フェザーリバールートへの憧憬(3)
Longing for the Feather River Route, part 3
フェザーリバールートをメインラインとしたWP、ウエスタン・パシフィック鉄道は、フェザー、すなわち鳥の羽根をトレードマークとして用いました。なかでも1950年頃の40フィート・ボックスカーは、車体側面いっぱいに朱色で描いていたことで知られています。
側板下辺左の文字"COMPARTMENTIZER"については追記4をご覧ください。
モデルで貨車の1両ぐらいは持っておこうと入手したのが、1937年式AARボックスカーです。インターマウンテンのOゲージで、3線式だったものを2線式に改造しました。【画像はクリックで拡大します】
Kラインや、次に示すライオネル(同社サイト)には、羽根の色をブルーやイエローとした製品もありますが、これらが実在したか否かは判りません。
また先年、UPが過去に併合した鉄道をモチーフとしたスキームの機関車を登場させた中に、WPもありました。それと同じ色合いのボックスカーをライオネルや、MTH(写真)が売っているものの、これも事実かどうかは不明です。
一方、実物車両に会いたければ、例のDVDにも出てくるカリフォルニア州ポートラPortolaのWestern Pacific Railroad Museum(ウィキペディア英語版)に先ず指を折ります。グーグル航空写真では、車両がぎっしり詰まっている様子を見ることが出来ます。ただし、都会から離れていて足の便に欠けます。
私は2008年に訪米した折、2箇所でWPの車両を見ました。
カリフォルニア州鉄道博物館ではF-7A、913号機です。訪問記の第3回でお目に掛けました。次の写真はノーズのヘラルドがハッキリと出る様に、レタッチし直しています。
もう一箇所は、ロサンゼルスのグリフィス・パークです。この中にトラベル・タウン・ミュージアムという施設があって、WPはカブースと蒸気機関車が置いてありました。
木造カブース#754は、復元作業中のようでした。博物館の説明もあります。WPの沿線から遠く離れた地で保存されている理由は謎です。
本車のHOモデルにはOMI/Ajin製品(1992年)があって、"とれいん"誌1993年5月号p14に、この写真と同じディーゼル時代の塗色で紹介されています。D&RGWと共通設計とのことです。
蒸機の26号機は2-8-0、コンソリデーション(博物館の説明)です。
このHOモデルは"Brass Model Trains, Price & Data Guide"によれば、1982年にSunset ModelsがTae Hwa Precisionというところに作らせています。
嬉しかったは、テンダーに貼られたヘラルドが、ほぼ完全だったことです。クッキリとシャープに描きこまれた図柄には見とれました。
で、気が付いたのは、これ、ホーロー引きなんですね。
日本でも、由美かおるとか金鳥、菅公学生服など、昔は街中に溢れていたホーロー看板です。これなら発色性も対候性も十分です。
ミルウォーキーやバーリントンも同じではないでしょうか。
さて、ホーローは「琺瑯」と書きます(解説は日本琺瑯工業会のページ)が、思い出すのは、"びわこ"号の復元のときです。古い図面を確認していた担当者が「車内の手すりが白の"ホーロー"と指定されている」と言ってきました。
黄銅パイプとばかり思っていましたから驚いたものの、自社で補修可能な塗装で、と頼んでしまったはずです。
それから、"きらら"では、車内の全ての手すりを朱色としました。セラミック・コートとかいう技術だったと思います。残念ながら後年、マダラに剥がれてきて、全部剥離されてしまいました。
現在はバスでもカラーの手すりを見ますから、技術が進歩しているのだと思います。
おっと、話が逸れてしまいました。
WPのこのヘラルドも魅力的ですね。リーファーとかストック・カーが付けていたはずですから、機会があったら求めたいものです。
なお、「フェザーリバールートへの憧憬」は次の3部作となっています。
第1回 ペントレックスDVDの紹介
第2回 SPドナーパスとの競合・ケディワイ
第3回 WPのモデルと保存車両
【追記1】Griffith Parkを訪れる動機となったF'Trackさんのブログに、WP26号機のヘラルドがホーローであることのよく判る写真が出ています。2010年12月5日の記事の、上から22枚目です。引き続き12月13日には、カブースのディテール写真が追加されました。最後の2枚です。2010-12-14
【追記2】通勤で使っているバスの手スリを撮影してきました。写っている細いオレンジ色です。太い方は、同色のウレタン・ゴムあたりのチューブがステンレス・パイプに被せてあります。2010-12-15
【追記3】 WPのヘラルド付貨車を入手しました。アトラスの50'アウト・サイド・ブレースト自動車運搬用ボックスカーです。問題のヘラルドは絵柄が盛り上がっていますから、ちゃんとホーロー製であることを意識して作られているようです。全体像はOゲージの玉手箱をご覧ください。
【追記4】羽根がモチーフとして描かれた手持ちのHOゲージ貨車です。
調べていくと、オレンジの方はクッション・アンダーフレームが戦後最初に装備された試作車の様です(別記事)。またこのWPは、コンパートメンタイザーCompartmentizerという隔壁型荷崩れ防止装置を最初に採用しています(別記事)。
これらが「フェザー」という言葉に触発された結果だとしたら、愉快ですね。2016-01-03
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