LAのトラベルタウン博物館(3)
A brief visit to Travel Town Museum in Griffith Park, Los Angeles CA, part 3
この博物館は、有り体に言って、日本ではあまり知られていません。
理由は、有名な車両を所蔵していないからだと思います。アメリカの鉄道の華である急客機や巨大な連接機、さらに流線形ディーゼルなどが皆無なのです。
ただしそんな中で、我々が注目すべきは、"Big Red Car"=PEの"Blimp"です。博物館のポータル・サイトにも登場しています。【画像はクリックで拡大します】
パシフィック・エレクトリックに関しては幸いなことに、TMS誌から2000年に「トラクション・ブック」が出ていて、詳細を日本語で読むことが出来ます。ただし、この車の経歴は複雑すぎて門外漢の私が要約できるような代物ではありません。
なお、この展示車両の困ったところは、一方から見た2面がブルーで、他方から見た2面がレッドになっている点です。私がどうしてもシャッターを押せなかったアングルの写真は、dda40x氏からお借りしました。
レッドのはずが、ブルーにも拘っている理由は、博物館の解説をご覧ください。
また、本車の連結器については興味を抱かれる方がおられるはずです。残念ながら当方に知識がないので、ご案内いただけると幸いです。
PE(Pacific Electric)の車両はもう1両、保存されていました。
博物館の解説に"Electraと呼ばれていた"と記されている凸型電気機関車、1544号機です。
鉄道の工場で製造された、所謂ホームメードの1両ですが、この特徴的なスタイルに見覚えのあるのは、HOモデルの存在だと思います。
1969年にSuydam/Takadaで製造されたとのことで、日本の模型店で見た記憶があります。読者の中にお持ちの方がおられるかも知れません。アート・オブ・ブラスの第1巻p183や、"とれいん"誌1993年7月号p145、ムサシノモデルの広告に出ています。
ところで"Electra"ですが、この語で画像検索を掛けたら、あられもない写真が百出でビックリしました。
慌てて英和辞書を引くと、ギリシャ神話に出てくる女性名です。魅惑的なスタイルということで付けられたニックネームなのでしょう。
トラクション関係ということで、もう1両、続けます。
前々回の写真の中に出てきて、既にRAILTRUCKさんにバレてしまいましたが、ホースカーです。
この、今にもペシャンコになってしまいそうな状態で、立派な説明板があることが不思議だったのですが、博物館の解説の写真はシャンとしています。まあ、そちらの方が直近の状態だと信じたいですね。標記は"Los Angeles Railway Horse Car"です。ホースカーについては、「明治人の見物したフィラデルフィア万国博覧会(1)」とその続編(2)もご覧ください。
なお、前回の写真に見えるアズマヤも、PEの停留所だそうです。
最後の車両は、何か素人の大工仕事で作り上げたようなオープンカーです。同じ様なタイプの路面電車が博物館の説明にあるものの、こちらの造作に「時代の最先端」という繊細さが見られません。枯れ木も山の賑わい程度にお見せしておきます。
【追記】新宮琢哉氏からクダンの連結器についてメールを頂戴しました。2010-12-23
ご無沙汰しております。いつもブログを楽しく拝見させて頂いております。さて、標記SP→PE保存車輛の連結器ですが……
ウェスティングハウスの“K”タイプで、日本では三菱がライセンス生産していました。京急が都交との直通運転開始前まで使用してたので、現物は230形保存車に付いています。(電連内蔵バージョンですが)
動作原理は、連結器胴が相互にかみ合ったのち、角(つの)に何らかの施錠を行なうようですが、連結する場面を見た事はないので、私は理解できておりません。"Electric Railway Dictionary 1911"復刻版に写真(Fig.600:次の写真)が掲載されてます。ただし、真横なので全く役に立ちません。(笑)
余談ですが、とれいん誌432号(2010-12)P31の京急ホ50形貨車の竣工写真にK-2-A連結器が写っております。また、同誌345号(2003-09)の旧1000形特集にも、いくつか異なるアングルの写真が掲載されています。(ちゃっかり広告しちゃいました(^ ^;;
実物の写真を撮ってますので、追って探してみます。多少時間をください。とりいそぎ、用件にて。
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コメント
ホースカーですが、ニューズレター2009年7月号の6ページ目にワークスKさんが撮られた写真よりも更に崩壊の進んだ写真とともにレストアの取り組みの動きが載っています。逆に博物館の解説写真はもっと前に撮られたように思います。
>>ああっ、これは残念な姿ですね。木造の吹き曝しを戸外に置けば当然の帰結ですけれど……【ワークスK】
投稿: RAILTRUCK | 2010/12/22 23:41