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2010/05/11

カトーのユニトラックで緩和曲線を(1)

I got the idea from a friend's mischief and a MR magazine article. It is a way to convert Unitracks to easement curves.

Mr1006 先日届いたMR誌の2010年6月号に、緩和曲線の作り方が載っていました。John Amstrong氏が考案した方法で、数式とか難しいことは何も要らず、帯材の自然のシナりで擬似曲線を作り出すものです。それをBob Kingsnorthさんが、固定レイアウトで、扱いやすいように定規を工夫された記事です。
 私としては、「ほら見ろ。カーブはいい加減でいいんだ!」ですね。
Mrseasement

 何とかカトーのユニトラックで出来ないものかと考えていたら、NAMRACの会員限定掲示板で寺澤和雄さんが、直線ユニットに切込みを入れてカーブとした写真をアップされました。【画像はクリックで拡大します】

 これです!

 ただし、固定レイアウトならいざ知らず、フロアーレイアウト用にセクション・レールの機能を維持するには精度の問題があります。緩和曲線を左右2セットずつの合計4セットを組み立てて、エンドレスにならなければいけないからです。

 13mmゲージの連中が同じユニトラックを唐竹割して幅を詰めた事例を見ていますので、「切った貼った」が可能なことは判っています。こちらは、如何にして欲しい曲がりを作り出すか、です。

 で、MR誌の説明図を眺めていて、ひらめきました。

 要は、緩和曲線全体を2つに分けて、それぞれをユニトラックの直線と曲線のユニットから作り出すというアイデアです。
 切込みを入れるのは、直線ユニットではカーブの内側だけ、曲線ユニットでは外側だけとするのです。

 そしてスリットの数を同一とすれば、直線ユニットを曲げる角度と、曲線ユニットを緩くする角度は同一です。
 すなわち、緩和曲線を入れない前の曲線ユニットの曲がり角度、16本組なら22.5°を維持できるということです。
 そうです。面倒な線形定規というか、型紙が不要でいけるはずです。

 切込みは、道床片側のレールから斜めの部分を残して、その残りの軌間、レールとレールの間から、反対側の斜めの部分に掛けて、連続して入れます。レールの下も工夫して切ります。こうして出来たスリットを皆、閉じる方向に曲げることとするのです。

 この方法での心配は、曲げたところが“カクン”と折れた形になることですけれど、レールの枕木へ固定が緩いので、そんなことは間違っても無さそうです。

Img367b 土曜の夜に思い付いて、計算をしてみました。用意した線路は最も大きな半径790mmの22.5°と直線246mmです。パソコンのエクセルを使えばアっという間です。

 数値は、「緩和曲線が無い軌道の体験(2009-12-08)」で紹介した湯山一郎氏作成の半径28インチ=711mmをそのまま790mmに拡大して用います。
 数式は、"はいで"さんの「おきらく研究室」のものを利用させていただきました。演算子と関数はエクセル方式です。

Ⅰ.切込みの個数を求めます
(1)両ユニット接合部点の角度Φg
  3次式の定数=18/25/SQRT(5)/R^2
  傾き(dy/dx)=3**^2=Kg
  Φg=ATAN(Kg)*180/PI()
  Xc=213mmで、Φg=4.0°です。

Img472b

(2)切込み1箇所で曲がる角度α
 使う糸ノコの刃の幅と、切込む長さから、
  α=ATAN(/)*180/PI()
 =0.4mm、=16.5mm/2+41mm/2=28.75mmで、α=0.80°です。

(3)点の角度Φgを実現するための切込みの個数
  Φg÷α
  4.0÷0.8≒5個の切込みが必要ということになります。

Ⅱ.切込みの最小間隔を求めます。
(1)両ユニット接合部G点での曲線半径Rg
  Rg=6*SQRT(^2*Xc^2/(1+9*^2*Xc^4)^3)
    =1,528mm

Img473b

(2)Rgを作るための切込みの間隔Mg
  これが間隔の最小値です。
  MgRg*/
  1,528*0.4/28.75=21.3mmです。

Ⅲ.切込みの位置を決めますTable22
 現実問題として、点にはユニットの接合構造が存在します。これを考慮して適当に割り振ればよいわけです。等比数列かな、とも思ったのですが、“等べき乗”で計算してみたら、そこそこサマになりました。
 もちろん、エクセルでは切込み間隔を累計して位置とすることなど、お茶の子サイサイです。表では小数点1位まで出していますが、意味はありません。
 スリットが目立たない様に、この数字に近い枕木の真横、際(キワ)を切ります。

 試しに何本かやってみました。全てのスリットが閉じる様に手で押さえて曲がり具合を測ってみると、計算値である5.1mm近辺になっていて、一安心です。次の写真は、切込み線が分かり難くかったので、赤いラインを入れました。
Trackcuts

 ただし、曲げコワさ、剛性が大きいので、接着する際には形をシッカリと固定する工夫が必要です。
 眠くなってきました。続きは、明朝です(笑)

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コメント

実際に乗るものではないので、加速度の変化率が正しく変化する必要はありませんね。見掛け上、緩和が付いているという感じがすればよいのですよ。
私のレイアウトも実際に線路を敷いてみて、不可思議でないところで留めました。
走っているのを見ても、自然に見えます。
人間の目は、こういうところでは、意外に能力があるものです。

>>コメントありがとうございます。そうなんです。計算はいくら緻密でも、最後の作業が目分量ですから……(笑) ただし、理屈はちゃんと組み立てておかなければならないと思います。【ワークスK】

投稿: dda40x | 2010/05/11 22:08

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