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2010/05/31

39年目の組立式レイアウト改修

Repairing of a HO gauge sectional layout made 39 years ago
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Img_6157b  エンドレスに模型を走らせるなぞ、いったい何年ぶりでしょうか。
 部屋を片付けたこともあって、学生時代に作った組立レイアウトを広げてみました。今となっては神代ともいうべき鉄道模型趣味誌1971年8月号に紹介させていただいたものです。【画像はクリックで拡大します】

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 この基本構造は荒崎良徳氏が同誌69年10月号に発表された「組立10分! 格納5分! 組立式レイアウトにおける新しい試み」を踏襲しています。(68年10、11月号の「長編成用のレイアウト」ではありません)
 長大編成をユッタリと走らせるその設置場所として、近所の幼稚園に目を付け、そこを借りられる前提の下に、試作されたものでした。
 画期的だったのはブロックの接続方法で、一般的にはレールはジョイナーで繋ぐところを、物理的な結合と電気的な接続を切り離して、組立分解を短時間で行う仕組みです。

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Img_6150b  私は、それを家庭用に一回り小振りとしただけです。曲線はR610、ポイントは6番です。
 ベニヤ板と角材でベースを作り、ベース同士を木組みで結合する。その上にシノハラのフレキシブルレールやポイントを敷いて、ベースの結合面で切断する。レールはベースに犬釘で固定するだけ。電気は、ベースの結合面に黄銅線のピンを立てて、それにリン青銅の薄板を接触させる構造です。

 実は20年ほど前に、一部の接触子が腐食して用をなさなくなっていました。
 今回、これを取り替えました。全部で44接点あるうちの3箇所がアウトでした。加えて3箇所は念のため交換しました。
 他は何とも無いので、この錆の原因が不思議なのですが、一時住んでいたマンションの結露ではないかと思います。いずれも、収納していた段ボール箱内で下段となっていたセクションです。
 今後は、底に衣類タンス用の防湿材でも敷こうと思っています。リン青銅板の0.2mmと薄い接触子にオイルを塗っておく方が良いかもしれません。

Img_6120b  このジョイナーを用いない接続方法は、レールの食い違いにより乗り上がりや飛び跳ねが起こって、脱線するのではないかと心配されると思いますが、ここでの不具合を経験したことはありません。
 ただし、音は大きいと思います。

 なお、ポイント転換をマブチモーターとしていましたが、1年ほどで市販の薄型マシンに交換しました。ネジが磨耗したためです。そのため、外部に3本のコードを設置せざるを得なくなりました。
 また、電車中心となって機回し線も廃止しています。

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Img_6163b 記事には「スピードの出し過ぎ」云々というフレーズがあります。これは編集部の加筆です。私としては、このレイアウトは走行具合を試すための線路。すなわち自動車でいったらテストコースのつもりだったのです。緩和曲線もカントもそのためです。
 カントは、内外軌で1mmの高低差を黄ボール紙を重ねて実現しています。
 当時はベルト駆動に興味があって、いろいろ試作していました。

 走行音も大きな問題で、ベニヤ面の上にバラストよろしくタオルを貼り付けたのはその対策ですが、あまり効果の無いところがお判りいただけるでしょうか。タオルは汚れも問題ですし、はみ出した糸がウォームギアに噛んだことがありました。
 一方でトラス橋に敷いた反響板はガラガラと目論見どおりでしたが、ちょっと乾いた音色です。レールに切り込みを約30mmピッチで入れています。

 実際の鉄橋通過音は動画よりももう少しハッキリしています。
 なお、この鉄橋を含むリバース区間には緩和曲線もカントもありません。

Img_6155b_2 曲弦トラスはTMS特集シリーズ「高級モデルノート」の記事の通りに作っています。檜角棒の組み合わせと接合部のガゼットは厚紙です。
 これを見て設計者の中尾豊氏曰く、「斜材の角度を揃えて垂直梁の位置を決めたが、実物ではこれが等間隔だった」とのことでした。原記事が出た1955年6月号は仕方がないとして、4年後に特集シリーズとしてまとめたときにどうして付記してくれなかったのか、作ってから教えてもらっても……(笑)

 それと中尾さんに言われたことは、逆行スイッチの操作です。車両の進行方向を切り換えるのに、線路盤のそればかりを弄っていたら、「キャブ・コントロールは、パワーパックのものを使う」と指導!されました。

Img_6119b  しかし、それは運転形態に因るわけで、私のものを含めて日本のほとんどのレイアウトはセクション・コントロールが適切だと思います。キャブコンが良いというなら、DCCが普及しているはずです。

 時代を感じたのはこのパワーパックで、なんと、スピードがコントロールできなかったことです。近年のモーターは小電力となっていますから、古いレオスタット式では無理です。
 もちろんトップスピード付近で僅かには変化させられます。このパックではセレン整流器の配線を切断して、全波と半波を切り替える押ボタンスイッチ(写真の"HW"と表示した赤いボタン)を追加していますから、少しはマシです。

Layout199b  一番の反省点はカラーリングです。
 当時の好きな車両は、70系でも上田丸子でも、直流電機や客車でも皆、ブルー系でしたから、躊躇無くこの色彩としたのですけれど、湘南色とか特急色とかミスマッチのものもあります。BNグリーンも駄目でしょう。やはり無彩色である灰色、それも明るめのライトグレーが、抽象画たる組立式レイアウトには無難だと思います。

 これら一式を期末休暇の20日でデっち上げました。手持ち品を活用して、余分に掛かった費用は1万円です。若かったんですね。複線エンドレスと立体交差が欲しかったと悔やんでいますが、今はもうそんなエネルギーはありません。

【追記】M.K.さんより、メールをいただきました。2010-07-12
 はじめまして。13ミリゲージとNをやっている一モデラーです。 「39年目の組立式レイアウト」を拝見できて大変感激です。
 当時TMSは父が買っていましたが、このレイアウトの記事はとても印象的で私は何回読み返したか数えきれないくらいです。 もちろん今でも持っています。緩和曲線やカント、線路ブロック、音響、電池モーターによるポイント電動等、とても興味を持ちました。
 本当に1万円でできるのかなあ、コモンレールで配線1本とは何だろう??など、当時中学生位でしたが、空想にふけっておりました。
 今こうしてカラーでそのレイアウトをみることができると、改めて感激です。記事の中で、「タオルは空色」と書かれていましたが、わりと緑に近い色ですね(光の加減でしょうか)。緩和曲線はやはり効果絶大で、610Rが大きくみえますね。電池モーターによるポイント電動は耐久性が問題のようですね。何より40年近くなってもちゃんと使えること、「長芋の収納箱」でしっかり保管されていたからでしょうか。
 私もその後、13ミリとNのレイアウトを作成しましたが(いずれも未完成ですが)技法はしっかり影響を受けています。
 こうして昔みた模型記事の作者の方にこんなに簡単にコミニュケーションがとれてしまうなんて、全くすごい(有難い)世の中だと思ってしまいます。
 では【ワークスK】のますますの御発展を。

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コメント

おおっ、久しぶりの登場ですね。こんな色だったとは。自分も荒崎氏の構造を使った組立式レイアウトを作っています。カントと緩和曲線は採用してないですが…。
運転会へ運搬すると、どうしても痛みが早くなるようで、台枠同士の接続は丈夫でも、フレキシブル線路のレールが、プラ枕木からはずれてきたりします。

>>覚えていていただき恐縮です。シノハラのフレキは確かにレールの取付部が弱点かも知れません。【ワークスK】

投稿: ヤマ | 2010/05/31 01:38

このレイアウト記事なんとなく覚えていますよgood
荒崎良徳氏のレイアウト記事には私もかなり影響を受け、自作組立式レイアウト(未完のまま30年以上実家で眠っていますがshock)にも取入れましたし、KTMCのクラブレイアウト設計の時にも応用させてもらっています。
ちなみに荒崎良徳氏のレイアウト掲載号に何処ぞのおぢさんが若造の頃に作った阪○電車の製作記が載ってます(笑)

>>コメントありがとうございます。ハンドル名はなるほどそういうことですか。あちこちで秀作を拝見させていただいております。なお、組立式レイアウトで不思議なことは、ノウハウが蓄積されないと言うか、定石が定まらないことですが……【ワークスK】

投稿: ひかり・こだま | 2010/06/01 23:21

この記事は良く覚えています。
元ネタの荒崎さんのを見た時には、「ちょっと難しそう...」と思い真似を躊躇したのですが、栗生さんの記事を見て早速 (とは言っても 2 年くらい後だったかな)ポイントマシンなども含めて真似っこした事を懐かしく思い出します。
そういえば、鉄橋の縦構を等間隔に立てたら、学校の先輩から「これだと斜材の角度が一緒にならない」とか非難されて、あわてて交通科学館に行って西尾さんに実物がどうなっているかを聞きに行ったなんて事も思い出しました。「あの」西尾さんが、そんな偉い人だとも良くわからず、何か鉄道関係で判らないことがあると、教えてもらえる親切なおじさん、と思ってた幼少のミギリであります ;-)
記事で取り上げられていた、「長芋の箱」も未だに現役ですか?

>>覚えていてくださり、誠に有り難うございます。さらにご参考になったとのことで、天に舞い上がっております。なお、信州長芋の箱を忘れておりました。記事の方に写真をアップいたしました。【ワークスK】

投稿: 稲葉 清高 | 2010/06/17 08:51

ワークスKさんにはじめてお会いしてご本名聞いたとき、真っ先に頭にうかんだのがこの組み立て式レイアウトの作者さんということでした。それにしてもまだこのレイアウトが健在だったとは驚きです。またブロック同士の接点がほとんどやられていないというのも驚きです。現在なら黄銅製のピンにもハンディータイプのメッキペンで金メッキすることも可能でしょうし、接点の燐青銅板ももっと良い材料があるのではないかと思います。一度現物を拝見する機会があればと思います。

>>ホント、光栄です。改めて荒崎良徳氏の偉大さを思い知っております。【ワークスK】

投稿: ゆうえん・こうじ | 2010/06/28 21:53

来週金沢に出張します。私にとって北陸といえば荒崎良徳さん。1960sはTMSの記事で大いに刺激されました。最近はどうされているか?と検索すると、仏教福祉の世界の方になっておられました。なんとか模型つながりはないか?と検索を続けて貴サイトにたどり着きました。たまたまTMSのバックナンバーを読んでいて、貴レイアウトを読み返していたところなのでびっくりです。これも御仏のお導きかと合掌です。これからもサイト拝読いたします。退職金でC&OのL2を買ったシニアでした。

>>ご訪問、ありがとうございます。軸箱会にはそうそうたるメンバーが揃っておられて、そこでの感化が私の原点です。ただし方向はだいぶ変わってしまいました。またC&Oのハドソンとは渋いですね【ワークスK】

投稿: 恋文横丁 | 2010/09/23 11:09

思えば、このレイアウトのアイデアが、私の所属していた早稲田大学鉄研の組立式HOレイアウトにつながった訳で、それをカラーで拝見できるのは感慨深い事です。私自身は何度か運転しただけの立場ですが、組立/撤収のしやすさや収納性、運用性はピカイチ。メンテナンスはPECOポイントのプラ製クロッシングがすり減るのでポイントを時々取り換える程度で、通過軸数がハンパ無い地方巡業の酷使にも良く耐えました。まだ国鉄があった時代のお話ですが、レイアウトは今もOBがメンテしながら使い続けているはずです。

>>組立レイアウトには耐久性も必要で、固定式には無い苦労があります。手塩に掛けて作り上げられたレイアウトが末永く御活躍とは、無上の喜びですね。【ワークスK】

投稿: kazycom | 2011/12/28 17:18

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