誌2007年9月号に発表されて有名なモデルです。煙突が実物に合わせて、ホンの僅か後方に傾いているそうです。
飽くなきリアリティの追求は、デフォルメの排除に結びついて、パイピングや板金、さらにロッドに及び、モデル自体を肉眼で直視すると、薄過ぎで細過ぎるという印象が湧き上がってきます。また、目立たないボイラーバンドなど、メリハリに欠けるという評価さえあります。
しかし、しかしです。ひとたび我が眼をフィギャーのそれに置き換えれば、面前には重厚なスチールの塊がそびえ立っているのです。
それは未塗装のC12230でも同じことです。
目の高さを低くして広角の視野で見なければなりません。実感を徹底的に追い求めたモデルは、見る方も"実感的"になる、すなわち、鑑賞者がその世界に入り込むことを強います。
これらのモデルの写真で、俯瞰位置などから望遠気味のレンズで撮影したもので味あわされる奇妙な違和感は、そんなところに理由があるのだと思います。
ところで、実物と同じ厚さ、あるいは細さを採用すれば当然、強度が心配になります。モデルでは実物以上に過大な力が加わるからです。
しかし、大丈夫なはず、という、私の奇天烈な理屈はこうです。
先ず45mmの角棒を思い浮かべてください。これを垂直にして下端に450mm角の水槽を水を満たして吊します。
容器としての水槽の存在を無視しますと、水の体積が450mmの3乗=91,125,000mm3で、比質量が0,001g/mm3ですから、重さは91,125g=91.125kgです。角棒の断面積は45×45mm2=2,025mm2です。すなわち、角棒に加わる引張応力は0.045kgf/mm2です。
これを1/45に縮尺しますと、水槽は10mm角で重さ1g=0.001kg、角棒は1mm角で断面積1mm2です。よって角棒の引張応力は0.001kgf/mm2ですよね。
この0.045と0.001の数字を比べて、実物よりも模型は45倍強い!ということになりませんか?
材料が同じならばという条件ですけれど、HOなら87倍、Nならなんと160倍です。なお、化石人間はcgs単位系しか使えず、もうしわけありません。
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