カトーのユニトラックで緩和曲線を(3)
早速、道床が縮んだために飛び出した片側のレールを切り落とします。計算では1mmのはずが約2mmです。
私は、シャコ万力にちょいとレールを挟んで糸ノコを使いましたが、レールニッパーが欲しいところです。
直線寄と曲線寄の2つの線路ユニットを組んでみます。
スムーズに繋がります。また、レールに角折れがあるようには見えません。
加工前と較べて、その差はハッキリしませんが、その気になって眺めれば、なんとなく違うことが見えてきます。まあ、この状態ではその程度です。
実際に長い編成の模型を走らせてみないと、効果は判らないのでしょうね。
寸法確認のために、全円に組んでみました。
この直線部分の無いオーバル・コースの長円と短円を測ります。線路中心に換算すると、2,067mmと1,602mmですから、元の製品のままと較べると夫々、6mm縮んで、22mm広がったことになります。上出来です。 長円の縮み6mmは、この加工が軌道長に沿った考慮をしていないので比較する数値がありません。
短円の広がりである22mmの方は、その1/2の11mmがfに相当して、ものの見事にピッタリです。
気になったのは、“浮き上がり”です。ユニット単体が皆、約1mm反っています。
あぁぁ~、これは接着剤のせいですね。MEK系の“流し込み”タイプはこれが短所です。やはり、瞬間接着剤を使うべきでした。
なお、この製品には材質表示が無いものの、カトーですからABS樹脂でしょう。リモネンが効くかということでテストしたところ、一見付いたように見えたにもかかわらず、力を入れると完全に剥がれてしまいました。製品の樹脂は全く溶けていません。
昨年冬に1ヶ月半にわたって実施したプラスチックの接着変形実験に拠れば、MEK系の変形はほとんどが1週間ほどで出るので、それを待って逆反りを掛けるか否かの判断するつもりです。
【追記1】MR誌の簡便緩和曲線描画法についてですが、片持ち梁のタワミ式を神奈川工科大学機械工学科のページに見つけました。この式の係数を適当に定めてグラフ化したものが次です。
橙色の線で示した全体のうち、赤線が梁の部分です。O点が固定支持点で、Fが集中荷重です。EIは曲げ剛性で、全長にわたって断面形状が一定の場合です。
で、改めて全体を眺めれば、これは典型的な3次曲線ですね。O点が極大値、荷重位置が変曲点であることが判ります。ということは、緩和曲線と一緒です。互いに座標軸が約24.1°傾いているだけです。
ただし、梁を24度も曲げれば、X軸方向の長さが短くなりますから、厳密に同一ということにはなりません。よって、確認したいO点の曲率半径と、荷重点の傾きは、求めるのが大変です。
うぅぅ~む、面白くなってきました。が、錆付いた脳ミソが悲鳴を上げています(笑)
【追記2】この長尺棒材によって緩和曲線を描く方法で、棒材の断面を徐々に細く変化させればよい形になると、言い放った御仁がおられました。情けないのは、このブログ記事をツブサに読まれた上での発言だったことです。当方の説明能力を棚に上げれば、早トチリもいいところ。知識が上っ面で、他人の話を聞く耳を持っていないということなんですね。
使う棒材はあくまでも、頭から尻まで断面形状が一様、すなわち曲げ強さが一定でないと3次曲線に近似しません。
しばらく前の事だったのですけれど、念のため書き添えておきます。2015-03-20
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