IHCリバロッシ製の流線形客車(1)
Pullman-Standard Smooth Side Passenger cars with BN's Hocky Stick scheme, produced by International Hobby Corporation/ Rivarossi, part 1
このところ俄かに客車づいていまして、今回も古くからのデッドストックを引っ張り出してきまた。BN、バーリントン・ノーザン色のスムーズサイド・パッセンジャーカーです。
この製品は、特定の列車を再現したスケール的なものではなくて、それらしいボディにUPとかNYCとかの各鉄道の塗装を施した"雰囲気モデル"ですから、走ればOKとばかりに、台車とウエイト、それにカプラーだけを弄る算段だったものの、これがなかなか手強いブツでした。【画像はクリックで拡大します】
まず車体の分解です。写真は既に緑色に塗った鉄ブロックのウエイトが載っています。
側と妻が床板と一体の箱で、その上から屋根板と窓ガラスが一体のフタを嵌め込むところはコンコーのスーパーライナーと一緒です。
さらに、こちらは窓ガラスの下辺に片側3個の爪があって、これが床板に空けられた小孔を貫いて引っ掛ける仕組みです。
屋根と側板を密着させるためでしょうが、爪の破損が心配ですし、この爪が思惑通りに側板に寄ってくれないので大変です。製品でも爪の後ろにプラの小片を噛ましてありました。
ドームカーだけは逆の構成で、屋根の方に側と妻が付き、床板が窓ガラスと一体です。しかも両者を引っ掛けているのが貫通ドアの窓という判じ物です。
ドーム部分の座席は、ウエイトと共に私が緑色に塗りました。
メーカーは分解することを全く考えていませんね。
そういえば、アメリカの客車にはどれも雨樋が無いように見えます。
台車は、これが大問題で、車輪径が31"(9mm)と変則的です。欧州型用なのでしょうか。 普通、アメリカの客車といえば36"(10.5mm)、70トン貨車でさえ33"(9.6mm)というのに、これでは小さ過ぎます。
試しに33"車輪に換えてみると、ピボットの軸長が長過ぎる上に、車輪トレッドにブレーキ・シューが擦れます。本来だったら、稀有な素晴らしいディテールなのですが、こればかりは仇となっています。
ですから、なるほどIHCが半端な31"などという金属車輪を売っているわけです。ネックはこの車輪の入手です。ウォルサーズではスペシャル・オーダーというのですけれど、IHCへの直接注文も可能だと思いますはどうも昨年末に廃業したようです。
こういうときに頼りになるNWSLには31"車輪がラインナップされていませんが、軸長の短い欧州型取替用車輪36"(#37168-4 Pointed 0.970" Axle Wheelsets, European wheelsets for Roco and Rivarossi products)というのはどうでしょう。私はエレクトロトレンのタルゴで使いました。
ブレーキシューは切り取るか、あるいは車輪に触れない様に、その根本を半田ゴテの先などで熱を加えて曲げるという手があります。
別の台車をというのでしたら、値段等が釣り合うのはアサーンの品番90410(ブラック)と90411(シルバー)ですが、中心ピン位置を変えなければなりません。なお、NWSLもアサーンも直販が可能です。
で、私の場合はタイミング良く、コンコーのスーパーライナーから不用台車が出ました。中心ピン位置の偏心寸法もほぼ一緒です
車輪は36"(10.5mm)の金属ですからそのまま、側枠の色もシルバーで流線型の車体に合います。実物のBN車はブラックに見えますが、汚れているのかも知れず、中にはシルバーのものもあります。
中心ピンは、IHCのものが使えます。スリットと爪付きで付け外しは容易です。ただし、コンコー台車の枕梁厚さが少し厚いので、車体側孔の上縁を少し座ぐる必要があります。
台車振替で車体の高さが0.7mmほど上がります。
カプラーの車体取付用パッドの厚さは3.5mm=3+0.5mm、連結面間距離は圧縮時で13mmとしました。これより狭いと大き目の幌枠同士が24"(610mm)カーブで当たります。
カプラーは一般用の#5です。中心ピン位置が中央に寄ってオーバーハングが大きくなっていますから、外れ難い#118としたいものの、上に出っ張ったシェルフ部分が幌枠に接触します。
ウエイトは、私がスタンダードとしている平鋼、鉄板の両面テープ貼付です。テープは常用しているScotchのSCP-15、あるいはKCP-15が品切れで、今回はニトムズ(元日東電工)の品番T3460(幅15mm×長4m)を使いました。「マイカー内装用」で振動に強いという謳い文句が一緒で、厚さが1mmと若干薄めです。
RP20.1で示される200gの目標に対して、ドームカーで80g、それ以外には90gの補重を行いました。
さて実物のBNは、発足した1970年に母体であるGNのエンパイア・ビルダーや、NPのノース・コースト・リミテッドを引き継いで、カスケード・グリーンへの塗替を始めました。それが白帯の形から「ホッケー・スティック」と呼ばれるスキームです。
ただし、翌71年にアムトラックが発足して、旅客列車は全て移管されてしまいますから、その間にグリーンとなった客車はほんの僅かでした。
客車はサイドに向かって左がスティックのブレード、機関車は先頭寄がブレードです。最後尾のオブザベーションは実例写真を見たことがありませんが、この製品は、ラウンド・エンドに白帯を回して、両サイド共に連結妻寄をブレードとしていますので、列車のファイアマン・サイド、左側面は冒頭写真のように美しく揃います。なお、冒頭写真は縦横比をEユニットがFユニットに見える様に悪戯をしてあります。
しかし、反対側のエンジニアサイド、右側面は次のようになります。この製品は不思議なことにバゲージ車の片側が右ブレードとなっています。こちらの縦横比は見たままです。
それに車体裾の細いシルバーラインはフェイクです。実物には無いスカートによってサイドが幅広になっていますから追加したのだと思います。
またロゴもフォントも貧弱で、白帯の太さも高さも不揃いですが、直したらこの製品を求めた意味が無くなってしまいます。
スカートも有ったり無かったりで不思議です。
さて牽引機には、シカゴ・コミュッター用のE9Aを当てていますが、HEP交流電源供給となっていて、本来は無理ですね。さてどうしたものかと……。
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