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2010/02/12

アルコ製2,400馬力機RSD-15の命運

Alco RSD-15 B&LE 883, Atlas O Trainman 2008

 先日、あるところで拙い経験を披露させていただく機会があって、筋立てに工夫を凝らしたつもりでいたら、終わってから「話が理屈っぽくて、さすが元技術屋」と、褒められたのか、貶されたのか判らない評価をいただきました。
 そういえばここでも、アダチD51のキット組立が止まってしまったワケをクドクドと説明して、「理由なんか無い」と一喝されてしまいましたね。それにも懲りず、今度は散財の言い訳をさせていただこうと思います。【画像はクリックで拡大します】

Img_3274b

 この機関車はアルコのRSD-15、2年前にアトラスOから発売になった製品です。B&LE(ベッセマー&レーク・イリー)などという珍しい鉄道のスキームで売れ残っていたのでしょう。割安だったので思わずクリックしてしまいました。
 もちろん私のところには以前ご紹介したように、同鉄道色に塗り上げた23両の鉄鉱石運搬貨車、オアカーが在籍します。これらを牽引させようという魂胆です。

Img_3275b

Img_3283b もう一つには、9年前にこのRSD-15という機関車について詳しく調べたことがありました。
 ヤフーオークションでブラス製品を見かけたものの、BNが保有しなかったスタイルなので皆目判らず、この形式名に辿りつくまでの顛末は第23号「ヤフオク◇古いモデルの推理は小説より面白い」と題して書かせていただきました。

 アルコ、すなわちアメリカン・ロコモティブ・カンパニーは、蒸機時代からの老舗で、ディーゼル機にも早くから取り組み、またスタイルに気を配る伝統があって、一部のファンの間では強烈な人気があります。そのアルコが新興のEMDやGEに敗れ去った経緯は、興味を惹きます。
 それで、文献を漁って、1950年代に各社がラインナップした6軸の最大出力機を時系列で並べてみました。

Alcoemd

 どこかに解説があった、ということではないので、本当のところは判りません。これを見ると、2,400hpクラスで最初に登場したのはフェアーバンクス・モース社FMのH24-66、トレイン・マスターと呼ばれたディーゼル機で、その時代的先進性がよく判ります。それを追撃したのがアルコのRSD-7、RSD-15です。この画だけなら、この機関車がFMを潰したことになります。

 そして4年後、EMDがSD24を出すと今度はRSD-15が売れなくなり、アルコは雌伏数年を経て画期的なセンチェリー・シリーズを発表。同時にGEもUシリーズで参入し1960年代という馬力競争の第2幕が切って落とされた、という図式でしょうか。

 この時代の6軸機は低速、重牽引で、石炭や鉄鉱石といった長大貨物列車用に充当されました。B&LEの6両はDM&IRの中古で1959年の移管です。DM&IRでの新造年と、B&LEでの廃車年は判りません。

Rsd715roster3_2

 AT&SFやSP(アトラス写真)には"アリゲーター"というニックネームのロー・ノーズ機(*印)がいました。【Brass_solderさんからのご教示で、一部訂正しました】

 このモデルについての詳細はアトラス社のアナウンスと当方の「Oゲージの玉手箱」を、またクマタ製HOブラスについては本誌第23号2001-06-06【再編集版】をご覧ください。Key/Samhongsa製のPRR機についてはBrass_solderさんのサイトです。
 次は、増備のつもりで買い込んでいる40両のオアカーに着手しなければ……。American Locomotive Company Bessemer & Lake Erie R.R. Fairbanks-Morse Train Master Duluth, Missabe and Iron Range R.R. Alligator

【追記】B&LEのカラー写真集"Bessemer and Lake Erie Railroad in Color"を購入しました。線路に沿ったトレインウォッチを主体としたもので、表紙から期待した車両写真はわずかで、カラーの時代には早すぎたのかRSD15の出ているものは3枚だけです。モデルに追加したい細かな表記も綴りまでは判読できません。また鉄鉱石オアカー列車が少ないのは意外でした。カブースも余り出ていないものの、屋根上にランボードを設置している年代も車体色が赤であることが判りました。
 一方、沿線にプルマン・スタンダード社のバトラー工場Butler plantがあったとか、南端のノース・ベッセマーで、一風変わったカブースを持っていることで記憶していたユニオン鉄道Union Railroadが接続していたことを初めて知りました。2010-09-18

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Oゲージ三昧」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。
「理屈っぽい」と言う評価は本当にどっちに取ればよいのか迷いますね、私も良く言われます (笑
RSD-7と15は長くて堂々としているので大好きです。
ところで重箱の隅を突いて申し訳ありませんが・・・
表中のPRR所有機は以下のようになります。
8606-8610 1955/12-1956/1落成 RSD-7(DL-600A)
8611-8616 1956/6-8落成 RSD-15(DL-600B)

RSD-7(PRR APS-24ms)はパッセンジャーヘルパーで登場したためギア比65:18でSG付き
RSD-15(PRR AS-24m)はハンププッシャー、ヤードエンジン、ローカルフレート用に登場したのでギア比74:18でSG無しでした。
連結面間長もRSD-7が65'1"、RSD-15が66'7"と異なります。

HOでRSD-15の模型は近年ブロードウェイからも発売されましたが、SG付きを表現しています。
PRRでは水タンクが要りませんが、その中にモーター関係が入ってるかもしれず、外せないと面倒なので買いませんでした。
その代わりリンクいただいた模型のあとでもう1輌同じの買ってしまった私はお馬鹿さんです。

>>ありがとうございます。早速訂正させていただきました。蒸気発生装置付もあったとは驚きます。RSD-15の66'7"(20.3m)という長さは、SD9の60'8・1/2"(18.5m)と比べて確かに立派で、O、HOとプラで製品化されるのもうなずけます。【ワークスK】

投稿: Brass_solder | 2010/02/20 12:53

RSD-15は地味だと思ってましたが、こうして解説していただくと、あるターニングポイントに関わるディーゼル機関車だったのかということがわかりました。

以前に宮崎さんがご紹介された、The Bessemer and Lake Erie Railroad 1869-1969という書籍(Glden West Books刊)によれば、DM&IR 50-55の新造は1956/4、B&LEの移籍は1964年という記述がありました。廃車年は不明です。

B&LEとDM&IR,EJ&ERは同じUS Steelの資本傘下だったので、お互いに蒸気機関車やディーゼル機関車の譲渡や貸し借りが多かったようです。

ウチにはブロードウエーのB&LEのRSD-15があり、この話題によって箱から出して見直してみました。

>>B&LE機の御教示ありがとうございます。オアカーの新製が1952年ですから、共存は充分にOKな範囲ですね。あとは両数を揃えなければ……【ワークスK】

投稿: とやま | 2010/03/10 09:54

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